刑事フォイル-Foyle's war あらすじと感想 第22話 それぞれの戦場(後編)
【刑事フォイル~Foyle's war】の22話は「それぞれの戦場(They Fought in the Fields)」の後編です。これまたいかにもそのタイトルの通りだったとつくづく感心してしまいました。まさに皆それぞれがそれぞれの場所で戦っていたのですね。以下早速ネタバレです。
とはいえ、いったいどこからまとめればよいのか迷いましたが、前編に合わせて、まずはドイツ兵の話から参りましょうか。
やはりですね~フォイルはちゃ~んと最初に捕虜になったふたり、シンメルとザバルトフスキの会話を聞いて&理解しておりました。この辺は大体分かってきましたよね~。フォイルは、自分では謙遜していますが、実はドイツ語もフランス語もかなり堪能なのでござる。
つまりフォイルは最初から、ザバルトフスキの命が狙われていることを知っていたため、後に発見されたもう一人のドイツ兵=バイザーが、ザバルトフスキを葬るために送り込まれた刺客に違いない、と薄々は見当をつけていたに違いありませんね。いくら戦時中とはいえ、そうそう何人も、しかも立て続けにドイツ兵が降ってくるはずはありませんから。
そのフォイルの漠然とした推理はその後、いかにもこの「刑事フォイル」らしい丁寧かつ見事な方法で、1つ1つその裏付けがなされていきます。
フォイルはまずバイザーを取り調べたいとコーンウォールに交渉しますが、コーンウォールは首を縦に振りません。コーンウォールは、ドイツ人もイギリス人同様紳士的であると信じており、無粋な地元の警官に取調べなどさせて、彼らに臍を曲げられては困ると考えていたようなのです。
All of which have been rejected.取調べは認めない。
が、フォイルはそのコーンウォールが闇市で煙草を手に入れていたことも見抜いていて、それでコーンウォールを脅します。
It's a general rule of the POW Interrogation Service. So I may find myself having to look into the extent to which you're involved with black market cigars.それがPOW(prisoner of war~捕虜)尋問部のやり方でしょう。では私も私のやり方でいきましょうか~あなたが闇市で煙草を手に入れたことを視野に入れて。
この辺がまた実に心憎いやり取りでしたね。コーンウォールは仕方なく、自分も立ち合うという条件で取調べを許した上、その会話の通訳まで買って出たのですから。
せっかくの好意を無にするフォイルではありませんし、これまでの経緯から、コーンウォールには何を言っても無駄だということが分かっていたので(there became less and less point in telling you anything)、ここはドイツ語が分かることを伏せた上で、早速「拳銃」のことを尋ねました。これはポールが、ジャクソン農場の薪の中に隠してあったのを見つけ出したのです。
するとバイザーは「金髪で赤いジャケットを着た美人」が奪っていったような気がすると答えました。
実はこのバイザーもまた、フォイル同様、英語が堪能で、自分を見つけて通報したバーバラがヒュー・ジャクソン殺害容疑をかけられていることを知り、それにうまく話を合わせようとしたのだそうです。実際の犯人はバイザー本人だったというのに、です。
でもこうした姑息な小細工こそが、実はフォイルの確信を深めていくというのがまたなんとも痛快なのでござる。フォイルは、バイザーは(フォイルがドイツ語を解するのと同様)英語が堪能なのに違いない、自分の正体を隠すために、わざとバーバラに警察の関心を向けようとしたに違いない、と推理します。
フォイルの推理は見事に的中します。やはりバイザーはザバルトフスキを殺すためにやってきたのです。ザバルトフスキはレーダーの専門家であり、彼らが乗っていたドルニエには、敵国には決して知られてはならない最新型のレーダーが搭載してあったのだそうです。だから皆、そのレーダーを壊すために墜落したドルニエに戻らざるを得なかったのです。
