ウィッシュボーンBBのベアリング打ち替え
ウィッシュボーンBBのベアリング打ち替え 2021 1/19 コラム WISHBONE 2021年1月19日2021年1月22日 20207viewこの記事は約 9分で読めます。
ウィッシュボーンのベアリングを汎用ベアリングに打ち替えるカスタムを行ったので、その記録を残しておきます。
目次経緯
先日、Oltre XR4のフレームを購入しました。
このフレーム、単体売りかと思いきや、BBとのセット販売でした。
BIANCHI 2020 ロードフレーム OLTRE XR4 WISHBONE BBセット
セット販売されていたのは、ウィッシュボーンというブランドのBBでした。
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ウィッシュボーンは各種圧入式のBB規格に対応した互換BBを販売しているブランドです。今回付いてきたのは、シマノの提唱するBB86規格に対応したものでした。
正直、私はBBで走行性能が変わるとは考えていません。本製品もセラミックベアリングを採用しているようですが、荷重も掛けずにクランクを空転させてスムーズに回ることには大した意味はないはず(詳しい理由はこちらのページを参照)。
私はシマノの純正BBをこれまで使ってきて性能的な不満も無いので、ウィッシュボーンのBBは売却してシマノのBBを取り付けるつもりでいました。何より耐久性が凄いですしね、シマノのBB。
興味が出てくるただ、使いもしないで「使うまでもない」と言い切ってしまうのは、パーツレビューを趣味とする人間としてどうなのか?という思いもありました。
そこでウィッシュボーンについて調べてみると、中々面白い特徴があることが分かりました。
まずは、左右締結式のBBであること。
シマノのBBは左右のワンが独立しており、そこを結ぶのはプラスチックの筒です。これに対し、ウィッシュボーンのBBはワンと一体型のスリーブ同士をねじ込む構造になっています。
これにより、圧入時に曲がってフレームにBBが取り付けられることを防ぎ、更に左右のベアリングの平行が保たれるのでクランクの軸が歪みにくくベアリングの性能を活かしやすいとのこと。なるほど、なんか良さそう。
実際にはBBが曲がって圧入されることはほとんど無いそうですが、左右のワンが締結されていることによる剛性アップの恩恵もありそうだな、と思いました。その分、かなり重いですが(シマノBBのほぼ倍の重量)。
あとは、フレームに優しそうな点も良いなと。
以前一度だけハンマーでプレスフィットBBを叩いて外す様子を見たことがありますが、自分の自転車だったら耐えられないような音がしていました。最近はハンマーで叩かなくても外せる工具のほうが一般的なようなので、そこまでメリットとは言えないかもしれません。
音鳴りがしにくいという特徴もあるそうですが、シマノのBB86で特に音鳴りが出たことはないので、これは特に気にしていませんでした。
問題点
徐々に興味が出てきたので、せっかくだからウィッシュボーンのBBを使ってみる方向に気持ちが傾いてきました。
しかし、調べていくうちに一つ問題があることが分かりました。どうも耐久性がイマイチという声が見られるのです。
耐久性の問題残念ながらネット上にはウィッシュボーン導入直後のインプレは多くても、その後の耐久性について書かれたレポートは一握り。そこで、Twitterの集合知に頼ってみることにしました。
【ゆるぼ】ウィッシュボーンのBB86の耐久性情報。フレームとセット販売だったので手元にあるけど、使うかどうするか迷ってます。
— ばる (@barubaru24) January 3, 2021
付いているレスを見て頂けると分かるのですが、「全然ダメ」「かなり持つ」が真っ二つ。うーん。
「全然ダメ」派の人に聞いてみると、「3000km程度でベアリングがゴリゴリしてくる」とのことでした。たった3000kmで寿命というのはちょっとロングライダー的には困ります。下手すれば二ヶ月しないで寿命ということですからね。
経験上、シマノのBBだと10000kmくらい使うとベアリングの玉が摩耗するのか、そういった症状が出ることはあります。しかし、ガンガン乗っても1年くらいは交換しなくてよいわけです。
ウィッシュボーンの価格は約20000円。シマノの4倍の値段なのに寿命が1/3というのはちょっと納得がいかない。
ウィッシュボーンのBBはセラミックベアリングを採用していますが、ベアリングの中の玉だけがセラミックという状態らしく、グリスが切れるとレース部分を削ってしまって寿命を迎えるようです。逆に言えばグリスアップさえ2ヶ月に1回くらいのペースで行っていれば、それなりに持つということですが、ズボラな私にはそれは難しい……。
耐久性に問題なしの意見も一方で「かなり持つ」と回答した方の意見はどうだったのか。
たしかワイのcayoやガリウムがそれ使ってる 問題なし
— ふぃりりん殿下 (@ymp1032) January 3, 2021
「持つ」派の回答者は、ロングライド仲間のふぃりっぷさん。走行距離は年間20000kmを超える猛者である彼が使って問題が無いというのなら、耐久性は折り紙つきということになります。
ただ、どうも話を聞いてみると定期的にショップでグリスアップしてもらっていることに加えて、「ベアリングを打ち替えてもらった」とのことでした。これが耐久性の秘密のようです。
ウィッシュボーンの代理店であるコリドールのFacebookページを見ると、以下の記述があります。
WISHBONEのボトムブラケットはベアリングの交換が可能です。 交換することで、末永く良い状態でお使いいただけます。
交換用ベアリングの販売もしているようです。たとえベアリングが寿命を迎えても、交換が可能なので長く使える……ということのようですね。
解決策
定期的なグリスアップを行えば寿命は伸ばせそうということは分かりました。
