第三章の二 離婚等をした場合における特例
第三章の二 離婚等をした場合における特例

第三章の二 離婚等をした場合における特例

 本章では、離婚や事実婚の解消に伴う厚生年金の分割について規定されています。この特例は、特に離婚後の生活保障を目的として、配偶者が支払った厚生年金保険料に基づく年金分割を可能にし、将来の年金額に影響を与える重要な制度です。

目次
  • 第七十八条の二 離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例
    • 離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例
    • 標準報酬改定請求
      • 合意なし
      • 合意あり
      • 請求期限(則78条の3)
  • 第七十八条の三 請求すべき按分割合
      • 注記
  • 第七十八条の四~第七十八条の五 当事者等への情報の提供等
      • 注記
  • 第七十八条の六 標準報酬の改定又は決定
    • 標準報酬の改定又は決定
      • (1)第1号改定者
      • (2)第2号改定者
    • 離婚時みなし被保険者期間
    • 効力
  • 第七十八条の七~第七十八条の八 記録及び通知
  • 第七十八条の九 省令への委任
  • 第七十八条の十 老齢厚生年金等の額の改定
    • 老齢厚生年金
    • 障害厚生年金
  • 第七十八条の十一 標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付の特例
    • 被保険者期間
    • 標準報酬
  • 第七十八条の十二 政令への委任
  • 第七十八条の二 離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例

    第七十八条の二(離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例)1 第一号改定者(被保険者又は被保険者であつた者であつて、第七十八条の六第一項第一号及び第二項第一号の規定により標準報酬が改定されるものをいう。以下同じ。)又は第二号改定者(第一号改定者の配偶者であつた者であつて、同条第一項第二号及び第二項第二号の規定により標準報酬が改定され、又は決定されるものをいう。以下同じ。)は、離婚等(離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者について、当該事情が解消した場合を除く。)、婚姻の取消しその他厚生労働省令で定める事由をいう。以下この章において同じ。)をした場合であつて、次の各号のいずれかに該当するときは、実施機関に対し、当該離婚等について対象期間(婚姻期間その他の厚生労働省令で定める期間をいう。以下同じ。)に係る被保険者期間の標準報酬(第一号改定者及び第二号改定者(以下これらの者を「当事者」という。)の標準報酬をいう。以下この章において同じ。)の改定又は決定を請求することができる。ただし、当該離婚等をしたときから五年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。一 当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合(当該改定又は決定後の当事者の次条第一項に規定する対象期間標準報酬総額の合計額に対する第二号改定者の対象期間標準報酬総額の割合をいう。以下同じ。)について合意しているとき。二 次項の規定により家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき。2 前項の規定による標準報酬の改定又は決定の請求(以下「標準報酬改定請求」という。)について、同項第一号の当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。3 標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の謄本の添付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならない。(R8.4.1改正)
    • 「第1号改定者」とは、被保険者若しくは被保険者であった者又は旧法による被保険者であった期間とみなされた期間を有する者(旧法による脱退手当金の計算の基礎となった期間を除く)であって、標準報酬の改定又は決定の規定により標準報酬が改定されるものをいう。(法附則17条の8、法附則4条)
    • 「第2号改定者」とは、第1号改定者の配偶者であった者であって、標準報酬が改定され、又は決定されるものをいう。
    • 「離婚等」とは、離婚、婚姻の取消し又は婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった当事者について、当該当事者の一方の被扶養配偶者である第3号被保険者であった当該当事者の他方が当該第3号被保険者としての国民年金の被保険者の資格を喪失し、当該事情が解消したと認められること(当該当事者が婚姻の届出をしたことにより当該事情が解消した場合を除く)をいう。(則78条)
    • 「対象期間」とは、婚姻が成立した日から離婚が成立した日までの期間、婚姻が成立した日から婚姻が取り消された日までの期間又は婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった当事者の一方が当該当事者の他方の被扶養配偶者である第3号被保険者であった期間をいう。(則78条の2)
    • 「標準報酬改定請求」とは、標準報酬の改定又は決定の請求をいう。
    離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例

     第1号改定者又は第2号改定者は、離婚等をした場合であって、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するときは、実施機関に対し、当該離婚等について対象期間に係る被保険者期間の標準報酬(第1号改定者及び第2号改定者(「当事者」という)の標準報酬をいう)の改定又は決定を請求することができる。 ただし、平成19年4月1日前に離婚等をした場合又は離婚等をしたときから2年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない。(平16法附則46条)(1)当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意しているとき(2)家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき

