配管口径と流量の関係|10秒で計算できる超シンプルな求め方
配管 diameter-design配管口径と流量の関係は、現場で最もよく使う計算のひとつです。この記事では、10秒で流量の目安がつかめる最短の考え方だけをまとめています。
この流量に合う配管サイズってどうやって決めれば良いの?
エンジニアがこの考え方が現場で使えると、現場で相談を受けたときに非常に役立ちます。何の気なしに現場に行ったら、「ちょうど良かった!」って製造管理者から相談をいきなり受けたりします。相談事はだいたい運転でのトラブル。「物が流れない」という内容が多く、ポンプが原因となりやすいです。
特に昔のプラントでは、ちゃんと設計されておらずにトラブルが起きて、現在のしっかりした設計だと簡単に解決する場合も多いです。
配管口径と流量の関係、さらにポンプ流量との関係、とちゃんと知っているだけで即答が可能となり、製造課からの信頼感が一気に高まることでしょう。自分で仕事をコントロールしやすくなったり、キャリアにも有利になったりするので、ぜひとも押さえておきたい内容です。
この記事は、流量計算シリーズの一部です。タンク内の液をホースを使って放流する時の流量計算ヘッド送液における流速と流量の関係:時間変化を理解する配管設計を効率化!標準流速(平均流速)の活用で迅速な設計が可能に
具体的な計算はこちらのフォームをご利用ください。
目次- 配管口径と流量の概算計算
- 標準流速
- 口径×流速=流量
- 標準流量の例
- バッチ系化学プラントでのトラブル例
- もう少し詳細に学習したい場合は・・・
- 関連記事
- 最後に
- 【著者:ねおにーーと】
配管口径と流量の概算計算
配管口径と流量の概算計算方法を紹介します。
バッチ系化学プラントでは超重要な概念で、暗記して使える内容を含みます。
機械設計を10年近く担当していても、この考え方に関連するトラブルに即対応できないエンジニアは存在します。
強調してもし過ぎることはないくらいなので、色々なアプローチで解説したいと思います。
標準流速バッチ系化学プラントでは標準流速の考え方がとても大事です。標準化・モジュール化はこれからのバッチ系化学プラントのトレンドとなるでしょう。
- 複数の生産ラインで同じ設備を使う
- ここの生産ラインで使用条件(流量・圧力・温度)が違う
個別最適化ができる連続プラントと違って複数のパターンに適応しないといけないのが、バッチ系化学プラントの大事なところ。
ポンプ周りの口径を決めるためには、標準流速の考え方が大活躍します。液体では1~2m/s程度で考えます。ガスラインの口径も標準流速の考え方でほぼ決まります。標準流速の考え方だけでバッチ系化学プラントの8~9割の口径を選定することすら可能です。
標準流速- 液体 1~2m/s
- ガス 10m/s
- 蒸気 20~30m/s
口径と流速から流量を計算する方法を紹介します。
といっても、とても簡単な計算式です。
$$Q=Av$$
この式を使うだけです。パラメータが2つあって、現場で即決するには使いにくいので、流速を固定化します。
これが標準流速の考え方。いくつかの標準的な数値を暗記します。2つで十分です。
口径と流量の基本- 40Aで110L/min
- 50Aで170L/min
これだけあれば十分です。後は少しの暗算で応用可能です。
- 25A → 50Aの1/4倍 → 約40L/min
- 80A → 40Aの4倍 → 約440L/min
- 100A → 50Aの4倍 → 約680L/min
標準流速さえ決めておけば、流量は口径の2乗に比例するという関係が活きてきます。たった2つの数字を現場レベルで使えるようになると応用が広がっていきます。
標準流量の例
上で紹介した例をもとに計算した結果をまとめておきましょう。
口径液体ガス蒸気–1.5m/s10m/s30m/s25A403001,20040A1107502,25050A1701,2003,60080A4403,0009,000100A6804,80014,400流量で問題になるのはほぼ液体で、主要な40~50Aで8割程度は解決してしまいます。ガスや蒸気も同じ考え方で設計は可能ですが、標準流量を意識した関係計算を頻度は多くないと思います。それよりはP&IDや機器設計段階でもう少し真面目な計算を行っているでしょう。
バッチ系化学プラントでのトラブル例
バッチ系化学プラントの現場で起こる問題の5割以上はポンプです。ポンプで液が送れないという問題は特に試生産で発生します。ポンプ設計の基本的で簡単な部分を疎かにしていると起こりやすいでしょう。例えばこんな例が、普通にユーザーの設計現場では起こりえます。
10L/min の流量を100L/minのポンプで40Aの口径で送りたい
ニーズとしては分かります。
でもポンプの知識が少しあれば、ミニマムフローを確保できるか疑問になるはずです。普通の100L/minのポンプではミニマムフローは20~30L/min程度でしょうか。10L/minという小流量を送ることはできません。
この場合、循環をしながら少しずつ送るという方法を取ります。これも要注意。100L/minのポンプで以下の条件で運転することになります。
- 循環90/min ??A
- 送液10L/min 40A
もともと100L/minのポンプで液を送るラインの口径は、標準流速の考えから40Aで設計されます。ここを10L/minで送ろうとした場合、圧力損失がほとんど発生しません。100L/minのポンプなら10L/min以外の90L/minを循環ラインで流してあげると考えないといけません。
ここで循環ラインと送液ラインの圧力損失バランスが問題になります。現実的には手動バルブで調整を迫られますが、結構限界があります。かといって、自動調整弁を付けてもCV値が高すぎて制御できません。
こんな場合は、インペラカットや制限オリフィスに頼ることになります。単純に1つの製品ラインに適応する設計ができないところが、バッチ系化学プラントの難しいところですね^^
ポンプの圧力損失について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ポンプ圧力損失
この例では、1つのポンプで循環ラインと送液ラインの2か所に同時に送るケースを考えています。100L/minのポンプで送液ラインが10L/minだからと言って、循環ラインが90L/min流れるかどうかは、ポンプ性能曲線と配管圧力曲線の関係が第一にあります。とはいえ、現場の運転レベルで即興で対策を練るという状況では、そんな細かい計算をする意味はほとんどなく、この例のように単純な足し算引き算と、ポンプ能力・配管口径・標準流量から検討するだけで精いっぱいになるでしょう。
もう少し詳細に学習したい場合は・・・
このざっくり計算は実務上非常に有用です。
もう少し細かく知りたいけど、計算ソフトを導入するまででもないという場合は以下の書籍が役に立ちます。
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計算上は細かな配管形状の設定と圧損計算を使っています。
計算して得られた結果の正誤性を確認するためには、原理原則である基礎式に立ち返るでしょう。
この基礎式が、まさに今回のざっくり計算です。
関連記事
標準流速や流量の話をさらに理解するためには、以下の記事も参考になるでしょう。
関連情報ガスラインの設計
集気ラインの設計
ベントラインの設計
ポンプ周り配管設計
ポンプ圧力損失の簡易計算
渦巻ポンプの仕様の決め方
最後に
現場で役立つ配管口径と流量の概算を解説しました。
標準流速・口径と流速から流量を計算する・必要流量とポンプ流量を調べる
40Aで110L/min、50Aで170L/minという2つの数字を覚えるだけで応用が広がります。
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【著者:ねおにーーと】
化学プラントで20年以上、設計→製造→保全→企画まで一気通貫で経験したユーザー側エンジニア。 バッチプラントの設備・運転・トラブル対応を中心に、現場で本当に役立つ知識を発信しています。 → 詳しいプロフィールはこちら