セルロイドとは何か? 世界最初のプラスチックの特徴と歴史をわかりやすく
セルロイドとは何か? 世界最初のプラスチックの特徴と歴史をわかりやすく 2024 1/17 化学の話 August 20, 2019January 17, 2024セルロイド、古い人形やおもちゃの材料として使われていたことを知っている人も多いのではないでしょうか? アンティークとして未だに人気が高いことも知られています。
現在でも、ギターのピックにはセルロイドがよく使われていますし、一部ですがメガネのフレームや万年筆のペン軸にも使われています。
実はこのセルロイド、人類が初めて手にした合成樹脂、プラスチックなのです。
今では、利用用途も限られてしまったセルロイドですが、かつては幅広い用途に使われていました。
そのセルロイドの特徴や歴史について簡単に説明したいと思います。
目次セルロイド発明の歴史
セルロイドが初めて合成されたのは、1856年のことで、”アレキサンダー・バーキス” というイギリス人が発明者です。
プラスチックの開発が進むきっかけになるベークライトの発明が1907年ですから、それよりも50年も前のことです。
パーキスは、この材料の特許を取得し、「パーキシン」と自らの名前を付けて売り出します。
しかし、パーキシンは主にコスト面の問題で広まることはありませんでした。
その問題を解決したのが、アメリカの ”ジョン・ウェズリー・ハイアット” で、1870年にビリヤード玉の材料として実用化されます。
セルロイドは、熱をかけると柔らかくなって成型できて、冷めると固まる「熱可塑性」という性質を持ったプラスチックです。
それを利用して熱をかけた状態で成型しで冷やすだけで様々な形にすることができます。このことから、幅広い用途に使用されていくことになります。
象牙の代替ビリヤードの玉は象牙で作られていました。その代替としてセルロイドが使われたのです。同様に、象牙が使われていた万年筆の筒や眼鏡のフレームにも利用されていきます。当時、乱獲によって激減していた象を守ったのがセルロイドだと言ってもいいかもしれません。
セルロイドの作り方
セルロイドの主原料は「セルロース」です。
セルロースは、植物の細胞壁や植物繊維を形作っているもので、木綿はセルロースの糸ですし、紙の原料のパルプもセルロースです。
≫≫セルロースとは? 植物が生んだ万能材料
最近では、セルロースの一種「セルロースナノファイバー」という材料が注目されています。
≫≫セルロースナノファイバー その特徴と製造法と広がる用途
このセルロースを化学処理(ニトロ化という手法)してできた「ニトロセルロース」と「樟脳」を反応させるとセルロイドになります。
セルロースも樟脳も植物由来の成分なので、バイオプラスチックの一種と考えることができます。
樟脳については、こちらの記事で詳しく説明していますので参考にして下さい(≫≫樟脳とはどんなもの? 暮らしを支えてきたユーティリティー物質)
セルロイドは本当に合成樹脂なのか
セルロイドは、世界初の合成樹脂と呼ばれることが多いのですが、分類方法によっては合成樹脂には入れないこともあります。
合成樹脂の反対は天然樹脂です。
この「合成」と「天然」をどこでわけるのか? それによって分類が変わってしまうのです。
樹脂は、分子が長く連なった高分子と呼ばれるものなのですが、人工的に高分子を作った場合を合成樹脂と呼ぶことが普通です。
しかしセルロイドの場合、原料のセルロースがすでに高分子なのです。
人工的に高分子化したものではないので、合成高分子とは呼ばないことが多いのです。
かといって天然樹脂そのものでもありません。天然の高分子を化学的に処理したものです。
そのため、セルロイドは「半合成樹脂」という中途半端な名称で呼ばれることもあります。
セルロイドと私たちが普段見慣れているプラスチック材料(人工的に高分子化したもの)とは成り立ちが違うのです。
セルロイドの隆盛と衰退
セルロイドは象牙の代替として使われ始めましたが、その後写真や映画のフィルム、アニメのセル画など幅広い用途で使われていました。
また、おもちゃや人形の材料としても、1950年代まで広く使われていました。
発明されてから70~80年もの間、他に替わるものがないほど重要な物質だったのです。
しかし、セルロイドには大きな欠点がありました。
セルロイドの欠点とはセルロイドの欠点、それは「とにかく燃えやすい」こと。
ニトロ化させた物質は、燃焼に必要な酸素を分子内に持つようになるので、燃えやすくなるという特徴があるのです。
ですから、ニトログリセリン、トリニトロトルエン(TNT火薬)など、ニトロと名の付くものには火薬が多く、セルロイド原料のニトロセルロースも火薬としても使われるものです。
セルロイド自身が火薬に近いものなので、摩擦熱などで簡単に発火し、セルロイド工場やフィルムを扱う映画館などでの火災が多発してしまったのです。
合成樹脂の広まり1940年代頃から、塩ビやポリエチレン、ナイロンなどの合成樹脂が工業化されて広まっていきます。
それにつれて、燃えやすいセルロイドは使われなくなっていきました。
また新しく開発された合成樹脂の方がセルロイドよりも価格が安く、耐久性も優れていたのです。
そして現在では、ギターのピック、メガネのフレームや万年筆のペン軸のごく一部にしか、利用されなくなってしまいました。
現在では、セルロイドを製造しているのは、ダイセル(元大日本セルロイド)だけという状態です。
高級感のある手触りなど、他のプラスチックにはない特徴を持った天然由来の材料ですが、安全性に問題があっては用途が限定されてしまうのも仕方ないことですね。
セルロイドの親戚アセチロイドとは
セルロイドによく似た材料として「アセチロイド(アセチル樹脂)」というものがあります。
セルロイドと同様にセルロースを原料にした植物由来の樹脂ですが、燃えやすいというセルロイドの最大の欠点を補ったものです。
このアセチロイドも眼鏡のフレームなどに使用されていますが、見た目や手触りの高級感ではセルロイドに劣ります。
このように改良材が現れてもセルロイドの持つ高級感までは再現できていないので、一部の用途には引き続きセルロイドは使われ続けていくのかもしれません。
世界最初のプラスチックであるセルロイドが、「高級感」という点では未だにナンバーワンなのかもしれません。
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