ZCTと高圧ケーブルのシールドアースの関係
どうもじんでんです。今回はZCTと高圧ケーブルのシールドアースの関係ついての記事です。これを理解していないと、地絡事故時に地絡継電器の不動作などに繋がります。
スポンサーリンク 目次- 高圧ケーブルのシールドとは?
- シールドの接地方式の種類
- 片端接地
- 両端接地
- ZCTとは?
- ZCTとシールドの接地線の関係
- 高圧ケーブルの地絡時の電流の流れ
- なぜ注意が必要か?
- 解決法
- ZCTの設置場所と保護範囲
- 例1
- 例2
- 例3
- まとめ
高圧ケーブルのシールドとは?
高圧ケーブルには「遮蔽層」と呼ばれるものがあります。これを「シールド」とも呼びます。この記事では一般的なシールドで統一します。シールドの役割や目的は次の事が挙げられます。
- 絶縁体に加わる電界の方向を均一にして耐電圧特性を向上する
- 介在物に電界が加わる事でtanδが大きくなるのを防止する
- ケーブル終端接続部で接地する事で感電防止になる
- 相間の短絡事故を防止する
- 地絡時の電流の帰路となる
この様に色々な役割がありますが、今回の内容で大事なのは最後の「地絡時の電流の帰路となる」です。
スポンサーリンクシールドの接地方式の種類
高圧ケーブルのシールドは接地する事となっています。その接地方式は2種類あります。
- 片端接地
- 両端接地
それぞれについて解説します。
片端接地一般的な接地方式です。基本的にはこの方式を採用します。
高圧ケーブルの片側のみを接地します。もう片側は接地されない様に、絶縁テープなどで絶縁しておく必要があります。
両端接地高圧ケーブルの両端を接地する方式です。高圧ケーブルの亘長が長い場合に採用されます。高圧ケーブルの亘長が長いと、非接地側に誘導電圧が発生して危険になります。これを防ぐ為に両端接地をします。
この方式を採用すると、次の問題が発生します。
- 地絡電流が分流するので、地絡継電器の検出精度が低下する
- 両端に電位差が発生すると電流が流れる
- 上記の電流により地絡継電器の誤動作やシールドの焼損に繋がる
これらの理由より、基本は片端接地が採用されます。両端接地を採用する場合は、慎重に検討する必要があります。
スポンサーリンクZCTとは?
ZCTは地絡電流を検知する機器です。
これについて詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
零相変流器(ZCT)ってなに?どうもじんでんです。今回は零相変流器(ZCT)について記事にしてみました。理解されずに、間違って設置されているのを発見した事もあります。そのような事がないように、わかりやすく説明できればと思います。零相変流器(ZCT)とは?零相変流器はZC...jinden-tool.com2022.03.31ZCTとシールドの接地線の関係
ZCTは地絡電流を検知する機器と説明しました。その為に、三相を一括でZCTに通す必要があります。
高圧回路では短絡などの危険がある為に、電線は相間を離隔して設置してあります。この為にZCTの設置は容易ではありません。
しかしこれを解決するのは、ZCTを高圧ケーブル部に設置する事です。高圧ケーブルならば相間の絶縁が保たれるので、安全にZCTを通す事ができます。
しかし高圧ケーブルの構造から注意して設置しないと、思った通りの地絡電流の検知ができない場合があります。
高圧ケーブルの地絡時の電流の流れ通常は地絡が発生すると、地絡点から電流が大地に流れます。これによりZCTに流れる、行き帰りの電流のバランスが崩れて地絡電流を検知します。
しかし高圧ケーブルで地絡が発生すると、少し特殊な流れになります。
高圧ケーブルの絶縁物が劣化して地絡したとします。そうするとシールドが接地されているので、地絡電流はシールドを通って大地に流れます。
次の画像がそのイメージ図です。
なぜ注意が必要か?まず高圧ケーブルを片側接地して、ZCTを設置した回路を次の図に表します。
この状態で高圧ケーブルにて、地絡が発生した場合の電流の流れを考えてみましょう。
お気づきの方もいるかもしれませんが、地絡電流がZCTに往復していますよね。これではZCTからみれば±0で、地絡電流が検知できません。
これが注意が必要になる理由です。
解決法先程の地絡電流を検知できない問題を解決する方法があります。
それはシールドの接地線をZCTに通してから、接地する事です。
イメージ図は次の通りです。
これにより電流の行き帰りで打ち消されても、シールドの接地線の分で地絡電流を検知できます。
また、この時にZCTの向きに注意が必要です。シールドの接地線のケーブル側が「K」、接地側が「L」になる様に設置しましょう。
ZCTの設置場所と保護範囲
高圧ケーブルにZCTを設置する場合は、シールドの接地線を通す必要があると説明しました。しかしこれは絶対という訳ではなく、保護範囲が変わるので注意が必要ということになります。
またZCTの設置場所によっても、先程の処置が必要かどうかが変わります。
シールドの接地線をZCTに通すのは、その高圧ケーブルを保護範囲に入れるか入れないかの違いになります。通すと保護範囲内、通さないと保護範囲外となります。
いくつかの例を挙げます。
例1メイン受電所からサブ受電所への送り回路の地絡保護を、メイン受電所でする場合。
このように設置すれば、高圧ケーブル以降の地絡を検知して保護することができます。
仮にシールドの接地線をZCTに通さないと、高圧ケーブルの地絡は検知できません。その為に高圧ケーブルが地絡すると上位の地絡保護が動作します。
例2サブ変電所で地絡保護をする場合で、シールドの接地がメイン受電所の場合。
この場合はサブ変電所の地絡保護がしたいので、高圧ケーブルの保護は必要ありません。なのでシールドの接地線の処置は必要ありません。
例3サブ変電所で地絡保護をする場合で、シールドの接地がサブ受電所の場合。
この場合は少し特殊なパターンです。ZCTに通さずに設置すると地絡電流はシールド分しかないので、高圧ケーブルの地絡でも検知してしまいます。また検知して遮断器を開放しても、地絡点は上位の為に除去できずに上位の保護装置が動作します。このような動作をすると、事故調査時に混乱を招く為あまりよろしくないですね。
これを解消するためには、画像のようにZCTにシールドの接地線を通すことです。しかし通常とは逆で、シールド接地線の「高圧ケーブル側がL」「接地側がK」となるように設置します。シールド接地線で、シールドに流れる地絡電流をキャンセルしているイメージです。
また上記のようなことをしなくても、シールドをメイン受電所側で接地すれば例2と同じになり解決できます。可能ならこの方法を採用すべきです。
まとめ
- 高圧ケーブルのシールドは、地絡電流の帰路となる
- 高圧回路においてZCTは高圧ケーブル部に設置される
- 普通に設置するとシールドに流れる地絡電流で打ち消され検知できない
- 検知する為にシールドの接地線をZCTに通す
- 「通す」「通さない」で保護範囲が変わる
ZCTへの高圧ケーブルのシールド接地線の施工は、よく間違いがあります。特に竣工検査や取替工事の時には注意して確認が必要です。間違えると保護範囲が変わり、思った通りに地絡継電器が動作しません。間違いがないように理解しておきましょう。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
スポンサーリンク