ブナ(山毛欅)の育て方
ブナ(山毛欅)の育て方

ブナ(山毛欅)の育て方

ブナ(山毛欅)の育て方

投稿日:2016/03/09 更新日:2022/07/22

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ブナ(橅、橅毛欅、椈、桕、橿、学名:Fagus crenata)はブナ科ブナ属の落葉高木。春に新芽が出るまで冬枯れした葉を付けたままにしているので、別名を「ユズリハ」ともいいます。

ブナの仲間は世界で10種ほどがあり、古い庭園文化の歴史を持つヨーロッパでは多くの園芸品種が作られました。日本には大きくブナとイヌブナの2種があり、盆栽では富士山麓産で葉が比較的小型の「富士ブナ」が定番です。

灰白色の幹肌に、銀毛を纏ったビロードのような新芽、美しい葉形と優しい色味の葉色、厳寒を耐える冬枯れの姿など、ブナ独特の魅力があります。

生育よく丈夫ですが、亜高山帯に多く自生している樹種で葉焼けを起こしやすいことに注意。芽の動き方が読みづらく、やや作りづらい樹なので、培養のコツをつかみ適期に正しい手入れをすることが大事です。

C o n t e n t s

  1. ブナの培養の基本(管理場所、灌水、施肥)
  2. ブナの病害虫と対策
  3. ブナの適期作業
  4. 関連ページ

1. ブナの培養の基本

ブナの管理場所

ブナは落葉広葉樹林帯の代表樹種で、霧深い温帯の山地を中心に、北海道南部~本州、四国、九州に広く分布が見られます。

深山性の樹種ですから、夏の暑さや強光下では樹勢を落とす原因となりますが、日照はブナの幹肌を美しくし病害虫の発生予防にもなるので夏場以外は日当たりいい場所で管理してください。

梅雨以降は西日に当たらないように、風通しのいい半日陰~遮光下に置き、葉焼けを予防しましょう。

耐寒性も備えていますが、霜や乾風に当てない程度の保護は必須で、特に寒い地方や浅い鉢に植えたものは早めにムロへ移動してください。

ブナの灌水 春は控え目、夏から秋口はしっかり与えて葉焼けを防止

水を好む樹種で、特に葉が固まる7月から10月はじめの間は乾きが早く、一度の水切れでせっかくの葉が汚く焼けてしまうという経験をした人も少なくないと思います。

一方で春からの根動きは遅いため、他の葉物樹種と同じように水をやっていると葉が大きくなったり、節間が間延びしたり、過水による生育障害が生じることがあるので注意が必要です。

培養環境や鉢の大きさ、樹勢により乾きの進行は様々ですが、芽出しから葉が固まる7月頃までと、秋は1日1~2回。夏(7月~9月)は1日2~3回。冬期保護中は2~3日に1回を目安に表土が乾いてきてから灌水するようにしてください。

本来は空中湿度の高い環境を好む性質なので、朝露や朝夕の葉水も樹勢維持に効果があります。

ブナの施肥 肥料は控え目が基本

ブナは上部の枝ほど強く伸びる傾向があり、肥料が効きすぎると余計に枝が徒長して、葉も大きくなり、全体の樹勢のバランスが保てなくなります。

また、チッ素分が多いと葉が青黒くなって葉焼けに弱くなるなど、多肥による弊害が多く見られるのが特徴です。

ブナの施肥は与えすぎないことがポイントで、春肥は芽が伸び葉が開いてからごく少量を施すようにしてください。5月、7月、9月頃にそれぞれ1回ずつ、油かすに骨粉を2割ほど加えたものを他の葉物樹種の半分量を目安に与えましょう。

長雨が続く時期は一旦外して、ごく薄い液肥に切り替えてもいいでしょう。

若木の場合はほとんど与えなくてもいいくらいですが、早く太りを得たい場合は肥培して作ったほうがよくできます。

2. ブナの病害虫と対策

風通しよく管理していればそれほど深刻化する病害虫はありませんが、ケムシやミノムシが葉を食害することがあります。

また大きな樹にはカミキリムシやカイガラムシなどが時折寄りつくことがあり、大事な幹肌に傷がついてしまうのでよく観察し見つけ次第補殺してください。

殺虫予防にはスミチオンやマラソン剤などの殺虫剤を定期的に散布。冬期は石灰硫黄合剤の40~50倍液を散布し、越冬性害虫の発生を防いでください。

時々、石灰硫黄合剤の原液を幹に直接塗ったようなものを見ますが、石灰硫黄合剤の高濃度での使用は芽を痛めますし、ブナ本来の美しい幹肌を黄色く汚して美観を損ねますので散布する濃度には注意してください。

