【トルストイ:『飛び込め』】のあらすじをご紹介【小学4年生の教科書にも掲載】
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【『名作』一覧】童話や文学、戯曲など【海外と日本の有名作品集】
名作:『飛び込め』のご紹介です。
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あらすじは全文ふりがな付きで、読み聞かせができるようにまとめています。参考にして下さいませ。
このページでわかること- 全文ふりがな付きのあらすじ
- 作者紹介
- 学校教育にまつわる情報
- 参考文献
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『飛び込め』のあらすじ
あらすじと作者紹介です。
スポンサーリンク 物語:響き渡る叫び声ある船ふねが、世せ界かい一いっ周しゅうをして自じ分ぶんの国くにへと帰かえる途と中ちゅうでした。
大変静たいへんしずかな良よい天てん気きだったので、船ふねに乗のっている人ひとはみな甲板かんぱんへと出でていました。
そしてその人ひとたちの間あいだを、一匹いっぴきの大おおきな猿さるが歩あるき回まわりながら、みんなを面白おもしろがらせています。
猿さるは、変へんな格好かっこうをしたり、飛とび上あがったり、おかしな顔かおをしたり、みんなの真似まねをしたりーーみんなが自じ分ぶんを見みて面白おもしろがるのをよく知しっているらしく、ますます得とく意いになって、ひょこひょこと歩あるき回まわっていました。
そのうちに、猿さるは船せん長ちょうの息むす子こで、十じゅう二に才さいになる少しょう年ねんに飛とびつくと、帽ぼう子しを引ひっつかんで自じ分ぶんの頭あたまにかぶり、するするとマストにのぼっていきました。
どっとみんなが笑わらいます。
が、少しょう年ねんは帽ぼう子しをとられて、笑わらっていいのか泣ないていいのかわからず、戸と惑まどっていました。
猿さるは、マストの一番下いちばんしたの、ほげた*に腰こしかけると、帽ぼう子しをぬいで、歯はと手てでそれをやぶり始はじめました。
それからは、からかうように少しょう年ねんの方ほうを指ゆび差さしたり、あっかんべーをしてみせたりします。
少しょう年ねんはカッとなって、猿さるを怒鳴どなりつけました。
が、猿さるはますますいじわるになり、もっと帽ぼう子しをやぶろうとします。
水すい夫ふ*たちはそれを見みて、「アハハハ」と大声おおごえで笑わらいました。
ついに少しょう年ねんは、真まっ赤かになって上うわ着ぎを脱ぬぎ捨すて、猿さるの後あとを追おってマストへ飛とびつきました。
するするっと、瞬またたく間まに一番下いちばんしたのほげたまでのぼりました。
ところが、猿さるはもっと身み軽がるですばしっこいのです。
少しょう年ねんが帽ぼう子しをとろうとした途と端たん、猿さるはもっと高たかいところへとのぼってしまいました。
「どんなことがあったって、お前まえを逃にがすものか!」
少しょう年ねんはそう叫さけび、自じ身しんも上うえへとのぼっていきました。
猿さるは、おいでおいでをすると、さらに上うえへとのぼっていきます。
こうなれば、少しょう年ねんもけんか腰ごしです。
大人おとなしく引ひき下さがるわけにはいきません。
猿さるも少しょう年ねんも、負まけずにのぼっていき、みるみるうちに、マストの一番上いちばんうえまでのぼり着つきました。
猿さるはそこから、精一杯せいいっぱいからだを伸のばすと、後うしろ足あしでロープをつかみ、一番高いちばんたかいほげたの端はしっこに、ひょいと帽ぼう子しを引ひっ掛かけます。
それからはマストのてっぺんに腰こしをかけ、からだを曲まげたり伸のばしたり、おかしな格好かっこうをして歯はをむき出だして、「キャッキャ」と笑わらい出だしました。
マストからそのほげたの端はしまでは二にメートル近ちかくもあったので、ロープにもマストにも頼たよらずに行いくより仕し方かたがありません。
が、少しょう年ねんは夢む中ちゅうでした。
