藤ノ川が大の里を破って初金星!父の甲山親方も果たせなかった横綱撃破で大の里に強烈“恩返し”
藤ノ川(奥)に引き落としで敗れる大の里(撮影・和賀正仁)<大相撲春場所>◇3日目◇10日◇エディオンアリーナ大阪
幕内最年少21歳の東前頭2枚目藤ノ川(伊勢ノ海)が、横綱大の里を破って初金星を挙げた。自己最高位の今場所で初の横綱戦。前日2日目まで2連敗だったが、今場所初白星を最高の形で飾った。1度突っかけた後の2度目の立ち合いは、頭から当たり、右はのど輪、左はおっつけ、右に回りながら押し込んだ。相手が前のめりに圧力をかけてきたところで、サッと左に動いて引き落とし。「すごくうれしい。ずっと金星を取りたかった。今場所の初日が出てよかった」と、興奮を抑えながら話した。
大の里とは今場所前には二所ノ関部屋に出稽古していた。結果は連続10番取って2勝8敗。その稽古後には「圧力がすごくて柔らかい。なすすべなし」と語っていた。ただ、この日の取組後には「当たる感覚、圧力は、多少は稽古で分かっていた」と、面食らうこともなかった。何よりも新弟子時代の相撲教習所で胸を合わせており、初顔合わせとはいえ、胸を借りてきた相手。強烈な“恩返し”をした格好にも「土俵に上がったら関係ない」と“下克上”に胸を張った。
立ち合い前には1度、突っかけていた。初の横綱戦を前に「ドキドキはなかった。ワクワクしかなかった。立ち合いは自分のタイミングで立ちたかった。相手に合わせたくなかった」と、勝ち気な性格が、突っかける格好となった最初の立ち合いに表れていた。京都府出身で、大声援に迎えられても「上位の雰囲気は違うなと感じる」と、注目されることを楽しむ度胸の良さも魅力だ。小兵ながら闘志を前面に出した、思い切りの良い取り口には、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「ファンだよ」と公言するなど、多くの親方衆から将来性を評価されている。
甲山親方(元前頭大碇)の長男で、すでに最高位は前頭11枚目だった父を超えている。父も果たせなかった金星をつかんだ。「おやじも金星はなかったので、自分が取れてよかった」と、2代にわたる目標達成を喜んだ。この日の取組を前に、父からは「思い切っていけ」と、背中を押してもらった。「場所中は、技術的なアドバイスはない。気持ちの面のアドバイスだけ」と、奮い立つ自身の内心をくんで、余計な口は挟まなかったという。親子の信頼関係も金星を後押しした格好だ。
初金星前夜は午後10時に就寝し、午前8時30分まで1度も目覚めず、ぐっすりと寝た。しかも「日本酒を飲んで」と、験直しに嫌な流れを酒で流して吹っ切る、昔ながらの力士の雰囲気も漂う。「今日は焼き肉です!」と話し、豪快に笑った。4日目は再び横綱戦となる対豊昇龍。「1日1番。明日も、いい相撲を取って頑張ります」。2日連続の金星を見据えていた。
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