男性がライオン檻に侵入し死亡=家族連れで賑わう動物園で悲劇
男性がライオン檻に侵入し死亡=家族連れで賑わう動物園で悲劇- ブラジル万華鏡
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- 事件・治安
2025年12月2日
日曜日の朝、家族連れでにぎわう動物園に突如として悲鳴が響いた。北東部パライバ州ジョアン・ペソア市の市立アルーダ・カマラ公園で11月30日、19歳の男性が雌ライオンの檻に侵入して襲われ、死亡した。来場者が撮影した動画がSNSで拡散され、事件は急速に注目を集めており、施設の安全体制と事件の経緯を巡り、関係機関が調査に乗り出しているとG1など(1)(2)が報じた。
同市当局によると、当該男性は高さ6メートルを超える外壁をよじ登り、複数の保護柵を突破したうえで、内部にある樹木を足場にして檻の内部に身を滑り込ませたという。その一部始終を捉えた映像には、男性が側面構造物をよじ登り、樹木に手をかけながら侵入した直後にライオンが接近し、攻撃に至る様子が確認されていた。
事件当日、同園は午前8時から通常通り開園し、入場料3レアル(約87円)ということもあり、多くの家族連れが訪れていた。男性が侵入したのは午前10時頃で、園内が混雑する時間帯にあたり、周囲にいた人々の多くが状況を直接目撃した。
死亡したのはジェルソン・デ・メロ・マシャードさん(19歳)で、幼少期から統合失調症の兆候があり、10歳の頃から児童福祉士ヴェロニカ・オリベイラ氏の支援を受けていた。
オリベイラ氏は、ジェルソンさんが動物、特にライオンに強い関心を示していたと述べ、「幼い頃から『アフリカのサファリに行ってライオンを手なずける』と繰り返していた」と証言。動物に強い愛着があり、飼い犬を連れて外出することも多かったという。市当局は遺族に哀悼の意を示し、同園は技術基準と安全基準に従って運営されていると強調した。
パライバ州科学警察研究所(IPC)は、死因について「首部への貫通傷および打撲傷による出血性ショック」だと結論付けた。
襲撃した雌ライオン「レオナ」は、2006年に同園で生まれ、両親のダラとサダンの下で育てられた。両親の死後は一時期、雄ライオンのシンバと同居していたが、シンバの死亡後は単独飼育となっていた。
事件発生時、レオナは来場者観覧用のガラス付近で横たわっていたが、侵入者の動きを察知すると、急いで水場を回り込み、樹木から降りてきたジェルソンさんに接近し、彼を地面に引きずり下ろした。ジェルソンさんは数メートル走って逃れようとしたが倒れ、その後、血の付着したレオナの口元が確認された。
同園の獣医チアゴ・ネリ氏によれば、レオナは事件直後「強いストレスとショック状態」に陥っていたものの、日頃の訓練に基づく指示に反応し、銃器や麻酔薬を使用せずに制止することができたという。現在も獣医や生物学者、飼育技師らによる監視が続けられており、今後数週間の観察が必要とされている。
動物園側は、レオナを安楽死させる可能性は一切ないと明言し、今回の行動は侵入者に対する本能的反応であると説明している。通常の飼育環境では攻撃性は見られないとして、継続的な行動評価と専門的ケアを実施中だ。
事件後、来場者の避難措置が取られ、同園は即時閉鎖となった。調査が完了するまでは閉鎖が続く見通しで、再開の目処は立っていない。
ジョアン・ペソア市は、侵入経路や安全設備の状況を確認するための正式な調査を開始し、今後の来園受付は調査終了まで停止すると発表。市は、男性が外壁や保護柵を越え、樹木を利用して檻に入ったという説明を重ねている。
軍警察とIPCが現場対応に当たり、パライバ州獣医師会も声明を発表して死亡を悼むとともに、安全プロトコルの検証に向けて技術委員会を設置し、公園の構造や運営体制について市当局と協議を行う方針を示している。
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