少しょう年ねんはいきなりマストから離はなれ、ほげたを伝つたってそろそろと歩あるき出だします。
甲板かんぱんではみんなが、猿さると船せん長ちょうの息むす子こがすることを見みて笑わらっていました。
が、ふいに少しょう年ねんが、ロープからも手てをはなし、両りょう手てで調ちょう子しをとりながら、ほげたの上うえを歩あるき出だすと、みんなは、はっと息いきを止とめました。
あの目めがくらむように高たかいほげたを、もし少しょう年ねんが踏ふみ外はずしたら、少しょう年ねんは甲板かんぱんにぶつかって、こっぱみじんになってしまうでしょう。
それに、もし無事ぶじにほげたの端はじにたどり着つき、帽ぼう子しをとったとしても、引ひき返かえすのはとても難むずかしいことです。
向むきを変かえ、何事なにごともなくマストまで帰かえれるのでしょうか。
みんなは、一言ひとことも物ものを言いわずに、じっと少しょう年ねんを見上みあげたままどうなることかとはらはらとしていました。
このとき、あまりにこわいので、誰だれかがふいに、「あ!」と叫さけびました。
その叫さけび声ごえを聞きき、少しょう年ねんは、はっと我われにかえります。
そして下したを見みた途と端たん、「うわ!高たかい!!」
少しょう年ねんのからだが、よろよろっとしました。
ちょうどそのとき、船せん長ちょうが船室せんしつから出でてきました。
手てには、かもめを撃うとうと思おもって鉄砲てっぽうを持もっています。
船せん長ちょうは、マストの上うえにいる息むす子こを見みるとすぐ、とっさに息むす子こを狙ねらって銃じゅうを構かまえ、叫さけびました。
「海うみへ!海うみの中なかへすぐ飛とび込こめ!じゃないと撃うつぞ!!」
少しょう年ねんは、ふらふらしているのに、まだどうしていいのかよくわからない様よう子すです。
「飛とび込こめ!じゃないと撃うつぞ!!いち、にい……」
「さーん」
そうお父とうさんが叫さけんだ途と端たん、少しょう年ねんは大おおきく手てを振ふって、頭あたまから、「やあっ!」と飛とび込こみました。
少しょう年ねんのからだは、まるで大砲たいほうのたまのようにどぼんと海うみの中なかへと沈しずみます。
が、そのからだが波なみにのまれるかのまれないかのうちに、二に十じゅう人にんの勇敢ゆうかんな水すい夫ふが、船ふねから海うみへと飛とび込こみます。
四よん十じゅう秒びょうも経たったでしょうかーーみんなにはとても長ながい時じ間かんが経たったように思おもわれたのですがーー少しょう年ねんのからだが浮うかび上あがってきました。
水すい夫ふたちは少しょう年ねんをつかむと、船ふねの上うえへと引ひき上あげました。
五ご、六分ろっぷんも経たつと、少しょう年ねんの口くちや鼻はなからは水みずがどんどんと流ながれ出だし、少しょう年ねんはやっと息いきをし始はじめました。
船せん長ちょうは、息むす子こが息いきを吹ふき返かえしたのを見みると、突然とつぜん、「うーっ」と、喉のどを締しめ付つけられるような声こえを出だし、自じ分ぶんの船室せんしつへと走はしり込こみました。
船せん長ちょうは、泣ないているところを誰だれにも見みられたくなかったのです。
(おわり)
ーーーーー
[用よう語ごの説明せつめい]
*ほげた:帆ほを張はるためのマストの横よこ木ぎのこと
*水すい夫ふ:船ふな乗のりのこと
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スポンサーリンク 作者:レフ・トルストイ作者:レフ・トルストイ(1828~1910年)
なやみ苦しみながら、人間の真の幸せを考えつづけたロシアの大文学者
(『学習人物事典』314ページ より)
レフ・トルストイは、十九世紀のロシア文学を代表する小説家である。
(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』170ページ より)
ロシア出身の作家であり、思想家。
平和を理想に掲げ、領地の農民の教育や生活改善などに取り組んだ後、結婚を機に執筆活動に専念しました。