    標準報酬改定請求 合意なし

     標準報酬改定請求について、当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

    合意あり

     標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならない。 なお、当事者の一方が死亡した日から起算して1月以内に、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他の厚生労働省令で定める方法により当事者の他方による標準報酬改定請求があったときは、当事者の一方が死亡した日の前日に標準報酬改定請求があったものとみなす。(令3条の12の7)

    請求期限(則78条の3)

     離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過したときは、原則として行うことはできない。ただし、離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過した日前に請求すべき按分割合に関する審判の申立てがあったときであって、当該按分割合を定めた審判が離婚等をしたときから2年を経過した後に確定したときは、当該確定した日の翌日から起算して6月を経過する日までは請求を行うことができる。

    第七十八条の三 請求すべき按分割合

    第七十八条の三(請求すべき按分割合)1 請求すべき按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額(対象期間に係る被保険者期間の各月の標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)と標準賞与額に当事者を受給権者とみなして対象期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額をいう。以下同じ。)の合計額に対する第二号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え二分の一以下の範囲(以下「按分割合の範囲」という。)内で定められなければならない。2 次条第一項の規定により按分割合の範囲について情報の提供(第七十八条の五の規定により裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官が受けた資料の提供を含み、これが複数あるときは、その最後のもの。以下この項において同じ。)を受けた日が対象期間の末日前であつて対象期間の末日までの間が一年を超えない場合その他の厚生労働省令で定める場合における標準報酬改定請求については、前項の規定にかかわらず、当該情報の提供を受けた按分割合の範囲を、同項の按分割合の範囲とすることができる。 注記

     請求すべき按分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額の合計額に対する第2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下の範囲(「按分割合の範囲」という)内で定められなければならない。

     ただし、按分割合の範囲について法78の4(当事者等への情報の提供等)の規定により情報の提供を受けた日が対象期間の末日前であって対象期間の末日までの間が1年を超えない場合その他の厚生労働省令で定める場合における標準報酬改定請求については、当該情報の提供を受けた按分割合の範囲を、請求すべき按分割合の範囲とすることができる。

    第七十八条の四~第七十八条の五 当事者等への情報の提供等

    第七十八条の四(当事者等への情報の提供等)1 当事者又はその一方は、実施機関に対し、主務省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であつて次項に規定するものの提供を請求することができる。ただし、当該請求が標準報酬改定請求後に行われた場合又は第七十八条の二第一項ただし書に該当する場合その他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。2 前項の情報は、対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、これらの算定の基礎となる期間その他厚生労働省令で定めるものとし、同項の請求があつた日において対象期間の末日が到来していないときは、同項の請求があつた日を対象期間の末日とみなして算定したものとする。第七十八条の五 実施機関は、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官に対し、その求めに応じて、第七十八条の二第二項の規定による請求すべき按分割合に関する処分を行うために必要な資料を提供しなければならない。 注記

     当事者又はその一方は、実施機関に対し、主務省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報の提供を請求することができる。ただし、次の(1)~(3)のいずれかに該当するときはこの限りでない。(1)請求が標準報酬改定請求後に行われた場合(2)離婚等をしたときから2年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合(3)情報提供の請求により情報の提供を受けた日の翌日から起算して3月を経過していない場合(則78条の7)

    第七十八条の六 標準報酬の改定又は決定

    第七十八条の六(標準報酬の改定又は決定)1 実施機関は、標準報酬改定請求があつた場合において、第一号改定者が標準報酬月額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準報酬月額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。一 第一号改定者 改定前の標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額。次号において同じ。)に一から改定割合(按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率をいう。以下同じ。)を控除して得た率を乗じて得た額二 第二号改定者 改定前の標準報酬月額(標準報酬月額を有しない月にあつては、零)に、第一号改定者の改定前の標準報酬月額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額2 実施機関は、標準報酬改定請求があつた場合において、第一号改定者が標準賞与額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準賞与額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。一 第一号改定者 改定前の標準賞与額に一から改定割合を控除して得た率を乗じて得た額二 第二号改定者 改定前の標準賞与額(標準賞与額を有しない月にあつては、零)に、第一号改定者の改定前の標準賞与額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額3 前二項の場合において、対象期間のうち第一号改定者の被保険者期間であつて第二号改定者の被保険者期間でない期間については、第二号改定者の被保険者期間であつたものとみなす。4 第一項及び第二項の規定により改定され、又は決定された標準報酬は、当該標準報酬改定請求のあつた日から将来に向かつてのみその効力を有する。 標準報酬の改定又は決定

     実施機関は、標準報酬改定請求があった場合において、第1号改定者が標準報酬月額又は標準賞与額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準報酬月額及び標準賞与額をそれぞれ次の(1)及び(2)に定める額に改定し、又は決定することができる。