ここでそもそも3人乗りのドルニエになぜ4人が乗っていたのか、が今一つよく分からなかったのですが、最新型のレーダーを搭載するにあたり、専門家であるザバルトフスキも同乗させることになったが、もしドルニエが墜落した場合には、そのレーダーの詳細が敵に知られては困ると言う理由から、必ずその口を封じねばならなかったということでしょうか。
バイザーという刺客が自分を殺しにやってきたことを知ったザバルトフスキは、シンメルとともに脱走を図りましたが敢え無く捕まり、後に、彼らを戦友だと偽って会いにきたバイザーによってついに殺されてしまいます。シンメルがこれを知っても助けることができず、ただ黙ってふるえているしかないというのが何とも気の毒でしたね。
フォイルもその後バーバラから、バイザーが背負っていたパラシュートがまったく傷んでなかったことを聞かされ、またそのパラシュートを装着するためのハーネスに使われていた亜麻(flax)もまったく伸びていなかったこと(pristine=新品同様)や、バイザーのズボンには「塩」が付いていたことから、バイザーはパラシュートで降り立ったのではなく、海から、つまりはUボートから来たに違いないと確信します。
でもフォイルが捕虜尋問部にやってきた時は既に遅く、ザバルトフスキはバイザーに首を絞められ、意識を失ったところでした。彼は目を覚ますことなく、そのまま亡くなったそうです。もう少し早ければ助けられたのに残念でしたね。
このバイザーがヒュー・ジャクソンを殺した理由は、Uボートから上がってきたバイザーが自転車で墜落地点に行こうとした際、途中、バーバラにぶつかったり、(たぶん)トム・ジャクソンの車に遭遇したりしたため、急遽計画を変更し(自転車を川に投げ捨て)、自分もパラシュートで降り立ったことにしようと細工しているところを、ヒューに見られたからのようです。
バイザーは、ヒューの腹を拳銃で撃って殺した後、猟銃でもその喉をぶち抜いて、自殺に見せかけようとしたのだそうです。ふん、そんなことに騙されるフォイルではありませんよね~。でもそれなら前編で、フォイルが拳銃の銃弾を見つけるだけじゃなく、腹にも撃たれた跡があった、との検視報告があっても良かったな。
ちなみに5時半にかかってきた電話は、ジャクソンが警察に通報しようとしたものらしい。
バイザーが、ジャクソンを殺したのは証人を消すためだけではなく、単に彼がイギリス人だったからだと答えたのもいかにもふてぶてしかったですね。戦時中とはいえ、ずっとドイツ人に好意を抱いてきたコーンウォールも、これには激怒せざるを得ません。
You'll hang for this.おまえは絞首刑だ!
つまりは殺人事件の犯人も、実はドイツ兵だったという訳ですが、ではあの銃声と穴掘りは何だったのかについても見てまいりましょうか。
あれはなんと「豚」を屠った結果生じたものだったのだそうです。ジャクソンは、トラクターを購入したばかりに、ジョーンたちに給料を払えなくなったため、おそらくは国から預かって飼育している豚を殺して、その肉を闇市に売った金で賄おうとしたのだそうです。
それがジャクソンの「計画」であり、ジャクソンはあの拳銃で豚を撃ったのだそうです。その後ジョーンたちが穴を掘っていたのは、ジャクソンが殺されて、急に警察の手が伸びたために売れなくなった豚の半分を埋めるためだったのだとか。それがちゃんと「墓」の形態をなしていたのが、一見ぶっきらぼうだけれど実は心優しいジョーンらしくて和みましたね。
こうした闇商売は誰もがやっていることらしく、フォイルたちが泊まった宿泊所の豪勢な食事も、そのほとんどがこの闇市から仕入れたものだということが判明します。
フォイルから闇市は法で禁じられていると咎められたローズがこれを明かして、フォイルも闇市で手に入れた肉を食べたのだから同罪だと言われたのには苦笑しきりでございました。
You enjoyed your food at the hostel. I suppose you'll have to arrest yourself for receiving stolen goods.宿泊所の食事は美味しかったでしょう?盗んだ物を受け取ったんだから、あなた方も逮捕されるべきじゃない?
