俺達の幸せのかたち:泣ける話ちゃんねる
名前:乱視で遠視 投稿日:2016-07-17もう五年も前になる。当時無職だった俺に彼女ができた。彼女の悩みを聞いてあげたのがきっかけだった。正直他人事だと思って調子いいことを言っていただけだったが、彼女はそれで救われたらしい。そして彼女の方も俺の無職になった経緯を親身になって聞いてようとしてくれた。そうやって二人の距離は縮まっていった。彼女といることは幸せだった。大好きだった。ただ、結婚は考えてなかった。無職だからというのもあるが、俺は彼女と一緒にいたいだけで、しなきゃいけない理由が思い付かなかった。子供も嫌いだったし。SPONSORED LINK いつか仕事を始めたら一緒に住みたいとは思っていた。要は結婚しなくても一緒にいられると思っていたのだ。二人が幸せであることが重要だった。彼女と付き合って一年が過ぎた頃だった。彼女に病気が見つかった。子宮の病・・・癌だった。彼女はもう子供が産めなくなるのだという。泣きながら別れを告げてきた。彼女はいつか一人は子供がほしいと言っていた。そんな彼女の願いは叶わなくなった。そんな彼女が、『私はもう普通の女じゃないから、普通の女の子を探して、幸せになってね』と言ってきた。今、彼女はどれだけ辛い思いをしてるだろうか。子供は産めなくなるし、癌が転移していれば死んでしまうかもしれない、辛くて心細いだろうに、俺との未来を考えて、別れを切り出してきたのだ。俺が支えてやるから、そんなこと言うな!確かに俺等に子供のいる未來はなくなったかもしれない。お前との未来までなくさないでくれ。側にいさせてくれ。他人事だから言えた訳じゃない。俺には彼女が必要だった。こんなときでも優しくて、笑うと可愛くて、知らない子供ともすぐに仲良くなって、子供と遊んでると楽しそうで・・・俺はそんな彼女が大好きだった。失いたくなかった。もっと幸せそうな彼女を見ていたい。時は過ぎ、現在。俺は無職をやめて仕事を始めていた。お互いの仕事の都合もあり、遠距離で一緒に暮らしたりはできないが、まだ関係は続いている。今じゃ俺が仕事の悩みを聞いてもらっている。彼女はこういう。あんたは二度もあたしを救ってくれた。今度はあたしがあんたを守る番なんだ。俺が本当に支えてやれる日はいつくるのやら。今は仕事をしているが、それまで俺は親の脛をかじっていきてきた親不孝者だ。子供の生めない彼女を紹介するというのは簡単なことではない。親不孝をこれ以上重ねることはできなかった。彼女はそんなことをわかってて、あの日別れを切り出したのだ。彼女と一緒にいること自体、きっと親不孝なのだろう。でも俺は俺達の幸せのかたちを探していきたい。この先に二人の未来があるのかわからない。でも今確かに、遠距離で彼女の姿は見えなくても、幸せはここにある。