くも膜下出血の基礎知識
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くもまくかしゅっけつ くも膜下出血 主に脳の表面にある血管が破裂して、くも膜と脳の隙間に出血が起こる脳卒中。突然の激しい頭痛・意識障害などが特徴だが、症状が軽い人もいる 25人の医師がチェック 402回の改訂 最終更新: 2023.08.18 執筆・監修 医療事典 MEDLEY 編集チーム 医師・薬剤師

脳血管の一部が破裂して、出血がくも膜下腔に広がる病気を「くも膜下出血」といいます。原因の約80%を脳動脈瘤の破裂が占め、その他の原因には脳動静脈奇形からの出血などがあります。今までに経験したことがない激しい頭痛や吐き気・嘔吐などが主な症状で、重症化した人では意識がもうろうとします。 CT検査を中心とした画像検査などで診断が行われます。発症直後は「痛みをとること」「安静を保つこと」「血圧を下げること」が治療の中心になります。状態が落ち着いたところで原因(脳動脈瘤や脳動静脈奇形など)の治療(手術・カテーテル治療など)が行われます。状態によっては緊急手術が必要な人もいます。 突然今までにない激しい頭痛が現れて吐き気や嘔吐をともなう人は、くも膜下出血を起こしている可能性があります。近くの救命救急科や脳神経外科を速やかに受診してください。救急車を呼ぶことも検討してください。

  • 脳血管の一部が破裂して脳の周りの「くも膜下腔」という場所に出血が起きる病気
  • 英語のsubarachnoid hemorrhageを略してSAHと表記することもある
    • 「ザー」と読む医療関係者もいる
  • くも膜下出血は脳の周りで起こる出血の一種
    • 脳は「軟膜」「くも膜」「硬膜」という3つの膜で包まれている
      • 脳実質に最も近いのが軟膜、遠いのが硬膜
    • 軟膜とくも膜の間のスペースをくも膜下腔と呼ぶ
    • 狭い意味での脳出血は軟膜に包まれた脳自体の出血であり、くも膜下出血と区別して脳実質内出血とも言う
    • くも膜下出血、脳出血、脳梗塞を合わせて脳卒中と呼ぶ
  • 原因によって以下の2つに分けられることが多い
    • 外傷性くも膜下出血
    • 非外傷性くも膜下出血
  • 主な原因
    • くも膜下出血の主な原因は脳動脈瘤の破裂
    • 他に、脳動静脈奇形や外傷が原因となることがある
  • クモ膜下出血の治療
    • クモ膜下出血全体での死亡率は高く、診断の遅れが生命予後の悪化につながるため、迅速で的確な診断と専門医による治療が必要である
詳細な情報を見る
  • 主な症状
    • 突然の激しい頭痛(「突然バットで殴られたような痛み」などと表現される)
    • 吐き気、嘔吐
    • 意識がもうろうとする、意識を失う
  • 麻痺などの症状を起こすことは少ない
  • 比較的症状が軽い場合もある
症状の詳細
  • 身体診察:髄膜刺激症候と呼ばれる症状を見る
    • 首が硬くなり前に倒せない(項部硬直)
    • 仰向けで片足を上げ、膝を伸ばすことができない(ケルニッヒ徴候)
    • 仰向けで首を曲げると足が勝手に曲がる(ブルジンスキー徴候)
  • 眼底検査
    • くも膜下出血では脳の周りの液体(髄液)の圧力が上がり、目の中を見ることで変化を見つけられることがある
    • 眼底鏡という道具を目に当てて、瞳の中を覗き込む
    • 眼球の中身(硝子体)は透明なので、後ろにある網膜などが見える
    • 網膜の中に、視神経がつながっている部分(視神経乳頭)が見える
    • くも膜下出血があると視神経乳頭がぼやけて見える(うっ血乳頭)
  • 髄液検査
    • 背中に針を刺して髄液を取り出す(腰椎穿刺)
    • くも膜下腔は脳から背骨の中(脊柱管)につながっているので、背中から髄液を取り出せる
    • くも膜下出血があると髄液に血液が混ざる
    • 眼底検査でうっ血乳頭があるときは腰椎穿刺をしてはいけない
      • 頭の中から背中へ髄液が急に流れ出し、脳の一部が本来の位置から動いて隣り合う部分を圧迫することで、呼吸が止まる恐れがあるため(大後頭孔ヘルニア)
      • 腰椎穿刺の前に眼底検査を行う
  • 画像検査:くも膜下出血の有無、程度などを調べる
    • 頭部CT検査:脳の隙間に血液が溜まり、ヒトデ型またはペンタゴン(五角形)と呼ばれる特徴的な白い影が写る
      • ペンタゴンがなくても脳の隙間の出血が見つかることがある
    • 造影CT検査:造影することで、動脈瘤の大きさや形が分かる
  • 頭部血管造影検査(カテーテル検査):動脈瘤の形などを更に詳しく調べる
    • 手術の前など、詳しい検査が必要な場合に行うことが多い
    • カテーテルという細い管を血管に入れ、X線透視で観察しながら、脳の血管にまで届かせる
    • カテーテルの先から造影剤を注入し、血管の形を造影する
    • カテーテル検査をして、そのままカテーテルを用いた治療(コイル法)を行うこともある
検査・診断の詳細

