大動脈解離
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だいどうみゃくかいり大動脈解離監修:島村 和男先生
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概要

大動脈解離(だいどうみゃくかいり)とは、外側から“外膜”、“中膜”、“内膜”という3つの層で成り立っている大動脈と呼ばれる血管の内膜が裂け、中膜の隙間に血液が流れ込んで血管が縦方向に剥がれるように裂ける(解離する)病気です。

大動脈は心臓から送り出された血液がまず流れ込む太い血管で、そこから全身の臓器に血液を送る血管が枝分かれしています。大動脈解離は、心臓から出てすぐの場所にあたる上行大動脈が解離しているかどうかにより2つのタイプに分けられます。上行大動脈が解離している場合は“スタンフォードA型”、上行大動脈は解離せず、背中やお腹へ向かう下行大動脈が主に裂ける場合は“スタンフォードB型”です。スタンフォードA型は解離した上行大動脈の破裂を引き起こしやすく、破裂すると直ちに命に関わる状態となることから、発症した場合は早急な治療が必要となります。また、解離の範囲によってさまざまな症状が現れるのもこの病気の特徴であり、前触れもなく突然発症するのが一般的です。

主な原因は高血圧などに起因する動脈硬化であり、70歳代で発症するケースがもっとも多いとされています。

原因

大動脈解離は、大動脈にかかるストレスの大きさと大動脈の壁の強さのバランスが崩れることにより発生すると考えられています。

大動脈にかかるストレスが大きくなる原因としてもっとも知られているのは高血圧であり、発症者の3人に2人は高血圧の既往があるとの報告があります。また交通事故などによる胸部の強打などが大動脈への強いストレスの原因となることもあります。一方で大動脈の壁の強さが低下する原因として、組織が脆弱(ぜいじゃく)になる生まれつきの病気であるマルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群など、大動脈の生まれつきの病気である大動脈縮窄症(だいどうみゃくしゅくさくしょう)や動脈管開存症などが知られています。また特に原因がない場合でも、加齢によって大動脈の壁が脆弱化する傾向にあるため、高齢者に大動脈解離を発症するケースも少なくありません。

症状

大動脈解離は何の前触れもなく発症するのが特徴で、解離が起こった範囲に応じて胸や背中に強い痛みが起こります。大動脈が解離を起こすと、中膜に血液が流れ込んで血管の壁が非常に薄くなるため、破裂しやすい状態となります。特に心臓に近い部位(上行大動脈)に大動脈解離が発生すると破裂しやすく、破裂した場合は心臓を包む膜に漏れ出した血液がたまる“心タンポナーデ”や、心臓の機能に異常が引き起こされる“心不全”を発症し、発症から間もなくして死に至るようなケースもあります。

また大動脈が解離することで、大動脈から枝分かれする血管の血行が途絶える場合があります。たとえば脳や腸、腎臓などの重要な臓器や心臓の筋肉に血流を送る血管の血行が途絶えると、心筋梗塞(しんきんこうそく)、脳梗塞、腎梗塞など命に関わる合併症を引き起こすことがあります。このような血行障害による症状は、障害を起こした臓器によって大きく異なります。そのため、大動脈の病気とは関連がないと考えられるような症状が現れるケースも少なくありません。たとえば腸への血流が低下することで腹痛や腰痛が引き起こされたり、手足への血流が低下することで手足の冷感や痛みが引き起こされたりする場合があり、まずほかの病気を疑って検査を進めたのちに最終的に大動脈解離との診断にたどり着くことがあります。

検査・診断

症状などから大動脈解離が疑われるときには次のような検査が行われます。

画像検査

大動脈解離の診断をするにはCT検査を行う必要があります。CT検査では、内膜が裂けている位置や解離の広がりなどを詳しく評価することが可能です。特に造影剤を用いて行う造影CT検査は診断能力が高いとされています。

一方で、CT検査は時間を要するため救急外来などで早急に大動脈解離の有無を調べる必要がある場合は、X線検査や超音波検査などで簡易的な評価をすることもあります。

血液検査

貧血や炎症の程度などを調べるために血液検査を行うのが一般的です。特に心筋梗塞、腎梗塞などの合併症が疑われるときは、心臓や腎臓の機能を評価するためにも血液検査が必要となります。

心電図検査

大動脈解離は発症部位によって心筋梗塞や心不全などを引き起こすことがあり、さらに症状が心筋梗塞などと似ているケースも多いため鑑別診断を目的とした心電図検査を行うことがあります。

治療

大動脈解離の治療方法は、解離した範囲や破裂の有無、血行障害の有無によって大きく異なるのが特徴です。

破裂から死亡に至る率が高いスタンフォードA型の場合は、緊急手術が必要となり、解離した血管を人工血管と入れ替える治療を行います。一方、スタンフォードB型の場合は破裂することが比較的少ないため、血圧を下げて痛みを和らげながら経過を見ていきます。ただしスタンフォードB型であっても破裂している場合や、血行障害による腎梗塞などの合併症を引き起こしている場合は、人工血管に入れ替えたり血行障害を治療する緊急手術を行ったりするケースも少なくありません。また、近年では体への負担を軽減するため、カテーテル(医療用の細い管)を大動脈内に挿入して人工血管を広げて固定させる“ステントグラフト内挿入術”が行われることも多くなっています。

治験

大動脈解離に関連する治験の情報をご覧いただけます。

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予防

大動脈解離の危険因子としてもっとも知られているのは高血圧です。そのため、大動脈解離を予防するには、日頃から自身の血圧管理をしっかり行うことが大切です。食事、運動、喫煙、ストレスなどの生活習慣に注意し、血圧が高い状態が続くときは適切な治療を受けるようにしましょう。

最終更新日:2021年11月08日更新履歴2021/11/08更新しました2021/10/04更新しました メディカルノート会員なら「大動脈解離」に関する最新情報を受け取ることができます(治療法や治験情報、医療機関情報やニュースなど)最新情報を受け取る最新情報を受け取るこの病気は登録中です

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