映画雑感
映画雑感

映画雑感

1.はじめに

映画『インデペンデンス・デイ』は、ローランド・エメリッヒ監督による1996年のSF映画です。

この映画の中で特に印象的なのは、ホイットモア大統領(ビル・プルマン)がエイリアンの侵略に立ち向かう人々に向けて行う名演説です。

この演説を分析すると、様々な著名スピーチとの類似性を発見できます。

今回は、この演説が歴史的な著名スピーチとどのように類似しているのか、分析していきますね。

 

 

  • 1.はじめに
  • 2.インデペンデンス・デイの大統領演説の英語全文を超分析(和訳あり)
    • 2-1. ホイットモア大統領の演説全文
    • 2-2. マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの「I Have a Dream」との類似性
    • 2-3. ジョン・F・ケネディの「Ask not what your country can do for you」との類似性
    • 2-4. フランクリン・ルーズベルトの「The Infamy Speech」との類似性
    • 2-5. 聖クリスピンの祭日の演説との類似性
    • 2-6. チャーチルの「We shall fight on the beaches」との類似性
    • 2-7. ディラン・トーマスの「Do not go gentle into that good night」との類似性
    • 2-8. 実際、ビル・プルマンは自身は誰を意識した?
    • 2-9. ビル・プルマンの演説が良すぎてタイトルが変わった?
  • 3.あらすじ
  • 4.監督・脚本・登場人物
  • 5.最後に
    • 参考

 

2.インデペンデンス・デイの大統領演説の英語全文を超分析(和訳あり) 2-1. ホイットモア大統領の演説全文

まずは、ホイットモア大統領の名演説の全文を見てみましょう。

Good morning. In less than an hour, aircraft from here will join others from around the world.

「おはようございます。1時間足らずで、ここから出発する航空機は世界中の他の航空機と合流します。

And you will be launching the largest aerial battle in this history of mankind.

そして、人類史上最大の空中戦を開始します。

Mankind -- that word should have new meaning for all of us today.

人類という言葉は、今日私たち全員に新たな意味を持つべきです。もはや些細な違いに悩まされることはありません。我々

We can't be consumed by our petty differences anymore.

もはや些細な違いに悩まされることはありません。

We will be united in our common interests.

我々は共通の利益のために団結します。

Perhaps its fate that today is the 4th of July, and you will once again be fighting for our freedom, not from tyranny, oppression, or persecution -- but from annihilation.

今日が7月4日であることは運命かもしれません。そして、再び自由のために戦うことになるのです。独裁や抑圧、迫害からではなく、絶滅からの自由のために。

We're fighting for our right to live, to exist.

私たちは生きる権利、存在する権利のために戦っています。

And should we win the day, the 4th of July will no longer be known as an American holiday, but as the day when the world declared in one voice:

そして、この日を勝ち取れば、7月4日はもはやアメリカの祝日ではなく、世界が一つの声で宣言した日となるでしょう。

"We will not go quietly into the night! We will not vanish without a fight! We're going to live on! We're going to survive!" Today, we celebrate our Independence Day!

「我々は夜の静寂に消えることはない!戦わずに消え去ることはない!生き続ける!生き延びる!」今日、私たちの独立記念日を祝おう!」

 

このスピーチの力強いメッセージは、劇中のクライマックスで人々を鼓舞し、観客の心にも深く響くものです。

 

 

2-2. マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの「I Have a Dream」との類似性

まず、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの「I Have a Dream」との比較をします。

"I have a dream that one day this nation will rise up and live out the true meaning of its creed: 'We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal.'"

