日本のことに興味津々
大相撲を観戦すると、取り組みの前に行われる「土俵入り」に目を引かれる方も多いでしょう。化粧まわしを締めた力士たちが堂々と登場し、独特の所作を披露する姿は、相撲の格式や伝統を強く感じさせます。
本記事では、幕内・十両・横綱の土俵入りの流れ、横綱土俵入りの型の違い、歴史的な背景、そして観戦時の注目ポイントまでをやさしく解説します。
土俵入りとは
土俵入りは、力士が取組の前に土俵へ登場し、神聖な場であることを示す儀式です。
取り組みそのものではなく、観客に力士の存在感を示しつつ、土俵を清める意味があります。単なる入場行為ではなく、神事的な性格を持つのが特徴です。
- 力士が勢揃いして土俵に上がることで、場所の雰囲気が引き締まる
- しめ縄や化粧まわしなど、普段の取り組みでは見られない装束を楽しめる
- 力士ごとの所作や型に個性があり、ファンの注目を集める
土俵入りの流れ(幕内・十両・横綱)
十両・幕内は同じ手順で進み、横綱は別枠の儀式として型(不知火型・雲龍型)を披露します。
十両の土俵入り十両は関取として化粧まわしを着け、枚数下位順から呼出に名前と所属部屋を一人ずつ紹介されて土俵へ上がります(幕内と同じ流れ)。俵に沿って円形に整列し、最後列の筆頭が土俵に上がった時点で一連の清めの所作をそろえて行い、土俵に上がった順番から土俵を降り退場します。テレビや場内進行の都合で簡略に見えることがありますが、基本手順は幕内と共通です。
- 東西に分かれてそれぞれおこなう
- 呼出による個別紹介 → 登壇
- 俵に沿って円形に整列
- 合図に合わせた清めの所作 → 退場
幕内も化粧まわしを着け、呼出に一人ずつ紹介されて土俵へ上がる点は十両と同じです。所作の内容・進行自体は十両と同じように行われます。
- 個別紹介 → 登壇 → 円形整列
- 合図に合わせて所作をそろえる
- 秩序立てて退場
- 円形整列:俵(たわら)に沿って輪をつくり、姿勢を正して最後の筆頭が壇上するのを待ちます。観客側からは「静→動」の切り替えが分かりやすい場面です。
- 柏手(かしわで):両手を打って気持ちと場を整えます。「清め」の所作として受け止められています。
- 片手を水平に上げる動き:右手をやや前方に示すように上げ、心身にやましさがないこと、相手に対する敬意を示す所作と説明されます(細部や角度は個々で微差あり)。
- 化粧まわしを軽く整える:前面の房(ふさ)や下端に軽く触れて形を整えます。装束を正す、次の動きの合図にする、といった実務的な意味合いです。
- 両手を広げる動き:胸の前で広げる/上方へ開くなどのバリエーションがあり、「武器を持たない潔白さ」「心身を開く」イメージの所作として伝わっています。
- 十両も幕内も化粧まわしを着用して土俵入りを行います。
- 図柄・刺繍・豪華さの差は、力士個人の後援会やスポンサー事情によるもので、階級による公式仕様差は基本的にありません。
- 遠目では違いが分かりにくいことも多く、「十両と幕内で装束が違う」わけではありません。
横綱の土俵入り
横綱だけは特別に「横綱土俵入り」と呼ばれる独自の儀式を行います。
力士本人と二人の付け人(太刀持ちと露払い)が伴い、土俵上で力強い型を披露します。この所作は相撲の神事的な意味を濃く反映しており、観客にとっても大きな見どころです。
- 露払いと太刀持ちを従えて登場
- 横綱が土俵中央に立ち、四股・手刀などの所作を行う
- 観客の大きな拍手を受けて退場
露払い(前)+横綱(中央)+太刀持ち(後ろ)の並びで登場します。三位一体で儀式の厳かさを形づくり、観客に“清めと格式のクライマックス”を印象づけます。
*太刀持ちと露払いの詳細はこちらの記事で解説*・太刀持ちと露払いとは?役割・意味・選ばれ方横綱土俵入りの型(不知火型・雲龍型)
横綱土俵入りには二つの型があります。どちらも由緒ある型で、横綱ごとに受け継がれる流れが異なります。
不知火型(しらぬいがた)両腕を大きく左右に伸ばすのが特徴の型です。力強さと開放感があり、観客に「豪快さ」を伝えるスタイルです。多くの横綱がこの型を選んできました。
- 両腕を大きく横に広げる所作
- 堂々とした姿勢で力強さを強調
- 「攻め」のイメージを与える型
片腕を胸の前に置き、もう片腕を大きく伸ばすのが特徴です。落ち着きと品格を感じさせる型で、静かで重厚な雰囲気を持ちます。「守り」や「安定」を象徴する型とされています。
- 片腕を胸に添え、もう片腕を大きく伸ばす
- 落ち着いた印象で「品格」を示す
- 「守り」の意味合いが強いとされる
土俵入りの歴史的背景
土俵入りは単なる儀式ではなく、相撲が神事として行われていた時代に起源を持ちます。古くは五穀豊穣や国家安泰を祈る神事として相撲が行われ、その中で土俵を清める意味合いが儀式化しました。横綱土俵入りも「力士が神の代理として力を示す」という要素を受け継いでいます。
- 相撲は神社の祭礼や宮中行事として発展
- 土俵入りは「場を清める」「神に力を示す」意味を持つ
- 江戸時代に制度化され、現在の形式に近づいた
実際に観戦する時の注目ポイント
土俵入りは取組とは違った角度で相撲の魅力を味わえる場面です。観戦する際には以下のポイントに注目すると、より楽しめます。
- 化粧まわしのデザイン:力士の個性や後援者の思いが込められている
- 所作の違い:十両・幕内・横綱で所作の重みや意味合いが変わる
- 横綱土俵入りの型:不知火型と雲龍型の違いを見比べる楽しみ
- 会場の雰囲気:拍手や歓声が一体となる瞬間に立ち会える
特に横綱の土俵入りは、会場全体が静まり返った後に拍手が湧き起こる独特の空気感が魅力です。写真や映像では伝わりにくい緊張感を味わえるのは、生観戦ならではの体験です。
FAQ
土俵入りのタイミングや横綱の型、装束の疑問を手早く解消できるQ&Aです。
Q. 土俵入りはいつ行われますか?A. 十両と幕内は、それぞれの取組が始まる前に行われます。横綱土俵入りは幕内土俵入りの後に行われます。
Q. 横綱の型は誰が決めるのですか?A. 横綱昇進時に師匠や関係者と相談して決められます。横綱によって不知火型と雲龍型が分かれます。
Q. 十両でも化粧まわしを着けるのですか?A. はい。十両以上の力士(関取)は化粧まわしを着けて土俵入りを行います。
Q. 横綱土俵入りはどこで見られますか?A. 本場所の会場(土俵)で行われます。地方巡業でも披露されることがあります。
まとめ:十両・幕内・横綱で違う土俵入りの見どころと所作の意味
土俵入りは相撲の伝統と美しさを象徴する大切な儀式です。
十両・幕内・横綱で形式や意味は異なりますが、共通して「土俵を清める」「力士の存在を示す」という役割があります。
横綱土俵入りの型の違いや化粧まわしの華やかさなど、観戦の見どころは多彩です。
相撲をより深く味わうために、ぜひ土俵入りにも注目してみてください。