    (1)第1号改定者

     改定前の標準報酬月額及び標準賞与額に1から改定割合を控除して得た率を乗じて得た額

    (2)第2号改定者

     改定前の標準報酬月額(標準報酬月額を有しない月にあっては、零)及び標準賞与額(標準賞与額を有しない月にあっては、零)に、第1号改定者の改定前の標準報酬月額及び標準賞与額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額

    離婚時みなし被保険者期間

     対象期間のうち第1号改定者の被保険者期間であって第2号改定者の被保険者期間でない期間については、第2号改定者の被保険者期間であったものとみなす。本規定により被保険者期間であったものとみなされた期間を「離婚時みなし被保険者期間」という。

    効力

     改定され、又は決定された標準報酬は、当該標準報酬改定請求のあつた日から将来に向かってのみその効力を有する。

    第七十八条の七~第七十八条の八 記録及び通知

    第七十八条の七(記録) 実施機関は、厚生年金保険原簿に前条第三項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(以下「離婚時みなし被保険者期間」という。)を有する者の氏名、離婚時みなし被保険者期間、離婚時みなし被保険者期間に係る標準報酬その他主務省令で定める事項を記録しなければならない。第七十八条の八(通知) 実施機関は、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定を行つたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。

    第七十八条の九 省令への委任

    第七十八条の九(省令への委任) 第七十八条の二から前条までに定めるもののほか、標準報酬改定請求及び標準報酬の改定又は決定の手続に関し必要な事項は、主務省令で定める。

    第七十八条の十 老齢厚生年金等の額の改定

    第七十八条の十(老齢厚生年金等の額の改定)1 老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(対象期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他の政令で定める場合にあつては、政令で定める期間)及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。2 障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る標準報酬が第七十八条の六第一項及び第二項の規定により改定され、又は決定されたときは、改定又は決定後の標準報酬を基礎として、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。ただし、第五十条第一項後段の規定が適用されている障害厚生年金については、離婚時みなし被保険者期間は、その計算の基礎としない。 老齢厚生年金

     老齢厚生年金の受給権者について、標準報酬の改定又は決定が行われたときは、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(対象期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他の政令で定める場合にあっては、政令で定める期間)及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。

    障害厚生年金

     障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る標準報酬が改定され、又は決定されたときは、改定又は決定後の標準報酬を基礎として、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。 ただし、被保険者期間の月数が300に満たないことにより、これを300として計算されている障害厚生年金については、離婚時みなし被保険者期間は、その計算の基礎としない。

    第七十八条の十一 標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付の特例

    第七十八条の十一(標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付の特例) 第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付についてこの法律を適用する場合においては、次の表の上欄に掲げる規定(他の法令において、これらの規定を引用し、準用し、又はその例による場合を含む。)中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとするほか、当該保険給付の額の計算及びその支給停止に関する規定その他政令で定める規定の適用に関し必要な読替えは、政令で定める。第四十四条第一項 被保険者期間の月数が二百四十以上 被保険者期間(第七十八条の七に規定する離婚時みなし被保険者期間(以下「離婚時みなし被保険者期間」という。)を除く。以下この項において同じ。)の月数が二百四十以上第四十六条第一項 の標準賞与額 の標準賞与額(第七十八条の六第二項の規定による改定前の標準賞与額とし、同項の規定により決定された標準賞与額を除く。)第五十八条第一項 被保険者であつた者が次の 被保険者であつた者(第四号に該当する場合にあつては、離婚時みなし被保険者期間を有する者を含む。)が次の 被保険者期間

     下表のとおり、被保険者期間を被保険者期間(離婚時みなし被保険者期間を除く)とする。

    対象離婚時みなし被保険者期間を除く根拠60歳台前半の老齢厚生年金1年以上の被保険者期間法附則17条の1060歳台前半の老齢厚生年金の定額部分の計算被保険者期間の月数法附則17条の10長期加入者の特例による60歳台前半の老齢厚生年金被保険者期間が44年以上法附則17条の10加給年金額被保険者期間の月数が240以上法78条の11 標準報酬

     在職老齢年金の計算において、離婚等をした場合における標準報酬の決定又は決定の特例の規定により総報酬月額相当額を算定する場合、改定前の標準賞与額とし、当該規定により決定された標準賞与額を除く。(平16法附則48条)

    第七十八条の十二 政令への委任

    第七十八条の十二(政令への委任) この章に定めるもののほか、離婚等をした場合における特例に関し必要な事項は、政令で定める。 過  去  問(第3章の2)
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