肩こり博士に聞いた、重だる首・ガチガチ肩の日常メンテナンス
胸郭は鳥カゴのような骨格をしており、背骨の中央に位置する12個の胸椎と繋がっている。胸椎は体を支える役割を担い、姿勢を安定させる機能も猫背、ストレートネック、 悪い姿勢が肩コリを招く 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、体に何らかの不調を覚える自覚症状で男女ともに毎回上位にランクインする「肩コリ」。今や国民病とも呼ばれ、日本人の約7割が自覚しているそう。では、なぜ肩や首のコリは起きてしまうのか、肩こり博士の吉田一也さん (※吉は正しくはつちよし)に教えてもらいました。
「肩コリは、首や肩の筋肉が緊張して硬くなり、血行が悪くなることで生じる痛みのことをいいます。様々な原因で引き起こされますが、一番多く挙げられるのが『姿勢の崩れ』。デスクワークや家事などで長時間同じ姿勢を続けていることで、背中が丸まっていわゆる猫背の姿勢になったり、頭が胸の位置よりも前に出て頸椎(首の骨)がまっすぐに伸び、ストレートネックになることで、首から肩の筋肉に負担がかかり、コリが生まれます」
また最近、コリを助長する要因といわれているのがスマートフォンの操作。うつむき加減で画面を見ることが多いが、それが姿勢の悪化を招いている。
「人間の頭の重さは成人で体重の約10%。たとえば体重50kgだと5kg程度の重さになりますが、スマホを見る際の頭の角度が深くなればなるほど、何倍もの重さになって首の後ろから肩にドスンとのしかかり、姿勢がどんどん崩れていくのです。だから慢性的な肩コリは、姿勢を改善することが根本的な解決になります」
頭を傾けずにスマホ操作する時と比べて、首にのしかかる重さは、30度傾けると約3倍、60度傾けると約5倍に胸郭の動きをよくして、慢性的な肩コリを解消
日々酷使している首や肩の筋肉をやみくもに揉んでも、一時的な緩和にしかならない。だからこそ肩コリを繰り返さないために、姿勢の崩れを招く生活習慣を見直すとともに、首や肩の筋肉を支える胸椎を含む胸郭の動きをよくして、正しい姿勢を保てるようにメンテナンスすることが大切。
「胸郭は、背骨の一部で頸椎と腰椎の間にある胸椎、そこから延びる肋骨、胸骨などで囲まれた胸まわりの骨格のこと。ここは日常生活で動かす機会が少ないため、動きにくく硬くなっている人が多い。その胸郭全体を胸側、背中側、体の側面と360度まんべんなく動かして、柔軟性を高めてあげると、胸椎の動きもよくなり、姿勢が改善されます。また、同時に、横隔膜の動きもよくなるため呼吸も深くなり、充分な酸素を体に取り込めるようになるので血行不良も解消され、結果、肩コリ解消の近道になります」
まずは今の自分の姿勢の状態がどうなっているのかをチェック。今回は、仕事や家事の合間に簡単にケアできるよう、座ったまま気軽にできるエクササイズをピックアップ。全部行うのがいちばんだが、胸側、背中側、側面の胸郭のどの部分が硬くなっているかをチェックし、自分が特に動きが鈍いと感じる部分にアプローチできるエクササイズを選んで行ってもOK。
基本のセルフチェック
肩コリがある人は、まっすぐに立てない!?
肩コリを招く姿勢の崩れ。まずは自分の姿勢がどういう状態なのか、壁に背中をつけて、まっすぐに立ち、基本姿勢のチェックを行うことから始めよう。真横から見るために鏡の前で行うか、写真を撮って確認するのがおすすめ。
「耳の穴の位置が肩先よりも前に出ていたり、後頭部が自然と壁につけられない場合は、普段から前傾姿勢をとっていて、首や肩に大きな負担がかかっています。さらに、腰を反らさないとお尻が壁につかない場合は、猫背の可能性大。首や肩が前に引っ張られて、まっすぐ立っていられない人は、肩コリが進行している証拠です」
ちゃんと立てているのに肩コリがひどい人は、ほかに原因がある可能性も高いため、専門家に相談を。
エクササイズの前に鎖骨ほぐし
エクササイズの効果を高めるために、まずは姿勢をよくするだけでなく、首や肩のコリを解放できる鎖骨ほぐしの方法をレクチャー。
「鎖骨は胸の上部、左右にあり、首や肩まわり、胸郭とも密接に関わっています。だから鎖骨まわりの筋肉がほぐれると、肩や腕が軽くなり、胸郭も動かしやすくなるので重点的に柔らかくしていきましょう。鎖骨にくっついている筋肉は実は5つしかなく、そのうちの鎖骨下筋は深いところにあって触るのが難しいため、上部にある僧帽筋上部線維と胸鎖乳突筋、下部にある三角筋前部線維と大胸筋鎖骨部の4つの筋肉を『さする』『つまむ』『つまみながら肩を動かす』の3つのステップで、まんべんなくほぐしましょう」