「私には夢があります。いつの日か、この国が立ち上がり、その信条の真の意味を生きることを。『すべての人間は平等に作られているという自己明白な真実を信じる』」

 

キング牧師のスピーチは、平等と正義を求めるものです。

特に、キング牧師が引用しているのは、アメリカの独立宣言から引用したものでした。

このアメリカ独立宣言の一節の本当の意味をキング牧師が説き、ホイットモア大統領は、キング牧師の願いが叶ったことを伝える形で演説しているのです。

些細な違いは問題ではなく、すべての人間が平等である、だからこそ、団結するときである、と説いているのです。

アメリカ独立宣言が、キング牧師を経て、ホイットモア大統領へ歴史が紡がれた瞬間でした。

2-3. ジョン・F・ケネディの「Ask not what your country can do for you」との類似性

ジョン・F・ケネディの「Ask not what your country can do for you」との比較をします。

"And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you — ask what you can do for your country."

「そして、私の同胞アメリカ人よ、国があなたのために何をするかを問うのではなく、あなたが国のために何をするかを問うのです。」

 

ケネディのスピーチは、国民一人一人が自分の役割を果たすことを呼びかけるものでした。

ホイットモア大統領のスピーチも、全世界の人々が一致団結し、自らの役割を果たすことを強調しています。

個々の行動が大きな力を生むというメッセージが共通していますね。

 

 

2-4. フランクリン・ルーズベルトの「The Infamy Speech」との類似性

フランクリン・ルーズベルトの「The Infamy Speech」と比較します。

"Yesterday, December 7, 1941—a date which will live in infamy—the United States of America was suddenly and deliberately attacked by naval and air forces of the Empire of Japan."

「昨日、1941年12月7日―この日は汚名として生き続ける―アメリカ合衆国は日本帝国の海軍および空軍によって突然かつ故意に攻撃されました。」

 

ルーズベルトのスピーチは、アメリカ国民の団結と反撃を呼びかけるものでした。

ホイットモア大統領の演説も、同様にアメリカのみならず世界中の人々に向けて団結を呼びかけ、共に戦うことを促しています。

ある特定の日の一点を投げかけて、全員の意識を演説に集中させる点も類似性を感じさせます。

 

2-5. 聖クリスピンの祭日の演説との類似性

ウィリアム・シェイクスピアの「ヘンリー五世」に登場する聖クリスピンの祭日の演説と比較します。

"This day is called the feast of Crispian: He that outlives this day, and comes safe home, Will stand a tip-toe when this day is named, And rouse him at the name of Crispian. He that shall live this day, and see old age, Will yearly on the vigil feast his neighbours, And say 'To-morrow is Saint Crispian.' Then will he strip his sleeve and show his scars, And say 'These wounds I had on Crispin's day.'"

「今日この日はクリスピアンの祝日と呼ばれます。この日を生き延びて無事に帰還した者は、この日が名を呼ばれるたびに背筋を伸ばし、クリスピアンの名に奮い立ちます。この日を生き延び、老年を迎える者は、毎年の祭りの日に近所の人々にこう言うでしょう、『明日は聖クリスピアンの日だ』。そして彼は袖をまくってその傷跡を見せ、『この傷はクリスピンの日に受けたものだ』と言うでしょう。」

 

"We few, we happy few, we band of brothers; For he to-day that sheds his blood with me Shall be my brother; be he ne'er so vile, This day shall gentle his condition: And gentlemen in England now a-bed Shall think themselves accursed they were not here, And hold their manhoods cheap whiles any speaks That fought with us upon Saint Crispin's day."

「我々は少数精鋭の仲間、兄弟の絆で結ばれている。今日、私と共に血を流す者は皆、私の兄弟となる。どんなに卑しい者でも、この日が彼を貴族にする。そして今この場にいないイングランドの紳士たちは、ここにいなかったことを呪い、クリスピンの日に共に戦った者たちが話すのを聞くたびに、自らの男らしさを軽んじることになる。」

 

