医者には患者の死が見えている!でも本当のことは言いません…
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医者には患者の死が見えている!でも本当のことは言いません…

2013.05.06
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医者には患者の死が見えている!でも本当のことは言いません…

医者はこんなときにウソつく

週刊現代

講談社

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第1部「あと3ヵ月です」 この言葉にもウソがある

 日本人の1年間の平均通院回数は、13・8回。これは世界のどの国よりも圧倒的に多く、日本人がいかに医者を信頼しているかという証だろう。だが、彼らもウソをつく。医者の言葉の真意を探った。

 今、日本人の8割以上が病院で死を迎える。家族に看取られることも叶わず、最後に側にいたのは医師と看護師といったケースも決して少なくない。だからこそ医師の言葉は重く、患者や家族は、医師の一言に一喜一憂する。だが、医師の言葉はすべて噦真実器なのだろうか—。

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 がんの告知や余命宣告が当たり前になって約20年が経過した。しかし、きちんとした病状や余命が伝えられているという確証は、どこにもない。噦実際のところ器を、慶應義塾大学病院放射線治療科の近藤誠医師が語る。

「実は、医者がウソを言うのは、余命に関してが一番多いんです。初対面の医師が、いきなり『あなたは余命3ヵ月です』と言ってくるケースはよくある。特に若い医師に多いようです。だいたい短めに言って脅し、不安にさせ、救いの手を差し伸べる。長めに言うと、患者はセカンドオピニオンを求めたり、他の治療法はないかと考えてしまう。そうした心の余裕を患者に与えないために、あえて短めに言うんです。昔は家族を脅すのに『余命6ヵ月』がよく使われたのですが、がん告知が当たり前になった今は『余命3ヵ月』に短縮された。そう宣告された多くの患者の話を、私は直に聞いています」

 この「余命3ヵ月」には、もうひとつの理由がある。

「医療裁判に対する怯えはがんに携わる医師のほとんどが抱いていると思います。余命に関しても、1年と言ったのに半年で亡くなったなどとなったら、医師の責任を追及されかねない。だから余命は短めに告げておくんです」(都内の総合病院外科医)

 これらはいずれも医師が病状を理解した上で、あえてついているウソだ。だが、病状がわかっていないままつく、許されないウソもある。

「開業医には、患者を抱え込みたいという意識が強い。だから、自分の専門外で的確に診断がつかない場合でも、患者には『ちょっと様子を見ましょう』という言い方をすることがあります。『様子を見ましょう』の真意は、『もっと病状が進んで、症状が出るまで待ちましょう』ということです。そして最後に、『様子を見ている間に自然に治ることもあります。悪くなったらまた来てください』と言い含める。そうすると、患者は医者に言われた通り様子を見て、具合が悪くなったらまた来院してくれますからね」(都内の内科開業医)

 前出の近藤医師によれば、このように医者の本分を忘れ、命よりもビジネス優先に走ってしまう者も少なくないという。では、信用できない医師を見抜くための方法はないのだろうか。近藤医師に、4つの注目すべきポイントを挙げてもらった。

〇患者の方ではなく、パソコンの画面を見て話す  患者・病気と真っ向から向き合う気持ちがない。また、ウソをつくと目が泳ぐため、患者と目を合わせない可能性も。 〇他の病院・診療科へのセカンドオピニオンを嫌がる。  自分の診断の間違いを指摘され、患者が別の医者へ流れてしまうことを恐れている。 〇症状や余命を断定して話す  がんの進行スピードは千差万別。にもかかわらず断定して言うのは、信用できない証拠。 〇詳しい説明を求めると嫌な顔をする、怒る  自分の診察力に自信のない可能性大。

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 また、医療知識のない我々が、医師の言葉に翻弄されずとも「本当の病状」を推し測る手立てもある。

「実は、数値や画像より、患者さんの実際の状態の方が的確な余命判断の物差しになるケースが多々あるのです」

 こう語るのは、東邦大学医療センター大森病院・緩和ケアセンターの大津秀一医師だ。

「患者さんの話や見た目はとても大事で、熟練の医者はデータよりも大切にします。画像を見るとそんなに良い状態ではないのに長生きされる方もいますし、逆にデータや画像はそう悪くないのに終末期になる方もいる。だから治療の現場では、データや画像を参考にしながらも、患者さんの今の状態で余命を判断することが多いのです」

