射出成形とは? 原理と特徴 メリットとデメリット 技能士が丁寧に解説しています
\技能士資格を活かして転職/ PR Mill Crew(ミルクル)転職スカウトサポート。 無料登録して待つだけ! 技能士合格×転職。未来を切り拓くチャンス!- HOME >
- 射出成形の基礎 >
- 成形作業 >
成形作業
射出成形とは? 原理と特徴 メリットとデメリット 技能士が丁寧に解説しています2025年2月10日 9,333
こんな人におすすめ
- 射出成形の原理と特徴
- 射出成形の仕組み
- 射出成形の定説
- 射出成形と他の成形加工の違い
目次
- 1.射出成形とは?
- 2.代表的な射出成形の成形品
- 3.射出成形の基本的な工程
- 4.射出成形の利点と課題
- 5.熱可塑性樹脂の種類
- 6.射出成形機の構造
- ① 射出装置(インジェクションユニット)
- ② 型締め装置(クランプユニット)
- ③ 制御装置(コントロールユニット)
- ④ 補助設備(オプション装置)
- 7.環境負荷の少ない射出成形技術
- 8.他のプラスチック成形法の種類
- 9.射出成形と他の成形方法の違い
- 10.射出成形の市場規模と今後の成長度
1.射出成形とは?
射出成形(Injection Molding)は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を加熱して溶融し、金型に高圧で射出し、冷却・固化させて成形品を作る製造方法です。プラスチック製品の大量生産に適しており、自動車部品や電子機器、医療機器、日用品など幅広い分野で活用されています。
https://plastic-fan.com/wp-content/uploads/2025/02/lv_0_20231103184511.mp4溶けたプラスチックを発射することを、【射出する】といいます。
プラ太郎世の中にあるプラスチック製品の9割以上がこの射出成形で作られています。
2.代表的な射出成形の成形品
射出成形は、その高い生産性と精度の高さから、さまざまな製品に活用されています。代表的な成形品とその特徴を紹介します。
- 家電製品・電子部品 特徴:精密成形が可能で、耐久性やデザイン性に優れる。 例:リモコンケース、スイッチパネル、スマートフォンのボディ、パソコンのキーボードなど。
- 自動車部品 特徴:耐熱性・耐衝撃性・軽量化が求められ、高機能樹脂が使用される。 例:バンパー、ダッシュボード、ヘッドライトカバー、エンジン周辺部品。
- 医療機器・医療用部品 特徴:高い清潔度が求められ、耐薬品性のある素材を使用。 例:注射器、カテーテル、人工関節、検査用カセット。
- 日用品・雑貨 特徴:大量生産が可能でコストを抑えられる。 例:洗濯バサミ、収納ケース、歯ブラシの柄、ボールペンのキャップ。
- 玩具・ホビー 特徴:色やデザインの自由度が高く、複雑な形状の成形が可能。 例:プラモデル、フィギュア、ブロック玩具。
- 食品容器・包装資材 特徴:食品衛生基準に適合し、軽量で耐久性がある。 例:ペットボトルキャップ、お皿・コップ。
3.射出成形の基本的な工程
射出成形は、射出成形機を用いて、米粒大のプラスチック原料を溶かし、金型に注入し、冷え固めて、製品を作ります。革新的なプラスチック素材を、機械で商品に加工できる様にしたのが射出成形機です。
プラスチック原料を溶かす加熱筒は、注射器の構造に似ています。加熱筒から溶けた原料を発射することを、射出すると言います。
射出して、金型で成形するから射出成形です。英語では、injection molding と呼びます。 (injection:注射 molding:金型で形つくる)
step1金型の準備
成形品の金型を用意。step2原料の加熱と溶解
ペレット状の樹脂を加熱し溶融。step3射出・保圧・冷却
溶融した樹脂を金型内に高圧で射出し、収縮しないように保持する。一定時間冷却する。step4製品取出し
金型を開けて製品を取り出す。
4.射出成形の利点と課題
射出成形は、プラスチックを効率的に大量生産できる画期的な加工法です。従来の手作業や金属加工と比較して、複雑な形状の製品を安価に短時間で大量作れる点が大きな特徴です。
