相撲の担い手育成に女将が挑戦 ウクライナ出身幕内力士輩出の安治川部屋が普及団体設立
相撲の担い手育成に女将が挑戦 ウクライナ出身幕内力士輩出の安治川部屋が普及団体設立2025/5/9 19:31宮崎 秀太- スポーツ
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子供たちに相撲の魅力を知ってもらおうと、一般社団法人「相撲振興普及会」が設立された。立ち上げたのは、元関脇の安美錦(あみにしき)が開いた安治川(あじがわ)部屋(東京都江東区)の女将(おかみ)、杉野森絵莉さん(42)。弟子のサポートに徹する傍ら、角界の担い手減少を案じて声を上げた。地域住民や他の競技団体とも連携し、人材開拓を本格化させる。
中学生で半数以下
「多くの人に相撲をより身近に感じてもらいたい。普及活動を担えたら」。4月に設立された相撲振興普及会で、代表理事となった杉野森さんはこう語る。
安治川親方(46)は現在、弟子8人の指導に注力する。親方を支える杉野森さんは、小学生の長男を相撲教室に通わせている。そのなかで、中学生以上の相撲人口の少なさを痛感し、後続を育成する必要性を感じたという。後援会の人々からも背中を押されて団体設立に踏み切った。
アマチュア相撲を統括する日本相撲連盟によると、令和5年度の小学生の競技者数は約1300人。ところが中学生になると半数以下の約570人まで減少する。
相撲部を設置する中学校も減っており、9年度以降の全国中学校体育大会(全中)での競技廃止も決まった。「中学生が相撲をする場所や機会がなくなっている」と杉野森さん。
今後は、小学校や特別養護施設で相撲体験会を開いたり、餅つき大会などのイベントを行ったりして、地域住民が相撲に触れ合える機会を設けていく。
相撲は「他競技で培った体格も生かせる」(杉野森さん)ため、動きや体格に共通点があるラグビーやアメリカンフットボールの選手たちを稽古体験に招いたりして、大学卒業後の競技転向の受け皿となってセカンドキャリアの場としていくことも検討しているという。
活躍に世界的脚光
相撲を通した国際交流も進めたい考えだ。ロシアの侵攻から3年以上が過ぎたウクライナへの支援も試みたいテーマに挙げる。
安治川部屋に所属するウクライナ出身の前頭、安青錦(あおにしき)関(21)が今年の春場所で敢闘賞を獲得。活躍が世界的に脚光を浴びており、相撲振興普及会が海外メディア取材の窓口となる。杉野森さんは「力士の本分は土俵に立つこと。相撲に集中できる環境を整えたい」と語る。
相撲部屋と外国人観光客の相互交流も実施する。「ただ見学するだけではなく、血の通った体験にしてほしい。質疑応答に応じたり、実際に体を動かしたりすることで、競技に対する理解を深めてもらいたい」。杉野森さんはこう語り、「相撲への門戸を開き、多くの人に体験してもらえるよう全力を注ぎたい」と未来を見据えた。
(宮崎秀太)
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