虐待教師は“真実”なのか? 綾野剛主演『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』が2週連続第1位!
虐待教師は“真実”なのか? 綾野剛主演『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』が2週連続第1位!- 2026.1.27
【Netflix TOP10】なんとも恐ろしい映画だ。Netflixの「日本の週間TOP10(映画)」(1月12日~1月18日)で2週連続1位となっているのが、綾野剛主演の『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』だ。
2003年のとある雨の夜。小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)は児童・氷室拓翔(三浦綺羅)の自宅を訪ねた。家庭訪問にやってきたとは思えぬ横柄な態度の薮下に、拓翔の母・律子(柴咲コウ)は少し恐れを感じているようだ。薮下は、拓翔の素行の悪さを伝え、さらには律子の祖父がアメリカ人だと聞くと、平然と人種差別的発言をした。そして、場面は小学校の教室へ。薮下は児童の前で拓翔に暴言を吐き、体罰を加えた。非道で残忍な教師の姿に、怒りを覚えない人はいないだろう。
保護者の氷室律子は、息子への体罰を理由に薮下を告発。この事件を嗅ぎつけた週刊誌の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)は、実名報道に踏み切った。“史上最悪の殺人教師”は、マスコミの標的となり、誹謗中傷にさらされ、停職処分を受ける。
さらに、律子を擁護する大勢の人々が大弁護団を結成し、民事訴訟へと発展。当然、律子側が勝訴するものと思われたが、法廷で薮下は衝撃の発言をする。「でっちあげ」だと。
本作は、約20年前に日本で初めて教師による児童への虐めが認定された体罰事件を題材にした福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を、三池崇史監督のメガホンにより映画化したものだ。
“殺人教師”として糾弾される過程が恐ろしい冒頭のシーンを見ると、薮下は最悪の教師である。ただ、これは律子が語った経緯だ。薮下からすれば、ある日突然にわけもわからぬ状況に置かれて、教師人生を奪われてしまったのである。そして、事件を知った記者が正義感から実名報道をしてセンセーショナルに報道したことで、“史上最悪の殺人教師”が出来上がっていく。この経緯が恐ろしい。
ヘラヘラしながら児童に暴力をふるう薮下と、打ちのめされながらも虐待を否定し続ける少し気弱そうな薮下、それぞれの“真実”を演じ分けた綾野剛の演技に目を見張る。律子役の柴咲コウは、冒頭と後半ではまるで印象が違い、「こういう人、いるかもしれない」と思わせる不気味さがある。薮下を追い詰める記者を演じた亀梨和也や、薮下を理性的に支える弁護士役の小林薫の好演も光る。そして、拓翔を演じた三浦綺羅は、見ていてかわいそうになるほどだ。
今こそ見るべき考えさせられる作品事実がよくわからないまま、一方の“真実”だけが認められ、世論を味方につけ、一人の人間が社会的に抹殺されていく。この教師だけでなく、誰にだって起こる可能性がある。しかも、何かあればSNSで瞬時に拡散されたり、一部を意図的に切り取った内容を“真実”とされることもある今の世の中ならなおさらのことだ。“真実”とは何かを考えさせられる、見ごたえのある映画である。(文:K)
【Netflix日本Top10(映画)/1月12日~1月18日】1位『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』2位『教場 Reunion』3位『ひゃくえむ。』4位『ブラックジャック』5位『THE RIP』6位『マッチング』7位『モンスターハンター』8位『劇場版 呪術廻戦 0』9位『怪物』10位『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』
※Netflix TOP10:Netflixがオリジナル作品やライセンス作品を対象に、毎週月曜日から日曜日までの各作品の「視聴回数」(視聴時間を作品の総時間で割って算出)に基づいてランク付けする。
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