脳卒中リハビリと姿勢制御➁~網様体脊髄路~【ボバースコンセプト】
姿勢制御と網様体脊髄路
網様体脊髄路は皮質網様体脊髄路の一部であり、皮質から網様体までの経路を「皮質網様体路」、網様体から脊髄路までの経路を「網様体脊髄路」といいます。
網様体脊髄路は、姿勢や歩行に関与する「腹内側系」の主要な運動性下行路になります。
腹内側系と背外側系の記事はこちら
リハビリの一助となりますように脳卒中リハと姿勢制御➀~腹内側系と背外側系~【ボバースコンセプト】https://heyreha.com/stroke-naisoku-gaisoku姿勢制御と神経システム私たちが運動をコントロールできているのは、大きく2つの神経システムが関与していることで成り立っています。例えば、コップを取る動作では、まず体幹や上下肢の近位筋の調整をして姿勢を安定させてから上肢の遠位筋・手指でリーチして物をとります。このように運動は、“中枢部の安定”と“遠位部の運動”の2つが組み合わさっていますが、中枢部の安定には“腹内側系”、遠位部の運動には“背外側系”という神経システムが関与しているのです。腹内側系(内側運動制御系)腹内側系は“内側運動制御系”とも呼ばれていま...名前の通り、網様体から脊髄に下行しています。
橋と延髄の網様体から起始して頸髄から仙髄の各分節に投射するため、全身の筋緊張や抗重力運動、運動時の体幹筋部の調整などに関与しています。
"網様体脊髄路は2つの経路からなる
網様体脊髄路は、橋網様体および延髄網様体の内側部から下行し、それぞれ橋網様体脊髄路、延髄網様体脊髄路にわかれます。
網様体脊髄路の考えを応用して実際に介入したので、その記事はこちらです
リハビリの一助となりますように脳卒中片麻痺のリハビリ~体幹の賦活が麻痺側の分離運動につながった症例https://heyreha.com/stroke-taikan-bunriSherringtonは、「姿勢(posture)とは運動(movement)に随伴する影のようなものである」と述べていますが、片麻痺の治療を行っていて体幹部の安定が四肢の分離運動につながったことを経験したので紹介します。姿勢制御の記事はこちら性別や既往歴、年齢などの情報は個人情報のこともあるのでだしません。 症状と身体機能麻痺の程度に関しては右股関節でわずかに関節運動がおこる程度に随意収縮はみられる膝関節と足関節は随意収縮はみられない右上肢は肩~肘~手は随意収縮はみられない感覚は正常レベル 特徴的な動作や姿... 橋網様体脊髄路橋の網様体から脊髄に下行する網様体脊髄路で、同側の前索を下行します。
役割としては、主に同側の体幹、骨盤帯や肩甲帯などの四肢近位部の筋緊張のコントロールであり、
運動の開始前に適した姿勢筋緊張を調整する準備的先行性姿勢調整機能に関与しています。
また、
・同側性に下行する経路が80%
・両側性に下行する経路が20%
このように同側性に下行している経路が多いため、一側の半球が損傷して、片麻痺が生じたとしても、体幹部に関しては両側性に麻痺(障害)が生じてしまいます。
延髄網様体脊髄路
延髄の網様体から脊髄に下行する網様体脊髄路で、両側性に下行しますが多くは同側に下行します。
役割としては、主に四肢近位部の筋緊張を調整して安定させることであり、上肢のリーチ運動に関与しています。
歩行時ではセントラルパターンジェネレーターに関与して歩行時に下肢の運動の制御をしています。
また、運動を行っている経過中にその状況に適した姿勢筋緊張を調整する随伴的先行性姿勢調整機能に関与しているとされます。
姿勢制御の記事に関してはこちら
リハビリの一助となりますように脳卒中リハビリと姿勢制御⑤~先行随伴性姿勢調節機能(APA)~【ボバースコンセプト】https://heyreha.com/stroke-senkousei-siseityousei姿勢制御は効率の良い運動、パフォーマンスを発揮する上でとても重要になります。先にバランスが崩れることを予測して姿勢を安定させることで崩れないで動作できるからです。崩れてから姿勢を治すでは効率が悪いのです。 脳卒中リハビリで必要な先行随伴性姿勢調整機能というシステムわたしたちは運動を行う際に、効率よく遂行するために無意識的に姿勢の制御がなされています。運動をする前に「この運動では重心があっちに移動するから先に反対側にちょっと重心をかけておこう」運動中であれば「運動したら重心が変化したから、...皮質から網様体への投射と姿勢制御
