避難階段とは|建築基準法における構造と設置基準を解説【図解付き】
避難階段とは|建築基準法における構造と設置基準を解説【図解付き】

避難階段とは|建築基準法における構造と設置基準を解説【図解付き】

  • 避難階段という言葉の意味がよくわからない。
  • 避難のときに使う階段はすべて避難階段…?
  • 設計をするときの基準が知りたい。

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築基準法における『避難階段』の定義や構造について解説。

設計を始めたばかりの方や、特殊建築物の設計をあまり経験していない方にとって、避難階段というワードは耳なじみが無いかもしれません。

確認検査機関で審査をする際、「避難のときに使う階段だから」という理由で図面に”避難階段”と表記する方もいますが、これは大きな間違い。

直通階段と避難階段では満たすべき基準が大きく異なります。

「避難階段と直通階段は、似にて非ひなるもの」なので、必ず区別しておきましょう。

Sponsored Links タップできる目次
  1. 避難階段とは
  2. 『避難階段・特別避難階段』が必要な建築物
    1. 『避難階段』が必要な建築物
    2. 『特別避難階段』が必要な建築物
    3. 『避難階段が必要な建築物』について建築基準法で読む
  3. 避難階段の種類と構造
    1. 屋内避難階段の構造
      1. 屋内避難階段の設置基準
      2. 建築基準法で『屋内避難階段の構造』について読んでみる
    2. 屋外避難階段の構造
      1. 屋外避難階段の設置基準
      2. 建築基準法で『屋外避難階段の構造』について読んでみる
    3. 特別避難階段の構造
      1. 『特別避難階段の構造』について建築基準法を読んでみる
  4. 避難階段の設置位置
  5. 避難階段の幅・けあげ・踏面
  6. まとめ

避難階段とは

避難階段とは、ざっくり言うと、防火性能を高めた直通階段です。

地震や火災など災害時に、多くの人が安全に避難できるように設けられた、直接地上に通じている階段のこと。

建築基準法では、3つの種類が定められています。

  1. 屋内避難階段
  2. 屋外避難階段
  3. 特別避難階段

高層建築物は、火災によって階段が使えなくなると、消防隊の救出が困難な場所に取り残されてしまい非常に危険。

『避難階段』は災害時にも安全に利用できる状態を保つため、耐火構造の壁で区画したり、炎や煙の侵入を防ぐ扉を設けるなど、さまざまな設置基準があります。

 

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『避難階段・特別避難階段』が必要な建築物

『屋内または屋外避難階段』と『特別避難階段』では、設置が必要な建築物の規模が異なります。

『避難階段』が必要な建築物

避難階段は、以下のいずれかに当てはまる場合に設置が必要。

  • 5階建て以上の建築物
  • 地下2階以下の建築物
  • 3階以上の階を物品販売店舗とした建築物

 

緩和措置①:以下の両方にあてはまる場合は、避難階段を設置しなくてもよい。

  • 主要構造部が準耐火構造、または不燃材料で造られている建築物
  • 5階以上の階、または地下2階以下の階の床面積の合計が100㎡以下である場合

緩和措置②:以下の両方にあてはまる場合は、避難階段を設置しなくてもよい。

  • 主要構造部が耐火構造である建築物
  • 床面積の合計100㎡(共同住宅の住戸にあつては200㎡)以内ごとに耐火構造の床・壁・特定防火設備で区画されている場合

”5階建以上の建築物”や”地下2階以下の建築物”でない場合でも、建築基準法以外の規定で避難階段が必要となることもあります。

例えば、3階建ての保育所で避難階段が必要となるケース。

保育所の設置基準で避難階段が義務付けられていたり、消防設備を緩和するために、屋外避難階段を採用することもあります。

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『特別避難階段』が必要な建築物

特別避難階段は、以下のいずれかに当てはまる場合に設置が必要。

  • 15階建て以上の建築物
  • 地下3階以下の建築物
  • 5階以上の階を物品販売店舗とした建築物

 

『避難階段が必要な建築物』について建築基準法で読む

『避難階段が必要な建築物』は、建築基準法施行令122条に定められています。

(避難階段の設置)