くも膜下出血の治療法

  • くも膜下出血は非常に重篤な病気なので、入院治療が必要
  • 急性期の治療
    • 出血によって脳が圧迫され、命の危険がある場合は開頭手術で血腫を取り除き、圧を下げる
    • 急性期は水頭症や、脳血管攣縮(れんしゅく)と言って血腫による刺激で脳の血管が細くなって脳梗塞が起こることがあり、非常に重篤な状態になりうる
    • 肺炎、電解質異常、てんかんなど様々な合併症が起こる可能性が高く、それらに対する予防と早期発見、早期治療が行われる
    • 中等症以上の重症度であれば、集中治療室で治療することが多い
  • 脳動脈瘤の再出血は高い死亡率と不良な転帰をもたらすので細心の注意が必要
    • くも膜下出血の発症直後は再出血を予防するため、安静を保ち侵襲的な検査や処置は避けるべき
    • 再発予防のためには、十分な鎮痛、鎮静、降圧が望ましい
  • 脳動脈瘤の再破裂を防ぐ治療
    • 発症してすぐに行われることもあれば、2週間以上経って落ち着いてから行われることもあり、個々の状況に応じた治療が選択される
  • 再破裂を防ぐための主な治療
    • 脳動脈瘤クリッピング術(開頭手術)
      • 脳動脈瘤は血管にできたこぶの形をしているので、その根本をクリップ(洗濯バサミのような形の金属)で挟む
    • コイル塞栓術(カテーテル治療)
      • 太ももの付け根の血管からカテーテルという細いワイヤーを動脈瘤まで進め、動脈瘤の中に細くて柔らかい金属のコイルを詰める
      • 詰められたコイルによって脳動脈瘤の中の血流がなくなり、破裂しなくなる
  • 発症後に注意すべき点
    • くも膜下出血後4-14病日に血管攣縮(スパズム)が起こりうるので注意が必要。脳槽内血腫の早期除去や攣縮の薬物療法を考慮する
    • (発生した際には)血管内治療を考慮する
治療法の詳細 ADP阻害薬(抗血小板薬)
  • 血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑え、血栓の形成を抑えることで血管をつまらせないようにする薬
    • 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
    • 体内にADP(アデノシン二リン酸)という血小板凝集を促進させる物質がある
    • 本剤は血小板でのADPの働きを抑えることで、血栓形成を抑える作用をあらわす
ADP阻害薬(抗血小板薬)についてもっと詳しく くも膜下出血が心配な方

くも膜下出血は脳卒中の一種です。突然の頭痛や意識障害(会話ができなくなるなど)で発症することで知られています。

くも膜下出血は、脳神経外科、脳外科が専門の診療科ですが、病院や症状によっては神経内科で診療を行う場合もあります。もし心当たりがあれば、脳神経外科(脳外科)のある総合病院を受診することをお勧めします。脳卒中センターを設けている病院は専門性が高く高度な医療を提供していることが多かったり、ICU (intensive care unit), HCU (high care unit), SCU (stroke care unit) などと呼ばれるような集中治療室がある病院だと手術後の経過をよりしっかりと追うことができたりといった違いはありますが、実際のところは救急車で搬送される場合も多いです。救急隊は、近さや病院の専門性を考慮した上で、適切な病院を判断し案内してくれますので、安心して対応を任せてください。

くも膜下出血に関連する診療科の病院・クリニックを探す くも膜下出血でお困りの方

くも膜下出血の診断はCTで行います。国内の総合病院であればほとんどのところにCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。

くも膜下出血の根本治療としては、カテーテル治療と脳動脈瘤クリッピング手術があります。この両者は、くも膜下出血の原因となった動脈瘤の場所や、動脈瘤の形によって使い分けられます。 病院によって、カテーテル治療とクリッピング手術のうち、相対的に得意な(手術数が多い)治療法を選択する場合が多いです。どちらが絶対的に良いということはありませんので、医師と相談しながら、その病院が得意とする方の治療で行うことが良い結果につながりやすいでしょう。しかし、もしどちらかの治療しか行っていないというようなことであると、ややバランスが偏った医療機関である可能性があります。

くも膜下出血で後遺症が残ってしまった場合、長期間のリハビリテーションが必要となります。後遺症が大きく一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院から回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリを行うことになります。急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。

一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフです。患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところは病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか。1日に受けられるリハビリの総時間や、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。

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