シェイクスピアの聖クリスピンの演説は、アジンコートの戦いの前夜にヘンリー五世が兵士たちを鼓舞するシーンで登場します。

演説の中心には、戦いに参加する者たちの勇気と誇りがあり、その日が歴史に刻まれることを強調しております。

ホイットモア大統領の演説も同様に、特定の日(7月4日)を強調し、その日が単なる祝日ではなく、人類全体の団結と生存の象徴として記憶されることを強調しています。

また、「我々は夜の静寂に消えることはない」「戦わずに消え去ることはない」といった決意の表明も、ヘンリー五世の「この日を共に血を流す者は我が兄弟」といった団結の表現と共通しております。

これらの要素は、歴史的な名演説がいかにして聴衆の心を打ち、行動を奮い立たせる力を持っているかを示しております。

ホイットモア大統領の演説も、過去の名演説の要素を巧みに取り入れながら、新たな文脈で人々に強いメッセージを伝えることに成功しています。

 

2-6. チャーチルの「We shall fight on the beaches」との類似性

ウィンストン・チャーチルの「We shall fight on the beaches」との比較をします。

"We shall fight on the beaches, we shall fight on the landing grounds, we shall fight in the fields and in the streets, we shall fight in the hills; we shall never surrender."

「我々はビーチで戦う、上陸地で戦う、野原や街頭で戦う、丘で戦う。決して降伏しない。」

 

チャーチルのスピーチは、ナチス・ドイツの侵攻に対するイギリスの抵抗を呼びかけるものでした。

ホイットモア大統領のスピーチも、エイリアンの侵略に対する人類の抵抗を呼びかけるもので、同様に団結と戦う意志を強調しています。

ホイットモア大統領が、同じリズム感で戦うことを立て続けに呼びかけながら、最後に力強く決意を述べるスタイルも類似しています。

2-7. ディラン・トーマスの「Do not go gentle into that good night」との類似性

最後に、ディラン・トーマスの詩「Do not go gentle into that good night」との比較をいたします。

"Do not go gentle into that good night. Old age should burn and rave at close of day; Rage, rage against the dying of the light."

「静かにその良き夜に入っていくな。老齢は日暮れに燃え狂うべきだ;光の消滅に対して激怒し、怒れ。」

 

トーマスの詩は、絶望に屈せず戦い続けることを求めるものです。

ホイットモア大統領のスピーチも、絶望に屈せず、最後まで戦い抜く決意を表しています。

内容もさることながら、 ”Do not go gentle into that good night” という表現が、ホイットモア大統領の "We will not go quietly into the night!" と酷似しています。

 

2-8. 実際、ビル・プルマンは自身は誰を意識した?

ビル・プルマンがインタビューで答えたところによると、彼はホイットモア大統領の演説を演じる際、ロバート・ケネディのスピーチからインスピレーションを得たそうです。

特に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが暗殺された後にロバート・ケネディが行ったスピーチに強い影響を受けたと述べています。プルマンは、20世紀の多くの著名なスピーチを研究し、その中からロバート・ケネディのスピーチを選んで参考にしたとのことです。

さらに、スピーチのスタイルについては、脚本家のディーン・デヴリンが「聖クリスピンの祭日の演説」のような力強い演説を目指して書かれたものであるとも言及されています。

プルマンは、このスピーチの初リハーサルで周囲を驚かせるほどのパフォーマンスを披露し、その瞬間から名演説として評価されるようになったのです。

このようにして、ホイットモア大統領の演説は、歴史的な名スピーチの要素を取り入れながらも、独自のメッセージ性を持ったものとなっています。

 

2-9. ビル・プルマンの演説が良すぎてタイトルが変わった?