第122条

条文を読む建築物の5階以上の階(その主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物で5階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)又は地下2階以下の階(その主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られている建築物で地下2階以下の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる直通階段は同条第3項の規定による特別避難階段としなければならない。 ただし、主要構造部が耐火構造である建築物(階段室の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)で床面積の合計100㎡(共同住宅の住戸にあつては、200㎡)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備を含む。)で区画されている場合においては、この限りでない。 2 3階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、各階の売場及び屋上広場に通ずる2以上の直通階段を設け、これを次条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。 3 前項の直通階段で、5階以上の売場に通ずるものはその一以上を、15階以上の売場に通ずるものはそのすべてを次条第3項の規定による特別避難階段としなければならない。

 

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避難階段の種類と構造

繰り返しになりますが、避難階段は3種類。

  1. 屋内避難階段
  2. 屋外避難階段
  3. 特別避難階段

3つの避難階段は、それぞれ建築基準法で要求される構造・仕様が異なります。

 

屋内避難階段の構造

屋内避難階段の構造を図解すると、以下のようなイメージです。

 

屋内避難階段の設置基準

屋内避難階段は、以下のすべての基準を満たさなければいけません。

  1. 階段室の壁の構造:④の開口部、⑤の窓、⑥の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
  2. 内装:階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第三項第四号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
  3. 採光上有効な窓、または予備電源を有する照明設備を設けること。
  4. 階段室の屋外に面する開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法2条9号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の開口部から90㎝以上の距離に設けること。 または、50㎝以上突出したそで壁・ひさし等により火のまわり込みを防ぐこと。
  5. 屋内に面して窓を設ける場合、その面積は、各々1㎡以内とし、かつ、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。
  6. 階段に通ずる出入口には、法2条9号の二ロに規定する防火設備で第112条第14項第二号に規定する構造であるものを設けること。※以下の(イ)または(ロ)のいずれか (イ)常時閉鎖式 (ロ)随時閉鎖式・煙感知器もしくは熱煙複合式感知器連動自動閉鎖 直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
  7. 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。

 

建築基準法で『屋内避難階段の構造』について読んでみる

屋内避難階段の構造は。建築基準法施行令123条1項に書かれています。

(避難階段及び特別避難階段の構造)

建築基準法施行令 第123条

屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。

条文を読む一 階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。 二 階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第3項第四号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。 三 階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。 四 階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から90㎝以上の距離に設けること。ただし、第112条第10項ただし書に規定する場合は、この限りでない。 五 階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々1㎡以内とし、かつ、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。 六 階段に通ずる出入口には、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で第112条第14項第二号に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。 七 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。

以下省略

 

屋外避難階段の構造

屋外避難階段の構造を図解すると、以下のようなイメージ。

 

屋外避難階段の設置基準

屋外避難階段は、以下のすべての基準を満たさなければいけません。

  1. 階段から2m以内の範囲には、階段への出入り口以外の窓・給排気口を設けないこと (開口面積が各々1㎡以内で、法2条9号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く)
  2. 屋内から階段に通ずる出入口には、法2条9号の二ロに規定する防火設備で第112条第14項第二号に規定する構造であるものを設けること。※以下の(イ)または(ロ)のいずれか (イ)常時閉鎖式 (ロ)随時閉鎖式・煙感知器もしくは熱煙複合式感知器連動自動閉鎖 直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
  3. 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。

 

建築基準法で『屋外避難階段の構造』について読んでみる

屋外避難階段の構造は。建築基準法施行令123条2項によります。

(避難階段及び特別避難階段の構造)

建築基準法施行令 第123条

前略

2 屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。

条文を読む一 階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から2m以上の距離に設けること。 二 屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。 三 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。

以下省略

 

特別避難階段の構造

特別避難階段の構造は、『特別避難階段』の構造とは|附室の基準もわかりやすく解説【図解あり】という記事で詳しく解説しています。

『特別避難階段』の構造とは|附室の基準もわかりやすく解説【図解あり】『特別避難階段』って何? どんな基準を満たせばいいかよくわからない。『附室』が必要? 法文を読むのが嫌いなので図解で知りたい。こんな疑問や要望に答えます。この記事では、特別避難階段の基準や設置が必要となる条件について解説します。高層の建築物...kakunin-shinsei.com2020.05.17

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『特別避難階段の構造』について建築基準法を読んでみる

特別避難階段の構造は、建築基準法の施行令123条3項に定められています。

(避難階段及び特別避難階段の構造)