 では、どんな「状態」が余命判断の物差しになるのか。都内医大系病院の外科医がチェックポイントを挙げる。

「横たわっている患者が頻繁に足を組み替えたり、ムズムズと動かすようになったら要注意です。これは『クロスレッグサイン』といって、身のおきどころもないくらい体がだるくなっているというサイン。これが現れたら、データには出ていなくても、『亡くなるのが近いな』と感じますね」

 終末期の足のむくみも大事な指標の一つだ。

「がんに伴う両下肢のむくみには薬によってコントロールできるものと、できないものがありますが、できなくなると余命1ヵ月くらいになったなと判断します。腹水のコントロールも同様です」(医療法人社団つくし会理事長・新田國夫医師)

 死が迫ると、それまでは自力でトイレに行っていたのに、それができなくなることがある。

「人間は、ぎりぎりまで自力で用便を済ませようとします。ところが、余命が短くなってくると、この最低限の自尊心を守ろうとする気力はあっても、できなくなる」(前出・新田医師)

 また、性格が一変するケースもある。

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「がん性髄膜炎という病気では、死期が迫ると性格が変わります。とても温和だった人でも、仲の良かった伴侶に『お前のせいで苦しい人生を送るはめになった』『がんにかかったのもお前のせいだ』といった辛辣な言葉を浴びせるようになる。これは、がん細胞が脳や髄膜の表面にまで増殖してくることで起こる変化。ここまできたら、死期が近いなと判断します。

 痛みの訴え方もチェックポイントですね。『痛い痛い』と大騒ぎしているうちはまだ大丈夫。本当に重篤になると、声も出せずにうずくまり、じっと痛いところを押さえている。こうなったら注意が必要です」(医大系病院腫瘍内科医)

 食事の摂り方にも変化が出てくる。新田医師が語る。

「高齢者の場合、口から食事を摂ることが一切できなくなったら、死が近い。そうなった場合も、1日500ɘの点滴をすれば3ヵ月は生きられますが、そこまで。点滴を全くしないと1週間で死を迎えます」

 これらの噦余命を測る物差し器を知れば、我々一般人でも、ある程度真実に近い余命判断ができるようになるだろう。

 だが、医療現場にあるのは悪意あるウソばかりではない。患者を守り、励ますためのウソがあることも、また事実だ。

「病気を甘く考えて、まるで危機感を抱いてくれない患者さんも中にはいます。そうした患者さんに対しては、『このまま放っておくと命にかかわるよ』と、わざと深刻に病状を伝えます。また、『治療しなければ余命は1年だけれど、治療をすれば3年、5年と長引かせることができます。だから頑張りましょう』といった言い方をすることもあります。ただし、その場合でも必ずそうなるという保証はできない。ウソはウソですが、私は方便のウソだと思っています」(都内の総合病院外科医)

本当のステージは言えない

 また、終末期医療に携わるベテラン医師も明かす。

「余命宣告では、あと何ヵ月などといった具体的な数字は、直接患者さんに話さないことが多い。あくまでケースバイケースですが、数字を伝えることは一般的ではないのです」

 重篤な患者の場合、病状をありのままに告げる医師は少ない。真実を告げれば患者のショックは大きく、受け入れられずに自殺してしまうケースもあるからだ。末期の患者には、特に慎重になる。

「末期の肺がんで、いくつかの病院を転々とし、民間療法などさまざまな治療を受けた末に、うちに来た患者さんがいました。すでに手の施しようがなかったのですが、患者さんは『まだできることがあるはずだ』と、次々に抗がん剤や手術法などを、息も絶え絶えに話すんです。もう痛みをとる以外できることはないのだけれど、患者さんには『抗がん剤ですよ』とウソを言ってモルヒネを使いました。ご家族には本当のことを言い、納得してもらいましたが、ご本人には最後まで言えなかった」(呼吸器専門の開業医)

 がんのステージによって、ウソをつくケースもあるという。

「ステージ1など、治る見込みがある場合はきちんと告知します。でも、ステージ3~4の場合は話が違う。例えば私が看取った50代の胃がん患者には、『がんの大きさは3cmです。これ以上進まないよう、頑張って治療していきましょう』と伝え、最後までステージには触れませんでした。しかし大きさは3cmでもかなり深さがあり、実際はステージ4で余命は半年。ただし、ご家族には、余命のことまできちんとお話ししておきました。何も言わないままで亡くなったら、訴えられる恐れもありますからね」(都内の総合病院外科医)