カザン大学を中退。結婚とともに宗教的信仰を深め、次々と大作を発表して順調な文筆活動を続け、名声も高まった。
(『倫理用語集』263ページ トルストイ より)
思想家としても知られ、ロシアの政治や社会にも影響を与えた。
(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』170ページ より)
その他の代表作には『イワンの馬鹿』や『戦争と平和』、『アンナ・カレーニナ』、『復活』など多数。
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伯爵家の四男として、帝政ロシア(旧ソ連の前身)のトゥーラ市にほど近いヤースナヤ・ポリャーナに誕生。
父親はロシアでも指おりの名門の貴族だった。
母親はトルストイが2歳のときになくなったので、親せきの女性に育てられた。
人間に対する愛の気持ちをはぐくんでくれたのはかの女だったと、トルストイはのちに回想している。
(『学習人物事典』314ページ より)
幼い頃、両親と死別し、動揺・不安・放蕩ほうとうの青年時代を過ごした。
(『倫理用語集』263ページ トルストイ より)
人物:農民への愛何不自由ない子ども時代を送ったが、トルストイにいちばん大きなえいきょうをあたえたのは、ロシアの自然と農民の生活であった。
農民たちと身近にくらしているうちに、トルストイはしぜんに農民を愛するようになっていった。(中略)
故郷でトルストイは地主として農場の経営にのりだし、農民のくらしをあらためるように考えていったが、なかなかうまくはゆかず、1848年にはモスクワに出て、だらしのない生活を送るようになった。
(『学習人物事典』314ページ より)
転機:文学への道そこで、1851年に生活をかえるために軍隊に入ったトルストイは、翌年に『幼年時代』を発表し、文学の道に進むようになった。
その後ロシアがトルコ・イギリスなどとたたかったクリミア戦争に従軍*したが、1856年3月に戦争がおわると軍隊をやめて、翌年、ヨーロッパに旅行した。
しかし、ヨーロッパの物質文明に失望したトルストイは、帰国して領地の農民のためにはたらく決心をした。
そして、ヤースナ・ポリャーナで農場経営に精を出すとともに、農民たちの教育にも力をつくした。
(『学習人物事典』314ページ より)
1861年に農奴解放令が発布されると、彼は農民側にたって、「暴力によって悪人に手向かうな」と非暴力主義を主張した。
(『倫理用語集』263ページ トルストイ より)
いっぽう、文学のしごとにも力を注ぎ、最初の長編小説『戦争と平和』(1863~1869年)が完成する。
この作品は、ナポレオン戦争を中心とした時代のロシアの社会をえがいた、世界文学でも数少ない雄大な作品である。
それから4年ほどして、トルストイは第2の大作『アンナ=カレーニナ』(1873~1876年)を書きはじめ、4年近い歳月をかけて完成した。
(『学習人物事典』314ページ より)
*クリミア戦争に従軍:青年だったトルストイは、砲兵隊の士官として参加。またその戦いのありさまは、『セバストポリ物語』など、いくつかの作品に残している
思想:『トルストイ主義』このころからトルストイの考え方は大きくかわり、社会制度をあらためるだけでは人間はすくえないと考えて、いろいろまよったすえに、ついに宗教に救いを見いだすようになった。
トルストイはその考えを、『告白*』(1880~1882年)によって明らかにしている。
この世界にはびこる不正をなくすには、暴力によらず、キリスト教的な人間愛によるべきだとする<トルストイ主義>は、童話『イワンの馬鹿』(1885年)にもよくあらわされている。
(『学習人物事典』315ページ より)
『戦争と平和』や『復活』などの作品を書いたトルストイは、人間と世界をすくう道を考えつづけ、トルストイ主義を説いて世界に大きなえいきょうをおよぼした。
(『学習人物事典』314ページ より)
*告白:1882年に完成した作品だが、発表されるとすぐさま発売禁止となった。またこの作品を境にトルストイの目は宗教に向けられるようになったが、その宗教活動は厳しく監視されてもいた
