曲輪クエスト(104)墨田区東墨田“木下川” (前編)
曲輪クエスト(104)墨田区東墨田“木下川” (前編)

曲輪クエスト(104)墨田区東墨田“木下川” (前編)

東京には同和地区もなければ部落差別もないと言われるが、そうではないことが分かる場所があるそうなので探訪してみた。1935年当時は500世帯、主な産業は皮革、油脂膠製造であり、「木下川(きねがわ)」とも呼ばれる地区である。

この、京成電鉄八広駅から探訪を始める。父親の代から八広で皮革商をしていたという方に案内していただいた。

大通りを進んでいくと…

これは東墨田会館。普通の公民館である。

さらに進むと、都立皮革技術センターがある。広報誌で「木下川」という地名を隠したという、訳のわからない理由で解放同盟からいちゃもんを付けられた。

これは革の染色工場。かつてはこのような皮革関連の工場が何十とあったが、今は数えるほどになってしまったという。

このファミリーマートの駐車場は、都心近くにしてはかなり広い。この辺りの土地が安いことを示唆している。

そのファミリーマートから少し歩くと…

墨田区社会福祉会館がある。これが、普通の公共施設ではないことはすぐに分かる。画像の通りで、もはや説明は不要だろう。

今時、関西の隣保館でも、ここまであからさまに同和アピールしているところは珍しい。

中に入ると、ここが部落であり、皮革は部落産業であることを、これでもかというほどにアピールする展示物がある。案内人によれば、社会福祉会館があるのは知っていたが、中に入ってみるのは初めてだそうだ。

東京都は「同和地区はないが、同和関係者は存在する」という論理で、都の予算で事実上属人的な同和対策をしてきた。その根拠の1つが、皮革産業は部落産業だという理屈だ。それゆえに「皮革業者は部落民なんです!」と必死に主張しないといけなくなっているなら、本末転倒な気がする。

この豚革のスーツは案内人の見立てでは5~6万円はするそうだ。実は、東墨田の皮革は牛革ではなく豚革が主だ。牛革よりもむしろ耐久性があって高品質なのだが、豚というイメージがいまいち良くないので、ブランド価値を上げるために試行錯誤しているという。

しかし、この施設を見る限り、ブランド価値を上げるよう努力しているようには見えない。

これでは、多くの人は怖くて施設を使いたくないんじゃないかというのが地元案内人の感想。

日曜日なのに館内は閑散としている。

子供が卓球に興じる姿があり、別の部屋では会食のようなことも行われていて、全く人がいないということはないのだが、都内のこの種の施設にしてはあまりにも空いている。地方の隣保館の方が賑わっているような…

地方の隣保館では、周辺地区の利用者を増やすためか、この種の掲示物は減っているのだが、この施設は、何というか昭和の隣保館の雰囲気をそのまま残している。

館内はとても施設が充実している。

昔の皮革工場の模型。昭和の頃まではこのような工場が実際にあったそうだ。城のような構造になっているのは、革を干すためだという。木造なので火事になったら大変そうだ。

革製品ができるまでの工程。これは単純に勉強になる。案内人によれば、フレッシングまでの工程で原皮についている肉や油が腐って悪臭が凄いことになるそうだ。また、なめしの工程でクロムを使うと有害な重金属を含む排水が出る。

これでもかというように、木下川は部落だと強調する掲示物。

逆に、ここが部落だとは見た目では分からないし誰も気にしないものだから、ここまで必死にアピールするのではと思ってしまう。

「同和相談室」という、おそらくほとんどの東京都民には意味不明な部屋。地元案内人もこれは知らなかったそうだ。

会館の職員に聞いても、「よく分からない」とか「解放同盟支部が入っていたけど出ていった」とか説明が二転三転して埒が明かない。さらに別の人に聞くと、要は月曜から土曜日まで部落解放同盟墨出支部に委託して人権相談をやっているとのこと。

しかし、具体的にどのような相談ができるのかと言うと、同和問題に限らず人権に関する相談というだけではっきりしない。地元案内人が聞いても、人権相談は区役所でもやっていると言い出す始末。それなら、この同和相談室は何のためにあるのか?

同和事情については地元案内人より筆者のほうが詳しかったかも知れない。

外にも同和相談室と書いてあるのだが…

後日、同和相談が行われているという平日に来てみたところ、部屋の中は応接室のようになっていて、何やら話をしていた。「今は別の相談中なので」と断られたので、とにかく、同和相談は実際に行われているらしい。何を相談しているのかは分からないが。

これは、社会福祉会館の隣りにある都営東墨田2丁目アパート。事実上の同和住宅であったという。

とにかく、「同和」については社会福祉会館だけでお腹いっぱいになってしまった。ここは同和対策事業の上の同和地区ではないが、紛れもなく東京都が独自に設定した同和地区と言えるだろう。

ちなみに、八広の観光スポットとして、王貞治ゆかりのデカ盛りで定評のあるお店がある。どこのことかは、各自ググって頂きたい。

後編ではさらに皮革工場地帯を探訪し、東墨田の皮革事業を解説する。(後編に続く)

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