【優しさ/藤井風】コード進行と分析
【優しさ/藤井風】コード進行と分析- 2024年8月28日
- 藤井風
- BPM67, キーD♭, サブドミナントマイナー, セカンダリードミナント, ドミナントマイナー, ピボットコード, モーダルインターチェンジ, 転調
藤井風さんの代表曲のひとつともいえる「優しさ」。
リリース後にパワープレイ曲としていたるところで流れていたのもあって、この楽曲で藤井風さんを知った方も多いでしょう。 今回はこの「優しさ」のコード進行について分析していきます!
ここからの内容は、er-music編集部の独自の見解になります。 読者様との解釈に相違がある場合も、考え方の一例、娯楽の一環としてご覧ください。 また、ダイアトニックコードの理解があるとより楽しめるかと思います。 >>ダイアトニックコードについて 目次- 1 全体を通して
- 2 イントロ
- 3 冒頭サビ
- 4 Aメロ
- 5 Bメロ
- 6 Aメロ2
- 7 Bメロ2
- 8 サビ
全体を通して
構成イントロ→冒頭サビ→Aメロ→Bメロ→Aメロ2→Bメロ2→サビ→Cメロ→間奏→ラスサビ→アウトロ
特徴イントロ・冒頭サビはD♭、Aメロ・Aメロ2はB♭、Bメロ・Bメロ2はGと、度々転調を繰り返すのがこの楽曲の特徴の一つです。
BPM67の緩やかなバラードですが、再生時間は4分ジャストとコンパクトにまとまっています。
イントロ
1~4小節目コードG♭maj7→A♭→B♭m7→Fm7→E♭m7→A♭7(♭9)→D♭→G7(♯5,9)ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅴ7(♭9)→Ⅰ→♯Ⅳ7(♯5,9)
一拍毎にコードチェンジするピアノからはじまるイントロ。
4-5-6-3と行ってからのツーファイブワン。 小節目のⅤ7(♭9)の♭9thはオルタードテンションと呼ばれ、暗い響きをもっています。
♯Ⅳ7(♯5,9)は♯Ⅳ7の完全5度がシャープし、9thのテンションが加えられたコード。
5~8小節目コードG♭maj7→F7(♭9)→B♭7(9)→D♭7(♯5,♭9)→G♭maj7→Cm7(9,13)→F7(♯5,♭9)ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅲ7(♭9)→Ⅵ7(9)→Ⅰ7(♯5,♭9)→Ⅳmaj7→Ⅶm7(9,13)→Ⅲ7(♯5,♭9)Ⅲ7(♭9)はセカンダリードミナント。Ⅵに対するドミナントコードの為、暗い雰囲気を感じさせるコードです。
Ⅵ7(9)はセカンダリードミナント。Ⅵは平行短調のトニックであり、本来は暗い雰囲気を持っていますが、ここではセブンスコードになっている上に9thのテンションが付加されている為、明るい響きになっています。
Ⅰ7(♯5,♭9)はセカンダリードミナントであるⅠ7の完全5度をシャープさせ、♭9thを付加したコード。
Ⅶm7(9,13)→Ⅲ7(♯5,♭9)は、Ⅶm7(♭5)→Ⅲ7のようなマイナーキーのツーファイブが変化したものと解釈できます。
また、ピアノはトップノートが上昇していくボイシングになっています。
冒頭サビ
1~4小節目コードG♭maj7→A♭→B♭m7→Fm7→E♭m7→A♭7(♭9)→D♭→G7(♯5,9)ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅴ7(♭9)→Ⅰ→♯Ⅳ7(♯5,9)
「今何を」のアウフタクトで始まる冒頭サビ。
メロディが全体的にシンコペーションの多い譜割りになっているのが特徴的です。
進行はイントロと同様。
5~8小節目コードG♭maj7→F7(♭9)→B♭7(9)→D♭7(♯5,♭9)→G♭maj7→Cm7(9,13)→F7(♯5,♭9)ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅲ7(♭9)→Ⅵ7(9)→Ⅰ7(♯5,♭9)→Ⅳmaj7→Ⅶm7(9,13)→Ⅲ7(♯5,♭9)進行はイントロと同様。
9~12小節目コードG♭maj7(9)→A♭→B♭m7→D♭add9/F→E♭m7→E♭m7/A♭→D♭maj7→G7(♯5,9)ディグリ ー表記Ⅳmaj7(9)→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅰadd9/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅰmaj7→♯Ⅳ7(♯5,9)冒頭サビの二回し目ですが、ところどころコードが変化しています。