(さする)両側の鎖骨の上下を手のひらで優しくさすり、鎖骨まわりの筋肉を緩める。位置を少しずつ変えながら、1カ所5秒ずつ行う (つまむ)鎖骨まわりに張り付いている脂肪や皮膚を、筋肉から引きはがすようにつまむ。1カ所、上下左右方向に5秒程度動かす (つまみながら肩を動かす)柔らかくなってきたら応用編。広範囲に効かせるために、皮膚をつまみながら頭を倒すなどして、5秒程度肩を動かす トップス1万1000円(ジュリエ TEL:03-6673-9883)メリノウールアクティブパンツ1万9800円([sn]super.natural https://sn-supernatural.jp)セルフチェック 1:胸が張れるか、背筋が伸ばせるか
うつ伏せになり、肘を曲げて手を体の横に置く。肘を伸ばして上体を起こす。頭を高く持ち上げて、胸が前と横に広がるかをチェックする。天井を見られなかったり、お腹が床から離れたりする場合は、胸側の柔軟性が特に低いここでは、胸椎を伸ばして、胸郭が開くかをチェックし、胸側の柔軟性を確認。うまくできない場合は、胸を張る力や背筋を伸ばす力が低下しているため、首や肩に負荷がかかりやすい。
解消エクササイズ 前胸部に位置する大胸筋をしっかりと伸ばす
❶椅子に座り、後頭部に両手を置く ❷息を吸いながら胸を前に突き出し、背もたれに寄りかかり背中を反らす。その際、肩はすくめず、胸が前と横に広がる感覚を意識して。息を吐き①の状態に戻る、これを5~10呼吸行う ❶椅子にやや浅めに座り、両手を肋骨の横に当てる ❷息を吸いながら背中を反らし、肋骨が左右に広がるのを感じる。息を吐き①の状態に戻る。これを5~10呼吸行う。繰り返し行うと、肩甲骨の動きもスムーズになるセルフチェック 2:背中が丸められるか
椅子に浅く座り、足は床にしっかりつける。両腕を前に伸ばし、おへそをのぞき込むように、背中を後ろに広げる意識でゆっくりと背中を丸める。頭だけが前に出ていたり、肩甲骨が動きづらい場合は、背中側の柔軟性が特に低いここでは、胸椎を曲げて、胸郭がすぼめられるかをチェックし、背中側の柔軟性を確認。うまくできない場合は、背中を丸める力が低下しているため、首が前に出やすく、猫背になりやすい。
解消エクササイズ 肩甲骨、胸椎を動かして、背中を柔らかくする
❶椅子に浅く座り、地面と平行になるように両腕を前に伸ばし、手の甲を合わせる ❷一度息を吸い、吐きながら上体を前に倒す。手の先を遠くに伸ばしながら、背中を丸めて5秒キープ。①の状態に戻り、これを5回繰り返す ❶椅子に浅く座り、両腕は太ももの外側へ下ろす ❷一度息を吸い、吐きながら背中を丸めて、体を左右交互に10~15秒小さく揺らす。胸椎を揺らすことで力が抜けて、背中の緊張が和らぐだけでなく、鎖骨まわりもほぐれ軽くなる Tシャツ1,243円(ユナイテッドアスレ/キャブ https://united-athle.jp) メリノウールアクティブパンツ1万9800円([sn]super.natural)セルフチェック 3:上体を横に倒せるか
❶椅子に浅く座り、片方の腕は横に下ろし、反対の手は頭の後ろに置く ❷体を下げている腕のほうへ倒す。反対側も同様に。その際、首が痛くなったり、どちらかが極端に倒しにくかったら、肋骨の動きが鈍く、呼吸が浅くなっている証拠ここでは、胸椎を側屈させ、胸椎の動きがスムーズかをチェックし、体の側面の柔軟性を確認。うまくできない場合は、体を横に倒す力が低下し、肋骨がガチガチに固まっている可能性が。
解消エクササイズ 体の左右を伸ばして、肋骨の動きをスムーズに
❶椅子に座り、後頭部に両手を置く ❷一度息を吸い、息を吐きながら体を真横に倒す。その際、倒したほうとは反対の脇腹~胸が気持ちよく伸びる位置で5秒キープ。反対側も同様に。これを5回繰り返す (少しアレンジ)真横でなく、斜め前に軽くお辞儀するように倒すと、肋骨の前側が伸びて、胸郭の柔軟性をより高めることができる 椅子に座り、両肘を軽く曲げて、手をそれぞれの肩の上に置く。両肩を交互に大きく回す。頭の位置はできるだけ動かさずに、胸部全体を動かすような意識で行うと、肋骨にアプローチできる。前回し、後ろ回し各10回 ニット2万8600円(レキップ TEL:03-6861-7698) メリノウールアクティブパンツ1万9800円([sn]super.natural)『クロワッサン』1160号より
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