ビル・プルマンの名演説が『インデペンデンス・デイ』のタイトルを決定づけることになった経緯についてもご紹介します。

当初、この映画のタイトルは『Doomsday(終末の日)』とされていました。しかし、監督のローランド・エメリッヒと脚本家のディーン・デヴリンは、タイトルを『Independence Day(独立記念日)』に変更したいと強く希望していました。

FOX側からの要望だったんですね。

そのために、彼らは映画の撮影スケジュールを調整し、ホイットモア大統領の演説シーンを優先して撮影することに決めました。

この演説シーンが非常に感動的で力強いものであれば、スタジオ側もタイトル変更に同意するだろうと考えたのです。

ビル・プルマンのパフォーマンスは期待を超えるもので、デヴリンは完成したシーンを見た後、「これを見れば、スタジオもタイトルを『Independence Day』に変更するに違いない」と確信しました。

最終的に、この演説の力強さが決め手となり、スタジオはタイトルを『Independence Day』に変更することに同意しました。

この決定もあってか、映画は大成功を収め、世界中で大ヒットとなりました。

確かに、Doomsday(邦題:ドゥームズ・デイ)だとしたら大ヒットはしないだろうという自信が私もあります。

 

 

3.あらすじ

『インデペンデンス・デイ』は、地球に襲来するエイリアンと人類の戦いを描くSF映画です。

物語は、巨大な宇宙船が地球の主要都市に現れ、その脅威に人々が戸惑うところから始まります。

各国政府はこの謎の宇宙船に対して対策を講じますが、エイリアンは容赦なく攻撃を開始し、ニューヨーク、ワシントンD.C.、ロサンゼルスなどが壊滅的な被害を受けます。

この危機に直面したアメリカ大統領ホイットモア(ビル・プルマン)は、科学者デヴィッド・レヴィンソン(ジェフ・ゴールドブラム)と共に、エイリアンの攻撃に対抗する方法を模索します。

デヴィッドは、エイリアンの通信を解読し、彼らが大規模な攻撃を計画していることを突き止めます。

その情報を基に、大統領は速やかに避難命令を発令します。

一方、パイロットのスティーヴン・ヒラー大尉(ウィル・スミス)は、エイリアンの攻撃に対して反撃を試みますが、その圧倒的な戦力に苦戦します。

 

 

4.監督・脚本・登場人物

監督:ローランド・エメリッヒ

脚本:ディーン・デヴリン、ローランド・エメリッヒ

登場人物:

ホイットモア大統領(ビル・プルマン)

スティーヴン・ヒラー大尉(ウィル・スミス)

デヴィッド・レヴィンソン(ジェフ・ゴールドブラム)

ジュリアス・レヴィンソン(ジャッド・ハーシュ)

コニー・スパノ(マーガレット・コリン)

ラッセル・ケイス(ランディ・クエイド)

 

5.最後に

 

 

ホイットモア大統領の名演説は、過去の著名なスピーチの要素を取り入れ、団結と決意を強調したものです。

ビル・プルマンが意識したのは2,3程度だったようですが、実際に分析してみると、類似しているスピーチが他にも見られることがわかりました。

ビル・プルマン本人の教養レベルが高いのか、一定以上のレベルのスピーチになると似通ってしまうのか、どちらかですかね。

いずれにしろ素晴らしい演説であったことには変わりなく、今後の映画史においても語り継がれることでしょう。

 

以上読んでいただきありがとうございました。

 

インデペンデンス・デイ (字幕版)

  • Bill Pullman
Amazon 参考

・https://www.ibtimes.com/how-bill-pullmans-iconic-speech-independence-day-inspired-movies-title-change-2986817

・https://www.people.com/movies/independence-day-speech-the-story-behind-bill-pullmans-big-moment

・Ground News - Independence Day Speech: The Story Behind Bill Pullman's Big Moment

・American Rhetoric: Movie Speech from Independence Day - President Addresses the U.S. Fighter Pilots

・https://www.happyscribe.com/transcriptions/independence-day-bill-pullman-speech

・https://www.rev.com/blog/transcripts/bill-pullman-independence-day-speech-transcript

・How Bill Pullman's Independence Day Speech Changed The Title Of The Movie

・https://comicbook.com/movies/news/independence-day-director-roland-emmerich-breaks-down-bill-pullman-iconic-speech/

📎📎📎📎📎📎📎📎📎📎
BOT