Ⅰadd9/ⅢはⅠadd9の長3度の音がルートにきている第一転回型のオンコードです。 藤井風さんがよく使われるコードで、「帰ろう」やMISIAさんへ楽曲提供した「Higher Love」でも聴くことができます。
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Ⅱm7/ⅤはⅤ7の代わりに使われているオンコード。 ポップスにおいてもよく使われるコードで、ドミナントとして機能しながらもⅤ7ほど緊張感がなく、Ⅱm7からの動きが滑らかで且つ浮遊感のある響きを持ったコードです。
13~18小節目コードG♭maj7→F7(♭9,♭13)→B♭m7→A♭m7(9)/D♭→G♭maj7→Cm7(♭5)→F7(♯9,♭13)→N.Cディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅲ7(♭9,♭13)→Ⅵm7→Ⅴm7(9)/Ⅰ→Ⅳmaj7→Ⅶm7(♭5)→Ⅲ7(♯9,♭13)→N.CⅤm7(9)/ⅠはドミナントマイナーであるⅤm7(9)のルートがⅠになっているコード。
Aメロ
1~4小節目コードE♭maj7→E♭dim7→Dm7→Ddim7→Cm7(9)→F7(♭9,♭13)→B♭maj7ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅳdim7→Ⅲm7→Ⅲdim7→Ⅱm7(9)→Ⅴ7(♭9,♭13)→Ⅰmaj7AメロはB♭メジャーキーで進んでいきます。
Ⅳdim7は、Ⅳmaj7→Ⅳdim7→Ⅲm7の流れからみるとⅦm7(♭5)の代理として使われているコードであると解釈できます。
E♭dim7の構成音は(E♭,G♭,A,C)、Am7(♭5)の構成音は(A,C,E♭,G)とほぼ同じで、つまりE♭dim7はAm7(♭5)の短7度の音が変位した形と言えます。
5~8小節目コードE♭maj7→E♭dim7→Dm7→Ddim7→Cm7(9)→D7(♯9)→Gmaj7ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅳdim7→Ⅲm7→Ⅲdim7→Ⅱm7(9)→Ⅲ7(♯9)→Ⅵmaj7Ⅲ7(♯9)→Ⅵmaj7の部分はこの時点でGメジャーキーになっており、Ⅴ7(♯9)→Ⅰmaj7であると解釈できます。
つづくBメロもGメジャーキーの雰囲気で進んでいきます。
Bメロ
1~4小節目コードAm7→Am7/D→D7(♭9)→Gmaj7→Cmaj7(9)ディグリ ー表記Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7(♭9)→Ⅰmaj7→Ⅳmaj7(9)
Aメロで自身の冷たさや小ささについて歌っていたのに対して、Bメロでは「この広い世界の中じゃ収まらないあなたの心」について歌っています。 そんな相手の心の広さを表すかのように、コードチェンジも1小節ごとになったり、緩やかで
Aメロからの流れで、ここからは全体的にGメジャーキーのコードで進行していきます。
Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7(♭9)の部分はⅡm7/ⅤがV7sus4のようなクッションとして使われています。 Ⅱm7/Ⅴは構成音がV9sus4と共通しているため、こういったsus4的な使われ方をすることも多いです。
5~8小節目コードFmaj7→Am7(♭5)→D7(♭9)→Gm7ディグリ ー表記♭Ⅶmaj7→Ⅱm7(♭5)→Ⅴ7(♭9)→Ⅰm7Gメジャーキーで考えると、♭Ⅶmaj7はモーダルインターチェンジによって同主短調から借用してきたコードであると解釈できます。
Ⅱm7(♭5)→Ⅴ7(♭9)→Ⅰm7の部分は、この時点でB♭メジャーキーになっていると考えるとⅦm7(♭5)→Ⅲ7(♭9)→Ⅵm7になります。
Aメロ2
1~4小節目コードE♭maj7→E♭dim7→Dm7→Ddim7→Cm7(9)→F7(♭9)→B♭maj7→Cm7→Dm7ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅳdim7→Ⅲm7→Ⅲdim7→Ⅱm7(9)→Ⅴ7(♭9,♭13)→Ⅰmaj7→Ⅱm7→Ⅲm7再びB♭メジャーキーに戻ります。
二回目のAメロ4小節目ではⅡm7→Ⅲm7が5小節目のⅣmaj7に向けて経過的に弾かれています。
5~8小節目コードE♭maj7→E♭dim7→Dm7→Ddim7→Cm7(9)→D7(♯9,♭13)→Gmaj7ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅳdim7→Ⅲm7→Ⅲdim7→Ⅱm7(9)→Ⅲ7(♯9,♭13)→Ⅵmaj7一回目のAメロの5~8小節目とほぼ同様で、変わっている点はⅢ7(♯9)に♭13が付加されている部分です。