射出成形のメリット✅ 大量生産が可能:一度の成形で同じ製品を大量に製造できる ✅ 高精度な成形:細かいディテールや複雑な形状の再現が容易 ✅ 自動化が容易:生産ラインの効率化によるコスト削減 ✅ 多様な素材の使用が可能:用途に応じて最適なプラスチックを選択できる
射出成形の課題⚠️ 初期コストが高い:金型製作に多額の費用がかかる ⚠️ 成形条件の調整が難しい:温度や圧力管理が製品品質に影響を与える ⚠️ 環境負荷の懸念:過剰生産や廃棄プラスチック問題への対応が求められる
5.熱可塑性樹脂の種類
射出成形では主に熱可塑性樹脂を使用します。熱すると溶けて冷やすと固まる性質です。用途に応じて色、強度、耐熱温度など様々な種類のプラスチック原料が使用されます。
- 汎用プラスチック: PP、PE、PS、PVC など。
- エンジニアリングプラスチック: PC、PA、POM など。
- 高機能プラスチック: PEEK、LCP、PPS など。
関連
プラスチックの成り立ち
プラスチックのはじまりは、ビリヤード玉と言われています。
1960年代当時 ビリヤード玉は象牙で作られており、爆発的なブームで、すぐに象牙は高騰します。そこで1万ドルの懸賞金をかけて、ビリヤード会社が新素材を募集した話が有名です。このセルロイドという樹脂は、天然のセルロースを原料として使用する理由で、完全な人口プラスチックではありませんでしたが、その後プラスチックは、次世代の素材として各国で開発されていきます。
その後、次々と開発されたプラスチックは、木材や、象牙より簡単にデザインでき、陶磁器より強度が高く、金属より軽い素材として、日用品から工業部品まで多くの商品に広がっていきます。
プラ太郎プラスチックは、象牙や、木材、陶磁器、金属の代替品に重宝したんだね。関連
保存版 成形条件の作り方 条件出しの基本
6.射出成形機の構造
射出成形機は、プラスチックを加熱・溶融し、金型に射出・成形するための機械です。その構造は大きく 「射出装置」「型締め装置」「制御装置」 の3つの主要部分に分かれます。
① 射出装置(インジェクションユニット)役割:プラスチック原料(ペレット)を溶融し、金型内に射出する。 主な構成部品:
- ホッパー:ペレットを供給する部分。乾燥機を備える場合もある。
- スクリュー:加熱されたシリンダー内で回転しながらペレットを溶融・混練し、圧力をかけて射出する。
- シリンダー(バレル):ヒーターで加熱され、プラスチックを溶融させる。
- ノズル:溶融樹脂を金型に流し込む部分。金型との密着性が重要。
役割:金型を開閉し、成形時にかかる圧力に耐えられるようしっかり固定する。 主な構成部品:
- 固定盤(固定側の金型を取り付ける部分)
- 可動盤(型締め時に動く側の金型を取り付ける部分)
- トグル機構 / 直圧機構(型締め力を発生させる機構)
- トグル式:リンク機構を利用して型締めする。小型・中型の成形機で一般的。
- 直圧式:油圧や電動シリンダーで直接力を加える。大型成形機に適用される。
- エジェクタ(押し出し装置):成形品を金型から取り出すためのピンやシリンダー。
役割:成形条件を設定し、射出・型締め・温度・圧力などを管理する。 主な構成部品:
- 操作パネル(HMI):成形条件の設定や監視を行うタッチパネル式の制御画面。
- センサー(圧力・温度・位置などを測定し、最適な成形を維持する)
- サーボモーター / 油圧システム(電動または油圧で成形動作を制御する)
射出成形の効率向上や品質管理のために、以下の装置が併設されることが多い。
- 金型温調機(金型温度を一定に保ち、成形品質を安定させる)
- 乾燥機(ペレットの水分を除去し、ガス発生や不良を防ぐ)
- 取出し機(成形品の自動取り出し、積み上げなどを行う)
関連
図解 射出成形機の構造 スクリューの仕組み
7.環境負荷の少ない射出成形技術
射出成形業界では、環境負荷の低減が求められており、さまざまな技術が開発されています。以下に、代表的な技術を紹介します。
- リサイクル材の使用 使用済みプラスチックを再利用し、新たな製品を成形する技術。リサイクル材は熱劣化しやすいが、適切な金型設計や添加剤の活用により強度や耐久性を確保できる。