しかし、グリスアップを忘れてベアリングのレースが削れてしまったら即ベアリング交換です。交換用のベアリングは買えることは分かったものの、それまでの間、2ヶ月毎にクランクを外してグリスアップをするのはちょっと嫌だな、と考えていました。
ベアリングを打ち替えた所で、ウィッシュボーン純正のベアリングはセラミック。定期的なグリスアップはその後も続ける必要があります。
汎用ベアリングを使うそんな時に頂いたのが、ウィッシュボーンのユーザーであるジョニーさんからのアドバイスでした。
ベアリングはプーラーで叩き出して新しいベアリング圧入ですね。 BB86用なら6805のシールベアリングですね
— ジョニー・デブ (@johnnie_debu) January 3, 2021
「6805」というのは汎用のベアリングの規格です。外径37mm、内径25mm。ウィッシュボーンのBB86互換品には、この規格のベアリングが入ってるとのことでした。
「シールベアリング」と言うのは、良く聞く「シールドベアリング」とは別のものです。この2つ、似てはいますが英語で書くと別の単語を使っているのです(@kousukemiyata さん、解説ありがとうございました。)。
・シールドベアリング → Shield Bearing ・シールベアリング → Seal Bearing シールド vs シール Shieldは「盾」の意味です。プレートで防護することを指しますが、いわば「落としブタが乗っているだけ」の状態。異物(水や埃)は入ってきてしまいます。 Sealは「密閉」の意味です。密封ゴムで隙間なく封をすることで、異物は入りません。これによって、ほぼメンテフリーを実現しています。ただし、回転のスムーズさはShieldには劣ります。 ウィッシュボーンのBBに最初から入っているベアリングは「Shield」。異物が入るので定期的に掃除&グリスアップをする必要があります。自転車は野外で使うものですし、汚れやすいですからね。 (2021/1/22 追記) ウィッシュボーンBBを分解してみましたが、両側接触型の「Seal」ベアリングでした。 これに対し、ジョニーさんが打ち替えたベアリングは「Seal」。密閉されているので水や埃に強く、ほぼノーメンテで使えるとのことでした。ちなみに、シマノのBBに入っているのもSealのほうだそうです。ノーメンテで良いと言っても永遠に使えるわけではありませんが、10000km持つならば御の字。 私はセラミックベアリングの回転性能には特に興味はありません。興味があるのは、ウィッシュボーンの左右締結構造の方。ならば、多少回転性能を落としてもメンテナンス頻度を大幅に減らせる汎用のシールベアリングを使ってみたほうが私のスタイルに合うだろうと判断しました。 ShieldとSealの差については、こちらのサイトが詳しいです。 購入した汎用ベアリングジョニーさんのアドバイスを得て、以下のベアリングを購入しました。
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注文して数日、ベアリングが届きました。
NSK 6805 DDU届いたシールベアリング。茶色の部分がゴム製シールです。隙間なく封がされていますね。
打ち替え打ち替えする工具が我が家には無いので、某所に作業をお願いしました。
一週間後、作業完了の連絡を頂きました。
こちらは打ち替え後のウィッシュボーンBB。ベアリングは圧入されているので見た目は特に変わっていません。重さも同じで106g。
指で少し回してみましたが、思ったよりも回転は重くなかったです。もっとも、荷重の無い状態で回すことにどれだけ意味があるかは分かりませんが……。
こちらはウィッシュボーンBBに最初から入っていたシールドベアリング。青い部分がシールドですが、確かに内輪と外輪の間に隙間が。ここから異物が入ってしまうということのようです。
(2021/1/22 追記) 前述の通り、こちらは「シールド」ではなく「シール」ベアリングでした。シール部分を外したのがこちら。隙間に見えた部分にもちゃんとシールが伸びていました。 純正ベアリングの寿命が短いのは、硬いセラミック球を使用したことにより、レースが削れてしまうことが原因だったと推測されます。
まとめ
ウィッシュボーンBBのベアリングを汎用シールベアリングに打ち替えた話でした。
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ちなみにベアリング購入&打ち替えで4500円ほど掛かっています。シマノのデュラBBが買えてしまう値段です。検証のためとは言え、物凄く贅沢なことをしていますね……。
この打ち替え済BBはオルトレに組み込みます。組み上がりは2月の中旬以降になりそう。感触と耐久性が今から楽しみです。
なお、汎用ベアリングへの打ち替えはメーカー想定の使い方とは異なりますので、何かあってもメーカーの保証の対象外となります。参考にされる場合は自己責任のもと、行ってください。
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著者情報
年齢: 36歳 (執筆時) 身長: 176cm / 体重: 82kg 自転車歴: 2009年~ 年間走行距離: 10000~15000km ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤 普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ) 私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。 # 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。
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