Friedel-Crafts(フリーデルクラフツ)反応をわかりやすく
Friedel-Crafts(フリーデルクラフツ)反応をわかりやすく

Friedel-Crafts(フリーデルクラフツ)反応をわかりやすく

Friedel-Craftsアシル化

Friedel-Craftsアルキル化

Charles Friedel, James Craftsにより発見された、芳香環にアシル基/アルキル基を導入する反応は、Friedel-Crafts(フリーデルクラフツ)反応と呼ばれます。

Friedel-Craftsアシル化:芳香環+アシル塩化物(酸塩化物)、AlCl3

Friedel-Craftsアルキル化:芳香環+アシル塩化物(酸塩化物)、AlCl3(触媒)

人名反応なので複雑な機構の反応かと身構えてしまうかもしれませんが、中身を見てみるとニトロ化やスルホン化、ハロゲン化と同様に、ただの芳香族求電子置換反応です。

ですから、理解しておくべきなのは①求電子剤が何なのか ②求電子剤はどのように発生するのか という2点と少しの注意点だけです。(芳香族求電子置換反応のテンプレを知っていることは前提として)

目次
  1. 反応機構
    1. Friedel-Craftsアルキル化反応
      1. カルボカチオン源
    2. Friedel-Craftsアシル化反応
      1. アシリウムイオン源
  2. 反応について
    1. 【頻出】アシル化とアルキル化の違い
      1. 必要なAlCl3の量
      2. 転位の有無
  3. まとめ

反応機構

まず単純なFriedel-Craftsアルキル化の方から見ていきましょう

Friedel-Craftsアルキル化反応

アルキル化における求電子剤はカルボカチオンとなります。

  1. 求電子剤(カルボカチオン)が芳香環に付加する
  2. 塩基がプロトンを引き抜き、芳香環を再生する
カルボカチオン源

カルボカチオンの発生には、ハロゲン化アルキルと塩化アルミニウム(AlCl3)により発生させます。

・AlCl3のAlは電子対を受け入れる能力のあるルイス酸として働いて、ハロゲン化アルキルのハロゲンの電子対を受け入れる

・ハロゲン上の正電荷を解消するために、ハロゲンが電子対を持っていってカルボカチオンと-AlCl4を生成する

Friedel-Craftsアシル化反応

アシル化における求電子剤はアシリウムイオン(R-C+=O)となります

また、アルキル化同様にアシリウムイオンを発生させるためにAlCl3を用います。

  1. 求電子剤(アシリウムイオン)が芳香環に付加する
  2. 塩基がプロトンを引き抜いて芳香環を再生する
  3. カルボニル酸素は、AlCl3と錯体を形成してしまう
  4. 水を加えて、アシル化物とAl(OH)3として取り出す

AlCl3はルイス酸として働くので、生成物のカルボニル酸素の孤立電子対を受け入れて錯体を形成してしまいます。

これに水を加えることで錯体を解消し、塩化アルミニウムを水酸化アルミニウムAl(OH)3として沈殿させます。

後は適当な有機溶媒で生成物を溶かしてろ過するなど、適切な処理により目的物を得られます。

アシリウムイオン源

・AlCl3のAlは電子対を受け入れる能力のあるルイス酸として働いて、ハロゲン化アシルのハロゲンの電子対を受け入れる

・ハロゲン上の正電荷を解消するために、ハロゲンが電子対を持っていってアシリウムイオンと-AlCl4を生成する(アシリウムイオンはカルボニル酸素上に正電荷が移動することで共鳴する)

※ちなみに、カチオンを発生させるAlCl3はAlBr3でもいけるようですが、後者の方がすごく高価なので、ふつうAlCl3を用います。

反応について

【頻出】アシル化とアルキル化の違い 必要なAlCl3の量

アルキル化ではAlCl3はハロゲン化アルキルとの反応で-AlCl4となった後、プロトンによりAlCl3へと再生されます。したがって、アルキル化におけるAlCl3は触媒となります。

一方で、アシル化では系中のAlCl3はカルボニル酸素にひきつけられて錯体を形成してしまいます。つまり、錯体形成のためにAlCl3をどんどん消費してしまうのです。よって、AlCl3は原料の等モル以上を入れておく必要があります。

  • アルキル化・・・AlCl3は触媒量でいい
  • アシル化 ・・・AlCl3は原料と等モル以上必要

転位の有無

アルキル化ではカルボカチオンが求電子剤であるため、カルボカチオンの転位が起こりえます。

例えば、ブチルベンゼンを合成したいとしましょう。

ですが、ベンゼン、1-クロロブタン、cat.AlCl3の反応では、目的物は副生成物となり、主生成物は2級ブチルベンゼンとなってしまいます。

これは以下のような転位が起こるためです。

第1級カルボカチオンはとても不安定であり基本発生しませんが、上のようにClがAlに引っ張られて半結合的になっている中間体の状態で、Clに結合した炭素は転位するのに十分なカチオン性をもちます。

なので、求電子剤となるのは転位した後の2級カルボカチオンとなるわけです。

2級→3級の場合は、ふつうにカルボカチオンが発生してそれが転位すると考えます。

したがって、アルキル化の場合、1, 2級ハロゲン化物を用いるときは常に転位が起こらないかどうかを確認しましょう。

転位についての詳しい解説はこちらをご覧ください。

では、ブチルベンゼンだけを合成するにはどうすればいいでしょうか。

その一つの方法が、アシル化→還元という方法です。

アシル化では転位は発生しないため、アシル化物を還元することにより、目的物を得られます。

還元の方法は色々ありますが、たとえばパラジウムカーボン(Pd/C)を用いた接触水素化により、ベンゼン環に隣接するカルボニル基を還元することができます。

まとめ

  • 芳香環に対して、ハロゲン化アルキル、cat. AlCl3を用いることでアルキル基を導入できる       ハロゲン化アシル、AlCl3を用いることでアシル基を導入できる
  • Friedel-Crafts反応は芳香族求電子置換反応である
  • アルキル化の求電子剤はカルボカチオンアシル化の求電子剤はアシリウムイオン
  • アシル化では、カルボニル酸素とAlCl3が錯体を形成するため、等モル以上のAlCl3が必要
  • アルキル化では転位が起こることに注意アシル化→還元を行うことで転位を避けられる

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