- バイオマスプラスチック 植物由来の原料(トウモロコシ、サトウキビ、木粉など)を配合したプラスチック。CO₂排出量を削減でき、環境負荷が低い。
- 生分解性プラスチック 微生物によって分解されるプラスチック。特に海洋環境に配慮した材料として注目されている。
- 塗装レス金型(ヒート&クール) 金型の温度を高温と低温で切り替える技術。ウェルドライン(樹脂の合わせ目)を目立たなくし、塗装工程を削減することで環境負荷を低減。
- ガスインジェクション 樹脂の流動時にガスを注入し、中空構造を作る技術。材料使用量を削減でき、軽量化やコスト削減にも貢献。
- マイクロフォーミング 微細な発泡技術を活用し、樹脂内部に微細な気泡を形成することで、軽量化と材料削減を実現。成形品の剛性を維持しながら環境負荷を低減できる。
- インサート成形 異素材(例えば金属やガラス)を射出成形時に埋め込む技術。接着剤や二次加工を不要にし、部品点数の削減や生産効率の向上につながる。
- 二色成形 2種類の樹脂を一体成形する技術。複数部品を一つに統合できるため、接着剤や追加加工が不要になり、環境負荷の低減と生産効率の向上を実現。
8.他のプラスチック成形法の種類
プラスチック成形にはさまざまな方法があり、用途に応じて使い分けられます。
- 射出成形(Injection Molding) → 金型に溶かした樹脂を流し込み、精密な形状の製品を大量生産。家電・自動車部品・日用品など。
- 押出成形(Extrusion Molding) → 溶かした樹脂を連続的に押し出し、パイプ・シート・フィルムなどを製造。
- ブロー成形(Blow Molding) → 空気を吹き込み中空の製品を成形。ペットボトル・タンクなど。
- 圧縮成形(Compression Molding) → 樹脂を金型に入れ加圧・加熱して成形。電気部品・ゴム製品など。
- 真空成形(Vacuum Forming) → 加熱したシートを金型に密着させて成形。食品トレイ・医療用包装など。
- 3Dプリンティング(3D Printing) → 樹脂を積層して造形。試作・小ロット生産向け。
9.射出成形と他の成形方法の違い
成形法 特徴 主な用途 射出成形 高精度・大量生産向け 家電・自動車部品・日用品 押出成形 連続生産が可能 パイプ・シート・フィルム ブロー成形 中空形状を成形 ボトル・タンク 圧縮成形 加圧・加熱で成形 電気部品・ゴム製品 真空成形 薄いシートの成形 食品トレイ・医療用包装 3Dプリンティング 試作・小ロット向け プロトタイプ・特注品10.射出成形の市場規模と今後の成長度
射出成形は、プラスチック製品の製造において主要な手法として広く利用されています。その市場規模は年々拡大しており、今後も成長が予想されています。
最新のデータによれば、世界の射出成形市場は2022年に約2,743億7,000万米ドルと評価され、2023年には約2,875億4,000万米ドルに達すると見込まれています。さらに、2031年には約4,183億9,000万米ドルに成長し、2024年から2031年の予測期間中、年平均成長率(CAGR)は4.8%と予測されています。
参考
出典:グローバルインフォメーション 射出成形の市場規模・シェア・成長分析 (材料別、用途別、地域別):産業予測 (2024~2031年)
この成長の主な要因として、自動車産業や包装業界からの需要増加が挙げられます。特に、アジア太平洋地域では、中国、インド、日本などの国々が市場を牽引しており、同地域の射出成形市場は今後も拡大が予想されています。
参考
出典:モルダーインテリジェンス プラスチック射出成形市場規模 - シェア、成長動向、予測分析に関する産業レポート (2024 - 2029)
日本国内においても、射出成形技術は自動車部品や電子機器、医療機器など多岐にわたる分野で活用されており、これらの産業の発展とともに市場の拡大が期待されています。政府の産業政策や技術革新の推進により、射出成形分野のさらなる成長が見込まれます。
全体として、射出成形の市場は世界的に拡大傾向にあり、特にアジア太平洋地域がその成長を主導しています。今後も多様な産業からの需要増加と技術革新により、射出成形市場のさらなる発展が期待されます。