Bメロ2
1~4小節目コードAm7(9)→Am7/D→D7(♭9)→Gmaj7(9)→Cmaj7(9)ディグリ ー表記Ⅱm7(9)→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7(♭9)→Ⅰmaj7(9)→Ⅳmaj7(9)
二回目のBメロではⅡm7やⅠmaj7に9thのテンションが付加されていることで、一回目よりきらびやかなイメージになっています。
5~8小節目コードCm7(9)→Dm7→E♭maj7→Em7(♭5)→E♭/F→F7(♭9)ディグリ ー表記Ⅱm7(9)→Ⅲm7→Ⅳmaj7→♯Ⅳm7(♭5)→Ⅳ/Ⅴ→Ⅴ7(♭9)
ここはキーB♭の雰囲気で進んでいきます。
4~5小節目のCmaj7(9)→Cm7(9)はGメジャーキーの流れで考えるとⅣmaj7(9)→Ⅳm7(9)、つまりサブドミナントからサブドミナントマイナーの動きといえます。 これはよくある進行ですが、ここではⅣm7(9)の時点でB♭メジャーキーになっていると考えます。
Ⅱm7(9)→Ⅲm7→Ⅳmaj7とルートが上昇していき、♯Ⅳm7(♭5)へ。 ここでの♯Ⅳm7(♭5)はⅣmaj7とⅣ/Ⅴのルートを半音でつなぐ経過音として使われています。
また、♯Ⅳm7(♭5)の構成音はⅣmaj7のルートを半音上げたものであるため、ベースのみが半音上昇しているともいえます。
8小節目のF7(♭9)はB♭メジャーキーで考えるとⅤ7(♭9)ですが、次に来るサビのD♭メジャーキーでみるとⅢ7(♭9)ということになります。
こうした別のキー同士で共通するダイアトニックコードをピボットコードと言い、これがうまく使われていることによって滑らかな転調が行われています。
サビ
1~4小節目コードG♭maj7(9)→A♭→B♭m7→D♭add9/F→E♭m7→E♭m7/A♭→D♭maj7→G7(♯5,9)ディグリ ー表記Ⅳmaj7(9)→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅰadd9/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅰmaj7→♯Ⅳ7(♯5,9)
キーはD♭に戻り、基本的な進行は冒頭サビと同様。
4-5-6と暗いコード進行を経て、冒頭サビでも登場したⅠadd9/Ⅲで一瞬暖かい安心感を感じさせ、ツーファイブで緊張させてⅠmaj7に解決するも、直後に♯Ⅳ7(♯5,9)でまた緊張させるという、一拍ごとにコードチェンジしているのも相まって忙しいコード進行。
5~8小節目コードG♭maj7→F7(♭9)→B♭m7→D♭7(♭13)→G♭maj7→Cm7(♭5)→F7(♯9,♭13)ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅲ7(♭9)→Ⅵm7→Ⅰ7(♭13)→Ⅳmaj7→Ⅶm7(♭5)→Ⅲ7(♯9,♭13)
基本的な進行は冒頭サビとほとんど同じですが、ところどころ変化している箇所もあります。
セカンダリードミナントのⅥ7(9)だった部分は、ダイアトニックコードのⅥm7になっているため、よりⅢ7(♭9)から解決できた感じがあります。
9~12小節目コードG♭maj7(9)→A♭→B♭m7→D♭add9/F→E♭m7→E♭m7/A♭→D♭maj7(9)→G7(♯5,9)ディグリ ー表記Ⅳmaj7(9)→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅰadd9/Ⅲ→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅰmaj7(9)→♯Ⅳ7(♯5,9)
冒頭サビと同様の進行です。
13~18小節目コードG♭maj7→F7(♭9,♭13)→B♭m7→A♭m7(9)/D♭→G♭maj7(9)→Cm7(♭5)→F7(♯9,♭13)→F7(♭9,♭13)ディグリ ー表記Ⅳmaj7→Ⅲ7(♭9)→Ⅵm7→/Ⅴm7(9)/Ⅰ→Ⅳmaj7→Ⅶm7(♭5)→Ⅲ7(♯9,♭13)→Ⅲ7(♭9,♭13)
Ⅲ7(♯9,♭13)からブレイクでN.Cになっていた部分はⅢ7(♭9,♭13)になっています。
♯9thが♭9thに変位し、Cメロにつながります。
- セカンダリードミナントが使われている曲
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