3. ブナの適期作業

ブナの作業カレンダー

3月 4月 5月 6月 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下     芽摘み         夏芽の処理      剪定 芽出し              葉切り     植替え             針金かけ       外気に慣す ムロ出し     施肥       7月 8月 9月 10月 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下       夏芽の処理              褐葉               植替え             遮光               施肥           施肥       11月 12月 1月 2月 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下             褐葉                        剪定                             古葉取り                 冬期保護       芽摘み(3月下旬~5月上旬)

ブナの芽出しは3月下旬頃からと、他の葉物樹種よりもやや遅めですが、一旦動き出すと一気に伸長しますから、仕立て段階に応じたベストなタイミングで芽摘みをしなければいけません。

芽摘みの主な目的は2番芽を出させることですが、ブナの2番芽(夏芽)は伸びが不揃いで間延びしやすく、勢いのついた枝では芽吹きが止まらず枝先が太って樹形を乱す元となってしまうので、なるべく夏芽を出させないようにすることがポイント。

特にブナは上部の枝にやたらと勢力が集中しやすいため、いかにして全体の力を平均的に維持するかが整枝の上で重要になってきます。

一年に何度も芽吹く木ではないので枝作りには時間がかかりますが、芽摘みや剪定、葉すかし、日頃の培養(水、肥料、置き場所)などを工夫することで段々と樹勢のバランスを保つことができるようになります。

養成木の芽摘み(4月中旬~5月上旬)

基本の枝作り段階ではある程度伸ばして必要な長さを残して切り戻し、枝の骨格を作ります。

芽数のあるものは、バラバラに出てくる新芽が一旦出揃うのを待って、弱い芽から先に芽摘みし、強い芽は2~3日待ってから摘んでください。

弱い芽を先に、強い芽は後から摘むことである程度の樹勢のバランスを保つことが出来ます。

夏芽の処理(5月下旬~9月上旬)

ブナは他の葉物樹種のように何度も芽吹く樹ではありませんが、肥培してつくる勢いの強い若木は芽摘み後2週間もすれば2番芽(夏芽)が伸びてきますから、芯が柔らかいうちに先を摘んで伸びを詰めておきましょう(写真1)。

写真1:ブナの夏芽は枝として使えないことがほとんどなので、短いうちに1~2節で摘んでおく

下枝の2番芽は素直な出方をすることもありますが、基本的には芽摘み後に出る夏芽は「使わないもの」と考え、軸がまだ柔らかいうちに1~2芽のところで摘んで伸びを止めておいてください。

普通、芽摘み後の2番芽は小枝作りの材料になるのですが、ブナの夏芽は一気に伸び出すので節間が長くなり、枝として使えないことがほとんどです。

強く伸び出す夏芽(左)は葉が開く前に節間が間延びやすい。大抵は秋以降に元から追い込むが、時折下枝から出る夏芽(右)は節間が短く枝作りに使えることがある

夏芽の処理が遅れたものは枝に力が付すぎている状態なので、なんど芽摘みをしても芽吹きがとまらず収集がつかなくなることがあります。この場合は下手に短く摘むと反って芽を出そうとしてくるので、先端だけ摘み取っておきましょう。長めに残すことで伸び自体は止まりますから、秋に1節のところまで追い込んでください。

剪定の適期は厳寒期を除く11月中旬~3月上旬頃までですが、9月中旬以降になれば夏芽も動かなくなるので、観賞に備えた軽い剪定が可能です。

半完成~完成木の芽摘み(3月下旬~4月中旬)

小枝作り段階の完成樹では、新芽がほころんでまだ垂れているタイミングで摘む(左)。樹勢の落ち着いたものは大抵そのまま伸び止まって充実する(右)。

樹勢が落ち着き、形のほぼできた半完成~完成木の場合は、新芽がほころんでまだ垂れている状態のうちに、葉を2~3枚残してピンセットで摘み取ります。

同じ葉の枚数を残して摘むのでも、一度長く伸ばして摘むのと短いうちに摘むのとでは、枝の節間が違いますから摘むタイミングを逃さないようにしてください。

よほど樹勢の強いものでない限りは夏芽が伸び出すことはなく、そのまま充実して冬芽を作りますが、夏芽が出てしまった場合は養成木と同じように先端を摘んで抑制しておいてください。

剪定(休眠期~芽出し前)

ブナ特有の白く美しい幹肌は、剪定や針金傷を付けると美観を損ねますから、太枝の剪定や強い矯正はできるだけ避けたいところです。

剪定の適期は休眠期から芽出し前で、不要な細枝の剪定なら適宜可能。

最も剪定に適した時期は芽出し前(3月中旬~4月中旬)で、この頃は古葉の元についている芽が動き出してくるので全体をみて剪定できますし、植替えと同時に行うことができるので植物生理の面でも合理的です。