さきほども述べましたが、私たちは運動の際に無意識的に姿勢筋緊張を調整して効率的に上下肢の操作ができるようにしています。
例えばコップをとる動作を例にすると、上肢をリーチする前に橋網様体脊髄路によって体幹・四肢近位部の緊張を調整し上肢を動かしやすい姿勢の準備をし、
リーチ動作中は延髄網様体脊髄路によって重心の変化に見合った姿勢の緊張状態をつくっています。
網様体脊髄路は、皮質網様体脊髄路の一部であり、皮質から網様体の神経細胞に投射されています。
この起始している皮質は運動前野(6野)や補足運動野になります。
運動を行う際には
まず運動前野や補足運動野で
- 姿勢制御
- 巧緻運動
という2つのプログラムが生成されます。
この2つのプログラムの経路は
姿勢制御では、
・補足運動野や運動前野→皮質網様体路→網様体脊髄路→姿勢制御
巧緻運動では
・補足運動野や運動前野→一次運動野(4野)→皮質脊髄路→巧緻運動
となります。
一番最初に興奮する皮質は同じですが、その次に投射される場所が違うことがわかります。
姿勢制御は巧緻運動の経路と違い、補足運動野・運動前野のあとに皮質網様体に投射されているため巧緻運動前に姿勢制御がなされているのです。
長下肢装具で治療をすすめていくためには網様体脊髄路の知識が必要です
リハビリの一助となりますように長下肢装具(治療用装具)を使うために運動学・神経学を理解しよう!https://heyreha.com/tyoukasi-meritoヒトを人たらしめるものは直立二足歩行まず装具療法の説明を行う前に、運動学的知識を整理していきます。人はなんで二足直立歩行を獲得したのでしょうか。それは両手で物を使って獲物をとる、とった獲物を運ぶ、そして調理するためです。手を使うためにヒトは二足直立になりました。 その2足歩行を決定づけている要素は、●全荷重を担う足底の機能●股関節の動的支持機構です。立位で足部から受けた刺激は股関節を通じて、骨盤を固定し、骨盤は体幹を受け止めます。骨盤はほとんどの姿勢で運動の要として存在し、その安定性は股関節... リハビリの一助となりますように長下肢装具を用いるために姿勢制御を理解しよう!神経学的側面からみたメリット、...https://heyreha.com/tyoukasisougu-sinnkei長下肢装具での治療には姿勢制御系の理解が必要姿勢調整に大きく関わる神経路として、網様体脊髄路系が挙げられます。網様体脊髄路系は体幹・四肢近位筋の運動制御に関わり、運動の中で重力に抗して姿勢を安定させる際に強く働く経路です。その網様体脊髄路は橋網様体脊髄路と延髄網様体脊髄路に分けられ、諸説ありますが、 橋網様体脊髄路主に体幹・四肢近位の伸筋群やコアマッスルの筋緊張の制御延髄網様体脊髄路屈筋群の筋緊張の制御に関わります。これらの経路は両側性支配でその多くは同側性に働きます。そのため例えば右半... "まとめ
運動における姿勢の安定は効率的に運動を行うために不可欠になります。
中枢部がグラグラしてるのに上肢を動かしたら重心の変化に耐えられず倒れてしまう、
また他の部位が代償して踏ん張りすぎて過剰な努力から連合反応につながることもあります。
四肢を軽く楽に動かすために、麻痺の分離運動のためには、体幹は両側性に支配されているから片麻痺でも体幹部は両側性に麻痺が生じていることを考慮してリハビリ介入していく必要があります
参考図書・教科書
脳卒中の動作分析 posted with ヨメレバ 金子 唯史 医学書院 2018年05月21日 楽天ブックスで探す Amazonで探す 脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ(基礎編) posted with ヨメレバ 古沢正道/古沢正道 運動と医学の出版社 2015年09月 楽天ブックスで探す Amazonで探す 新 近代ボバース概念 発展する理論と臨床推論 posted with ヨメレバ ベンテ バッソ ジェルスビック/リン サイアー ガイアブックス 2017年06月10日 楽天ブックスで探す Amazonで探す