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 手術にまつわるウソもある。私立医大系病院のすい臓がん専門医が漏らす。

「お腹を開けたら想像以上にがんが進行していて、何もできないまま閉じてしまう、というケースがありました。患者には7~8時間の手術と言ってあるので、麻酔から醒めた患者が、どうしてこんなに早く終わったのかと訊いてくる。そういう時は、『無理して取ったら大出血を起こしたり、体に大きなダメージを与えて、かえって回復までに時間がかかると判断し、取るのを中止しました。すぐに抗がん剤治療を始めましょう』と、ポジティブに答えるしかありませんでした」

 その患者は2ヵ月後、この世を去った。

 このように、患者の気持ちを気にかけるあまり、致し方なく真実を隠してしまったというケースも少なくない。だが、取材に応えてくれた医師たちの多くが、最近は自らの余命をはっきり知りたいと願い出る患者も増えてきていると語った。

 医療現場で注意すべき医者の言動を、上の表にまとめた。これらをふまえ、医者のウソを上手に見抜き、あるいは上手に騙されて、最期まで悔いの残らない人生を歩んでいきたい。

第2部 医師対談 川越厚×勝俣範之 病院に「殺されない」ために知っておくべきこと

川越 勝俣先生は、腫瘍内科医としてがん治療の現場で頑張っておられる医師で、私は、治療法がないと言われた患者さんが最期まで自宅で良い時間を過ごせるための支援を行うホスピス医です。今日はそれぞれの立場から話し合ってみたいと思います。

勝俣 私が医療の現場で気になるのは、まずインフォームド・コンセントについてです。15年以上前にこの概念が日本に入ってきて、説明と同意が大切だとなりましたが、その結果どうなったか。医者は説明だけして、患者さんに決めさせるスタイルになったんです。

 つまり、がんが進行して治療が行き詰まると、あなたの選択肢はこれだけですから、あとは自分で決めてくださいと。医者の責任逃れであると同時に、患者を困惑させるやり方です。

川越 本来なら、病状を伝え、治療の選択肢について、それぞれのメリットとデメリットを説明する。そのうえでどうするかを一緒に考えていくのが医者でしょう。

勝俣 さらに、それを機械的にやるものだから、患者は突き放されたように受け止めてしまう。医療不信のような状況になっているのは、患者さんとのコミュニケーションがとれていないことが原因だと思いますね。

川越 ただ、治療法の可能性を提示せず、藁にもすがる思いの患者さんをビジネスチャンスとしてとらえる医者が一部いることも、残念ながら事実です。

 30代後半の末期がんの患者さんで、こんなケースがありました。免疫療法を受けるために500万円をあるクリニックに支払ったけど、治療を受ける前に亡くなってしまった。その治療費は戻ってこなかったそうです。ご遺族は、「覚悟してそれを選んだのだからいいんだ」とおっしゃっていましたが。がんの場合はとくに、治療法をひとつしか提示しない医者は、要注意と言えるでしょうね。

-AD- 再発の可能性を言わない

勝俣 こんな問題もあります。治療の結果、がんが完全に消えた状態(完全寛解)になることがあるのですが、それは、がんが治ったということではない。再発する可能性もあるんです。でも、医者は「がんは消えました」とだけ言い、患者はそれで「治った」と勘違いしてしまう。

川越 医者としても、患者を励ましたいから「消えましたよ、よかったですね」などと言ってしまう。でも、そこで浮かれてはいけない。がんは最後まで診ないと怖いんです。医者は、意識してウソをつこうとは思わないのですが、本当のことを言わないということはありますね。外科医など大半の医師は、病気は治すものという信念がありますし、「なんとか患者さんを救いたい」という思いが先に立って、「再発するかもしれない」という現実から目を背けがちですから。

勝俣 新しい薬や治療法が出てきたときにも、同様のことがありえます。

川越 いまは分子標的薬といった効果が高いといわれる薬もどんどん出てきています。けれど、従来の薬より治療効果が高いと騒がれた薬でも、結局、完治せずに延命期間が長くなっただけということがほとんど。その事実がぼかされているのは問題です。

勝俣 さらに言えば、ほとんどの治療医が患者さんに伝えていないことがあります。それは、再発・転移が見つかった時点で、治癒は難しいということ。例外ももちろんありますが、基本的には完全に治すことはできないんです。けれど、それを言わずに、「残念ながら、がんが再発しました。でも引き続き治療をしていきましょう」とだけ話す。患者は「治療すれば治るんだ」と期待してしまうわけです。

川越 そのような患者さんを前にしたとき、先生はどのように説明されますか?