どうやら前科持らしいジョーンは、そんなことをしたら絶対に捕まると猛反対したらしいですが、なんとジャクソンと男女の関係にあったローズは反対しきれなかったそうです。あのバーバラのシルクの下着を持ち出したのはローズだったのだとか。ローズは、ぶっきらぼうでも実は優しいジャクソンを心から愛していて、その子供を身ごもっていたようです。
また、気になっていたあの謎の男性は、やはり、そのジャクソンの元妻=ジュヌヴィエーヴの愛人のアンドリュー・ニーム(Philip Martin Brown)だったそうです(前回「ニール」と間違えたので訂正してあります)。ニームはでも、ジュヌヴィエーヴと駆け落ちはしておらず、約束の場所に来なかったジュヌヴィエーヴをずっと思い続けていたのだそうです。
それがこのたび、ヒュー・ジャクソンが自殺したと新聞で見て、ジュヌヴィエーヴはどうなったのか知りたい一心で駆けつけて来たのだそうです。そしてそのジュヌヴィエーヴは、駆け落ちの計画を知ったジャクソンによって11年前に殺され&埋められていたことが明らかになります。遺体の埋葬場所が分かったのはサムのお手柄です。
サムは、前回何もしていないと咎められたのが気になって、今回ジョーンとローズの手伝いをしたのです。サムはジョーンから、畑仕事の合間に腰を下ろしていたその場所が「Poppy Bank」(ポピーの丘)と呼ばれていると聞かされます。でもジョーンはポピーを見たことがないというのです(Though I ain't never seen no poppies)。
ジュヌヴィエーヴが殺されたに違いないと聞かされたサムはピンときました。何でもポピーは、長い間手つかずだった土地が掘り起こされると咲くそうなのです。つまり、以前はヤブだらけだった土地を、ジャクソンが妻の遺体を埋めるために掘り起こしたことで、そこにポピーが咲いたに違いない、それで、愛する妻を葬った土地をポピーの丘と呼ぶようになったに違いない、とサムは確信したのですね。
ジャクソンが息子のトムに農場を譲ろうとしなかったのも、妻が眠っている土地を開墾されたくなかったからなのかもしれません。そのトムはこの度めでたくジョーンと婚約したそうです。都会で生まれ育ったジョーンが、人生の再起を賭けて、辛い農作業を頑張った甲斐がありましたね。
さて、最後にもう1つ、謎めいた女性だったバーバラは、その昔、不幸な結婚をしたそうですが、息子にだけは恵まれたそうです。それなのにその愛する息子はダンケルクの戦で亡くなってしまったのだとか。
There was a marriage.Not a nice one.But there was a son.A beautiful son.And my son my beautiful son.I lost at Dunkirk.
こうしてバーバラは、男も戦争も憎むことになったのだそうですが、その後、フォイルがこれに対して自分の話を打ち明けます。バーバラの話に合わせて語られたのが何とも詩的だったので、同様に書き出してみますね:
There was a woman.A marriage.A good marriage.And a beautiful son.My beautiful son is alive.Thank God.But I lost my wife.
(自分には)一人の女性がいた。愛に満ちた結婚をした。素晴らしい息子にも恵まれた。幸いなことにその息子は生きているが、妻を失った。
So I have a vastly higher opinion of women than you do of men.だから私は女性を高く評価している、君は男に厳しいけれど。
これに対し、生きることは大変ね(Everything's so very difficult, isn't it?)と答えたバーバラは、特殊任務を与えられて、フォイルの前から姿を消してしまいます。トムが預かっていたメモにはこう記してありました。
I didn't think my view of men could change. But you changed it.男に対する考えは変わらないと思っていたけれど、あなたが変えてくれた
このふたり、なかなかお似合いだと思っただけに、何とも残念な別れとなってしまいました。いつかまた再会させてはもらえんでしょうか。
と、今回はフォイルのほのかなロマンスまで楽しめて大満足のエピソードでございました。刑事フォイルは続きもとっても楽しみですね。
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