哲学ちゃん
画像:Public Domain(出典:Wikimedia Commons)ジェレミー・ベンサム(1748 - 1832)は、イギリスの哲学者です。
この記事では、「最大多数の最大幸福」「功利主義」といったベンサムの思想をわかりやすく解説します。
また、ベンサムの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。
- ベンサムの主な思想
- ベンサムの思想を現代社会で生かす方法
- ベンサムのおすすめ入門書
- 【図解】まずはここから!ベンサムの考え方
- ベンサムの思想の核心「最大多数の最大幸福」
- 「最大多数の最大幸福」とはどういう考え方か
- なぜベンサムはこの基準を選んだのか
- 日常の判断を、ベンサムならどう考える?
- こんな場面を想像してみてください。
- ベンサムならどう判断するか
- 功利主義とは何か
- 功利主義をベンサムはどう考えたか
- ベンサムの功利主義の特徴
- ベンサム思想への批判と後の哲学への影響
- よくある批判
- それでもベンサムが重要な理由
- 実践!ベンサムの思想を現代社会で生かす方法
- みんなの幸せを整理する
- ベンサムのおすすめ入門書
- (おまけ)ベンサムの面白エピソード
- 自分の標本を大学に飾る
- まとめ
【図解】まずはここから!ベンサムの考え方
※この図がなんとなく理解できれば、この記事の内容は7割理解できています。
ベンサムの思想の根底には「人は快楽を求め、苦痛を避ける存在である。」という人間観があります。
なのでベンサムは、「国の制度や個人の行動の正しさも、人の快楽と苦痛を基準に考えるべきではないか。」と主張します。
ベンサムの思想の核心「最大多数の最大幸福」
ジェレミ・ベンサム(1748-1832)画像:Public Domain(出典:Wikimedia Commons) 「最大多数の最大幸福」とはどういう考え方か「最大多数の最大幸福」とは、できるだけ多くの人が、できるだけ大きな幸福(=快楽)を得られるように判断することを意味します。
ベンサムは、「昔から正しいとされていること」や「権威ある人がそう言っているから」ではなく、「その行動や制度が人々の苦痛を減らし、快楽を増やしているか」を判断基準とすることを主張しました。
なぜベンサムはこの基準を選んだのかベンサムが生きた時代、法律や制度は「昔からそうだから」「権威が決めたから」という理由で残っているものが多くありました。
しかしそれらは、必ずしも人々の苦痛を減らしてはいませんでした。
ベンサムはここに疑問を持ちます。
ルールは人のためにあるはずだ。それなのに、もしルールが人を苦しめているなら、それは正しいとは言えないのではないか。だからこそベンサムは、人の快楽と苦痛という、最も基本的な基準に立ち返ろうとしたのです。
日常の判断を、ベンサムならどう考える? こんな場面を想像してみてください。
-
クラスで、1人だけ困っている子がいる
-
助ければ、その子の苦痛はかなり減る
-
ただし、授業の進行は少し遅れる
このとき、どう判断するのが「正しい」のでしょうか。
ベンサムならどう判断するかベンサムは、「多数か少数か」で判断するわけではありません。
ベンサムが注目するのは、快楽と苦痛の合計です。
-
授業が少し遅れると...→ 多くの生徒にとって 小さな不便
-
一方で、困っている1人を助けないと...→ その子にとっては 大きな苦痛
つまりこの場合、小さな不便を引き受けてでも、大きな苦痛を減らす方が、全体としての幸福は増えると考えるのが、ベンサム的な判断です。
これが「最大多数の最大幸福」の考え方です。
功利主義とは何か
功利主義をベンサムはどう考えたかベンサムの思想は、後に「功利主義」と呼ばれるようになります。
功利主義とは、行動や制度の善悪を、その結果としての幸福(快楽)と苦痛で評価する思想を言います。
関連記事功利主義を具体例とともにわかりやすく解説!代表的な哲学者も紹介! - 哲学ちゃん
ただし、「功利主義」という名称は、ベンサムの思想を後からまとめたものです。ベンサム自身は「自分は功利主義者だ」と名乗ったというより、人の快楽と苦痛を基準に考え続けた政治家・哲学者でした。
ベンサムの功利主義の特徴ベンサムの功利主義には、次のような特徴があります。
-
抽象的な理想よりも、現実の影響を見る
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動機よりも、結果を重視する
-
人を「快楽と苦痛に反応する存在」としてとらえる
一見冷酷にも見えますが、ベンサムの功利主義は、人々の現実の苦しみを減らそうとする姿勢から来ています。
ベンサム思想への批判と後の哲学への影響
よくある批判ベンサムの思想は、次のように批判されることがあります。
-
少数の強い苦痛が見過ごされてしまうのではないか
-
数値では測れない価値があるのではないか
これらは、功利主義が抱える重要な問題点です。
それでもベンサムが重要な理由それでもベンサムが重要なのは、「正しさを幸福で問い直す」という視点を、はっきりと打ち出したところだと思います。
この問題提起がをもとに、イギリスの哲学者JSミルは、ベンサムの功利主義思想を微修正し、「質的功利主義」という思想へ発展させました。
つまりベンサムは"完成形"ではなく、"出発点"であったといえます。
関連記事ミルの思想をわかりやすく解説!自由論、質的功利主義とは? - 哲学ちゃん
実践!ベンサムの思想を現代社会で生かす方法
みんなの幸せを整理する家族や友人の中で、自分の幸福と周囲の幸福がトレードオフ(自分の幸福を取ると、相手が不幸になってしまう状況)になってしまうことがあります。
そんな時は、選択肢ごとに誰がどのような感情になるのかを表にまとめてみることをお勧めします。
表に整理することで、自分が希望していた選択肢が自分だけを幸福にする一方で、別の選択肢を取れば、全員が「まあまあ幸福」になれる、なんてことに気付けることがあります。
ベンサムのおすすめ入門書
ベンサムの思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。
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(おまけ)ベンサムの面白エピソード
自分の標本を大学に飾る 画像:Jeremy Bentham’s “Auto-Icon 2020” | Photo by Philip Stevens | CC BY-SA 4.0ベンサムは自分の死後、その体を標本にして大学に寄贈することを求めました。
その標本は、現在もロンドン大学カレッジに展示されています(頭の部分はレプリカだそうです)。
まとめ
この記事では、「最大多数の最大幸福」「功利主義」といったベンサムの思想をわかりやすく解説しました。功利主義思想は少数派の意見を反映できないなどのデメリットも指摘されることがありますが、現代社会の様々な制度に影響を与えています。
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