建築基準法施行令 第123条

前略

3 特別避難階段は、次に定める構造としなければならない。

条文を読む一 屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡すること。 二 屋内と階段室とが付室を通じて連絡する場合においては、階段室又は付室の構造が、通常の火災時に生ずる煙が付室を通じて階段室に流入することを有効に防止できるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。 三 階段室、バルコニー及び付室は、第六号の開口部、第八号の窓又は第十号の出入口の部分(第129条の13の3第3項に規定する非常用エレベーターの乗降ロビーの用に供するバルコニー又は付室にあつては、当該エレベーターの昇降路の出入口の部分を含む。)を除き、耐火構造の壁で囲むこと。 四 階段室及び付室の天井及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。 五 階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。 六 階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から90㎝以上の距離にある部分で、延焼のおそれのある部分以外の部分に設けること。ただし、第112条第十項ただし書に規定する場合は、この限りでない。 七 階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと。 八 階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。 九 バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと。 十 屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には第1項第六号の特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には同号の防火設備を設けること。 十一 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。 十二 建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる特別避難階段の15階以上の各階又は地下3階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては8/100、その他の居室にあつては3/100を乗じたものの合計以上とすること

 

避難階段の設置位置

避難階段は、居室から階段に至るまでの”建築基準法に定められた歩行距離”を満たす位置に設置します。

避難階段は、直通階段でもあるため、建築基準法施行令120条・令125条の規定がかかるということ。

 

さらに、屋外避難階段の場合は、地上に降りたら「1.5m以上の通路幅が確保された屋外を通り、道路までたどり着ける」のが原則です。(建築基準法施行令128条による)

”原則”という、少しあいまいな言い方をしたのは、もちろん例外があるから。

各特定行政庁が定めた条件をクリアすれば、「屋外避難階段から建物内部を通る避難ルート」も設計することが可能です。

ここでは、一例いちれいとして、大阪市建築基準法取り扱い要領を紹介します。

屋外避難階段からの敷地内に設けるべき通路を、建物内に設ける場合の取扱い

出入口等から、道路等に通じる幅員 1.5m以上の通路が、次の各号に該当する場合には、建物内に設けることができる。

① 通路部分は、主要構造部を耐火構造とし、かつ、これに接続する建築物は、主要構造部を耐火構造で造ること。

② 通路部分は耐火構造で区画し、原則として開口部を設けないこと。ただし、やむを得ず設ける場合は、常時閉鎖式又は煙感知器連動の特定防火設備とすること。(小規模な便所・避難通路の幅を確保した自転車置場は除く。)

③ 壁(床面から 1.2mまでの部分を含む。)・天井の仕上げは、仕上げ下地共不燃材料とする。

④ 階段から屋外出口までの(道路等、避難上有効な空地に面すること。)歩行距離は、令第120条に規定する数値以下とする。

⑤ 通路部分には段差を設けないものとする。

⑥ 排煙について、平成12年告示第1436号四の規定は適用できない。

出典:大阪市建築基準法取扱い要領

大阪市で建築する際は、上記の基準を満たせば、屋外避難階段からの避難経路を内部に設けることが可能。

ただし、他の特定行政庁では異なる基準が設けられているケースもあります。

屋外避難階段で内部を抜ける計画をするときは、設計の途中段階で、確認検査機関に相談しておきましょう。

階段だけでなく、道路にいたるまでの避難経路を想定すべき。避難のスタートからゴールまでを考えて設計しないと、思いもよらぬところで法律に違反してしまいます。

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避難階段の幅・けあげ・踏面

階段の有効幅・蹴上げ・踏面は、建築基準法施行令23条によって決まります。

「避難階段」も「その他の階段」も基準は同じですね。

建築基準法における階段の基準【一覧表】

階段寸法について、建築設計における『階段寸法』の基準を解説|幅・けあげ・踏面の限度という記事で詳しく解説しています。

 

まとめ

  • 避難階段とは、防火性能を高めた直通階段のこと。
  • 避難階段は3種類。
    1. 屋内避難階段
    2. 屋外避難階段
    3. 特別避難階段
  • 避難階段の構造は、図解を見てイメージをつかむことが重要。
  • 避難階段は、居室から階段に至るまでの”建築基準法に定められた歩行距離”を満たす位置に設置
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