勝俣 転移が見つかったということは、がんが全身に回ってしまっているということで、現在あるどんな治療をしても、残念ながら、完全には治せず、延命の効果しかないんです、とお話しします。目標として、いいQOLを保ちながら、共存していきましょうと。そして、最終的に自分で身の回りのことができなくなったときのことを想定して、病院にいたいのか、在宅の緩和ケアがいいのか、それぞれの説明をして、患者さんと考えていきます。

いい加減な余命を告げる-AD-

川越 死の可能性を隠して、あるところでいきなり「もう治療法はない」と見放されてしまうのが日本のがん患者。そこからいい緩和ケア医やホスピスを見つけるのも難しいですし、結果、多くの人が難民のようにさまよってしまうことになるのです。

 さらに困ったことがある。もう治療法はないと突然告げられたら、患者さんはあとどれくらい生きられるのかと聞きたくなる。ですが、そこで病院の医者が「あと1年くらいでしょうか」などと、適当に余命を答えて、我々のような在宅ホスピスに送ってくることも多いんです。

勝俣 余命を聞かれたとき、生存期間中央値を言う医師が多く、誤解を招くことがあります。これは100人いたら、50番目の患者さんが亡くなる時期のことですが、患者さんは平均の生存期間だと思ってしまう。実際言われたとおりになることは少ないので、患者さんが混乱することがありますが、そもそも余命を適当に告げる医者がいるということでしょうか。

川越 そうなんです。自分の病院を離れると思って、無責任に言うことがある。我々が約6000人を調査した結果、積極的な治療ができなくなったがん患者が、在宅医療に移行してから亡くなるまでの日数は平均69日。さらには、1週間以内に13%の人が、2週間以内では27%の人が命を落としています。患者さんがその事実を知ったら「そんなこと前の病院では聞いていない」となってしまう。

勝俣 治療法がない患者さんに向き合っていくスキルが日本の医療界にはないのですよね。緩和ケアの大切さは以前から指摘されているのに、一向に進まない。

川越 軽視されがちな緩和ケアですが、身体の痛みをとるだけではなく、がんの進行とともに生じる心のケアも重要です。専門医が揃っていなければ、苦しい最期を迎えかねません。

勝俣 3年前、米国の権威ある医学誌にこんな論文が発表されました。治癒不可能な末期の肺がん患者さんを対象にした研究で、抗がん剤治療をする医者だけが患者さんに関わっていた場合と、同時に緩和ケア医が関わっていた場合を比較すると、後者のほうがQOLが高いばかりか、生存期間も長かったんです。当時、米国では大騒ぎになりました。

川越 治療早期からの緩和ケアが大切だということが実証されたのですね。

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勝俣 ともあれ、それが進んでいない日本では、医者の言うなりになって悲しい結末を迎えないために、患者はどうしたらいいか。

 私は、患者さんが医者をつかまえて、病状や今後のことで相談したいことなどをきちんと聞くことが大切だと思います。遠慮せず、「大事なことを相談したいので、今日の診察が終わってから少し時間をください」と言えば、断られることはないはずです。

川越 私は、聞きたいことを紙に書いて医者に渡しなさいと言っています。そうすることで、医者との時間を有効に使えますし、自分の考えも整理できる。これまでお話ししたように、医者はなかなか本当のことを患者に言えないことも事実。そうである以上、賢い患者にならないと自分の身を守ることはできませんからね。

 医療に振り回されることなく、良い人生を送るには、「死を見つめながら、希望を持って今を生きる」。死を美化するわけではないですが、誰にでも訪れるものですから。

勝俣 もっとも、一番死を受容できていないのは医者のほうかもしれません。患者を救いたいという思いはもちろん評価すべきですが、現実を受け入れ、患者さんの「治療後」のことも考えられる医者が、もっと育っていくべきだと思いますね。

かわごえ・こう/クリニック川越(墨田区)院長。茨城県立中央病院産婦人科医長、賛育会病院長等を経て、'00年在宅ケア支援グループ「パリアン」設立。著書に『家で看取るということ』(講談社)など かつまた・のりゆき/日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授。国立がん研究センターに20年勤務したのち、'11年より現職。腫瘍内科の立ち上げに携わる。共著に『がんサバイバー』(医学書院)など

 

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