また、太い枝をやむを得ず切る時も、秋より芽出し前の方が肉巻きも比較的早く、傷も最小限に済ませることができます。

3年枝くらいの細い枝は、付け根の部分を1センチ程残して切り、残した枝が自然に枯れてから再度切り戻すと不自然さが残りません。

太枝を切る場合は、枝元で剪定した後ナイフで傷を彫り込むか、又枝切りで切り口を少しえぐるように切り込んでおくと、傷が巻いた痕がコブになりにくくなります。

ブナの剪定痕は大きいものは黒く目立ち、一度付けると何年かけても治らないものです。太枝を剪定する場合はよく考えて実行し、作業後は癒合剤を必ず塗って、肉巻きを早めてください。

古葉(ユズリ葉)取り

「ユズリハ」の別名を持つ通り、ブナは冬芽を守るために茶褐色の枯葉(ユズリ葉)を付けたまま、翌年の春を迎えます。

厳寒に耐えて次の芽出しを待つ冬姿はブナ特有の趣で、観賞の際も敢えて葉を落とさずに冬枯れの様を表現しますが、休眠期は剪定整枝の好機でもあります。

葉を残したままでは全体の枝が見えず作業が難しくなるので、枝数の多いものは剪定整枝の前には全ての枯葉を落としておきましょう。

古葉は指で持ち下方向に軽く押せば簡単に取れるので、冬姿の観賞を終えたら全ての葉を落とし、不要枝の剪定や込んだ部分の間引き剪定などを済ませてください。

無理に毟ろうと引っ張ったり、手前に引いたりすると冬芽を痛める可能性があるので注意してください。

針金かけ(5月~6月)

ブナは針金を嫌う性質で、一度付いた針金傷は木肌を黒く汚していつまでも治りませんから、針金かけはとにかく傷を付けないことが大事です。

樹形作りは芽摘みや切り返し剪定などの鋏作りが基本ですから、古枝や太枝への針金かけは避け、枝骨を作る上で必要な若い枝にかけるようにしてください。

使用する針金には必ず和紙を厚めに巻き、針金が強くあたる箇所にはゴムやビニールチューブの切れ端を噛ませて木肌に傷が付かないように配慮しましょう。針金は枝先まで巻く必要はなく、芯となる枝にゆるめに巻いてください。

適期は成長期の5月~6月頃がよく、回復も早く秋口に向けて枝が固まるので効率よく矯正ができます。

ユズリ葉を落とした後の剪定と同時に行ったほうが簡単ですが、この時期は枝折れの心配があるため無理はできません。自然樹の姿に習って極端な模様入れは避け、引っ張りや突っ張りで矯正するのも手です。

9月頃には癖もついている筈なので外しますが、成長期は太りも早いですから食い込む前に外し、掛け直してください。

植替え(3月~4月上旬、9月中~下旬)

上部の枝に力は集中しやすいブナは、芽摘みや剪定で枝の生育を調整することが大事で、 植替え(根の剪定)もその1つと言えます。

根の成長が早く、走り根をそのままにすると枝も強く伸び出してしまうので、樹勢の強い若木は毎年、完成木でも2年に1回を目安に、根詰り具合をみて植替えをしてください。

作業の適期は芽出し前の3月~4月上旬頃と、9月中旬頃がよく、秋に植替えたものは早めの冬期保護が必要です。

養成木は根の伸びも強い分、しっかり根処理することがポイントで、全体の2/3くらいまで整理しても平気です。根張りの悪いものは、走り根を根元まで追い込んでおくと、元の方から細かい根を出してくるので根張り作りに使えます。

完成木では全体の1/3~1/2程を目安に、強く走った根や太根を中心に整理し、細根が多く残るようにしましょう。残す根を傷めないように、鉢の周囲や底の土から丁寧に落としてください。

何年も植替えしていないような素材を植替える場合は、太根を一度に強く切り込むと枯れることがあるので、根の分岐をよく確認して徐々に整理するようにしてください。取木の要領で切りたい箇所に針金を巻いて、発根してから切り詰める方法もあり、手間は掛かりますが確実です。

用土は水はけのよいことはもちろんですが、走り根を出させないためにもやや細かい粒径の用土を選んだほうがよく出来ます。

底には荒目のゴロ土を敷き、硬質赤玉土7に桐生3くらいを目安に配合してください。黒土や腐葉土を混ぜると生育がいいようですが、樹勢が付きすぎるので赤玉主体がいいと思います。

4. 関連ページ

ブナの魅力

紅葉も楽むことができ、秋には葉が緑から黄色~オレンジ、金茶色へと色のグラデーションを楽しむことができます。葉は紅葉後も翌春の新芽が伸び出すまで落ちることがないた……

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