「なぜこんな暗い時間に?」早朝5時半、杖をつき手を取り合って歩く老夫婦。その『優しい理由』とは
「なぜこんな暗い時間に?」早朝5時半、杖をつき手を取り合って歩く老夫婦。その『優しい理由』とは- 2026.1.15
朝のウォーキングですれ違うご夫婦。ある朝、休憩する2人に声をかけると、その時間を選ぶ理由を教えてくれました。思わず胸があたたかくなった、筆者のエピソードです。
ゆっくりとした足取り
朝5時半のウォーキングが日課になっている私。決まった時間に外へ出ると、まだ夜の名残が漂うような薄暗さが残っています。
そんな中、いつもすれ違う高齢のご夫婦がいます。女性は杖をつき、もう片方の手は男性とつないでいます。ゆっくりと同じ歩幅で、一歩一歩確かめるように進む姿が印象的です。
夏のうちは、その仲むつまじい雰囲気にただ心が和むだけでした。 しかし、季節が変わってもなお、寒く暗い時間に歩き続ける2人を見ているうち、「大丈夫なのかな」と心のどこかで気にかけるようになりました。
ときどき足取りが重そうに見える朝もあり、そのたびに心配になりました。
公園のベンチで休む姿
ある日のこと。コース途中の小さな公園で、女性がベンチに腰を掛け、男性に支えられている場面に出くわしました。
肩で静かに息を整えている女性の姿を目にし、自然と足が止まりました。しばらく迷ったものの、思い切って「大丈夫ですか?」と声をかけました。
女性は顔を上げ「大丈夫よ、ちょっと休憩しているだけなの」と笑顔を見せてくれました。その表情に少し安心したとき、男性が隣で続けました。
早い時間を選ぶ理由
「この時間がいちばん歩きやすいんですよ。人が少ないから、ゆっくり彼女のペースで歩ける。必要なら、こうして休憩もできるしね」
その言葉を聞いた瞬間、ハッとしました。
確かに、あと1時間もすれば通勤や通学で道は慌ただしくなる。人の流れに急かされることなく、2人の歩幅で進める静かな時間を選んでいたのだと気づきました。
ただ歩いていたわけではなく、“今の2人にとっての歩きやすさ”を大切にしていたご夫婦。寄り添いながら進む姿は、毎日を丁寧に積み重ねているようで、心に残りました。
その朝から、暗い中でのウォーキングが少し違って見えています。
ゆっくりでも、休みながらでも、自分のペースで進めばいい。そんなメッセージを、ご夫婦がそっと教えてくれた気がしました。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大空琉菜受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。
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