晩年:理想と現実の狭間で最後の長編『復活』(1898~1899年)は、トルストイの晩年の考え方をまとめたものといえるが、いっぽう、その考え方を実現することのむずかしさにも、なやまなければならなかった。
(『学習人物事典』315ページ より)
晩年、トルストイは、農民たちの惨状に心を痛め、地主としての特権や家族を捨てて一農民として生きようと決意し、漂ひょう泊はくの旅にでたが、一寒村の駅で行き倒れて死んだ。
(『倫理用語集』263ページ トルストイ より)
そうしたなやみのはてに、1910年10月、家庭も財産もすてて放浪の旅に出たが、やがて肺炎にかかって、11月7日にいなかの鉄道の駅*でその人生をおえた。
(『学習人物事典』315ページ より)
*いなかの鉄道の駅:リャザン・ウラル鉄道の小さな駅である『アスターポボ』のこと。現在では『トルストイ駅』と改名され、『トルストイ博物館』となっている
影響:ロランやガンディーらトルストイの思想は、ガンディーやロマン=ロラン、日本の白樺しらかば派は同人など、世界の多くの人々に大きな影響を与えた。
(『倫理用語集』263ページ トルストイ より)
大地に汗して働く農民にひかれた彼は、農耕生活を大切にし、国家・軍隊や私有財産制を否定し、キリスト教の隣人愛の実践と非暴力主義による人類救済を提唱した。
(『倫理用語集』263ページ トルストイ より)
逸話:『戦争と平和』で得た収入の使い道彼は「『戦争と平和』から得られた収入は、自分に何かを求めてやってくる人々のために使いたい」と妻にいい、その収入を家計に用いることを許さなかったと伝えられている。
(『倫理用語集』263ページ トルストイ より)
スポンサーリンク『飛び込め』と学校教育
最後は本作:『飛び込め』の学校教育にまつわる情報です。
スポンサーリンク 小学4年生の教科書に掲載まず本作は小学校4年生の教科書に掲載されたことがあるようです。
「とびこみ」は、小学四年生の教科書に採録された。
(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』170ページ より)
ーーーーー 補:上記ではタイトルが『とびこみ』と表記されていますが、これはこのページでご紹介させていただいた『飛び込め』とまったく同じ作品です。 ーーーーー
実際に行われた指導例なお、実際の学校教育の現場では、本作は、少なくとも次の2つの指導が行われたことがあるといいます。
<1>場面の様子を詳しく読み取るまず一つ目は、『登場人物の行動に注意して、場面の様子を詳しく読み取る』です。
「とびこみ」は、小学四年生の教科書に採録された。
授業では、次のような指導が行われた。
・登場人物の行動に注意して、場面の様子を詳しく読み取る。
(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』170ページ より)
<2>書き出しの部分とその後の事件との結び付きを振り返る二つ目は、『書き出しの部分とその後に起こった事件との結び付きの振り返り』です。
「とびこみ」は、小学四年生の教科書に採録された。
授業では、次のような指導が行われた。(中略)
・書き出しの部分が、その後に起こる事件とどのように結び付いてくるのかを、振り返ってみる。
(『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』170ページ より)
スポンサーリンクトルストイ:『飛び込め』のまとめ
本作:『飛び込め』では、登場人物たちの心情が、場面ごとに刻々と描かれていました。
スポンサーリンク 参考文献>>イワンのばか 三・四年むき
>>もう一度読みたい 教科書の泣ける名作
>>青空文庫
>>小・中学校の教科書にでる学習人物事典
>>倫理用語集
>>童話学がわかる
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童話