朝ドラ『あんぱん』で最も演技が良かったキャストは? ベスト女性5選。圧巻の芝居で視聴者の心を掴んだ実力者をセレクト
朝ドラ『あんぱん』で最も演技が良かったキャストは? ベスト女性5選。圧巻の芝居で視聴者の心を掴んだ実力者をセレクト

朝ドラ『あんぱん』で最も演技が良かったキャストは? ベスト女性5選。圧巻の芝居で視聴者の心を掴んだ実力者をセレクト

漫画家・やなせたかしと妻・小松暢をモデルに、激動の時代を描いた朝ドラ『あんぱん』。軽やかな日常の一瞬から、人生を揺さぶる決断の場面など、数々の名シーンは確かな表現力を持つ役者陣によって生み出された。そこで今回は、物語をより豊かにした5人の女優をご紹介する。(文・野原まりこ)[1/5ページ] ——————————

静かな余韻を残す、切なさの表現者

蘭子/河合優実 連続テレビ小説『あんぱん』第6週 第28話 ©NHK

 河合優実は、一言で表すならばただ「圧巻」だった。彼女の凄さを説明すること自体が、もはや野暮に思えるほどである。

 蘭子を『あんぱん』の“もう一人のヒロイン”へと押し上げた濃密な演技は、まるで映画のワンシーンを切り取ったかのような鮮烈さがあった。

  蘭子は、釜次のもとで住み込みの見習いとして働く豪(細田佳央太)と恋仲になる役どころだ。互いに思いを抱きながらも打ち明けられず、ぎこちなく言葉を交わす場面では、セリフ以上に感情の揺れが画面越しに伝わってくる。

 なかでも印象的だったのは、蘭子の下駄の鼻緒が切れ、それを豪が直すシーンだ。彼女の表情からはひとときの幸福があふれ出し、その愛おしさに胸を打たれた。しかしその時間は、豪の訃報によって一転して地獄に変わる。帰還を信じて法被を撫でる仕草が雄弁に語っていた愛情が、のぶから「愛国の鑑」として正しさを押し付けられる瞬間に打ち砕かれ、泣き叫ぶ姿はトラウマ級の破壊力を持っていた。

 さらに驚かされたのは、劇中で歳を重ねるにつれ、キャラクターの年齢にふさわしい演技を自然に切り替えていたことだ。河合優実の役作りの厚みと精度が、蘭子という人物に圧倒的な説得力を与えていた。

【次ページ】 まるで一枚の絵画のような美しさ…。 1 2 3 4 5

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