保護者「うちの息子が悪いということか!?」通知表を渡した日に届いた“怒りの電話”→担任が所見欄に書いた一言
保護者「うちの息子が悪いということか!?」通知表を渡した日に届いた“怒りの電話”→担任が所見欄に書いた一言- 2026.3.15
こんにちは。元小学校教員で、現在はWebライターをしているみずいろ文具です。
学年末の通知表。先生にとっては、1年間の集大成のような仕事です。
子ども一人ひとりの頑張りを振り返り、「どんな成長があったか」を短い文章に込める。所見欄は、そのための大切なスペースです。
しかし私は、初めて学級担任をした1年目に、この所見欄で大きな失敗をしてしまったのです。
「成長を書いたつもり」だったのに…
当時、私は1年生の担任でした。学年末が近づき、放課後の職員室で一人ひとりの所見を書いていました。
その中に、元気いっぱいの男の子、Kくんがいました。よく笑い、よくしゃべり、エネルギーの塊みたいな子です。
ただ、その分、友達との距離感が近くなりすぎて、ぶつかってしまうこともありました。
私がKくんの所見欄に書いたのは、こんな一文です。
「ケンカをすることもありますが、前向きに気持ちを切り替えて友達と関われるようになってきました。」
自分では、かなり前向きな文章のつもりでした。
1学期のKくんは、切り替えが難しかった
というのも、1学期のKくんは、ケンカになると大泣きしてしまい、授業をボイコットするほどでした。
気持ちの整理がつかず、教室の隅で泣き続けたり、机に突っ伏したまま動けなくなったりしたこともありました。
私は何度も声をかけ、支援員さんの手も借りながら、少しずつ切り替えの練習をしてきました。すると3学期になる頃には、Kくんは気持ちの切り替えが上手になってきたのです。
友達とトラブルがあって泣いてしまっても、話を聞いてあげると、気持ちを整えて次のやるべきことに向かえる日が増えてきました。
相手を責めるばかりでなく、自分の悪かったところも言葉で言えるようになってきました。
だからこそ、「前向きに気持ちを切り替えられるようになった」ということを、保護者の方にも伝えたかったのです。
通知表を見た父親が激怒
ところが、通知表を渡した日、学校に一本の連絡が入りました。Kくんのお父さんからです。
「うちの息子はケンカばかりしてるってことか。うちの息子が悪いと言いたいのか?」
声は強く、怒りがはっきり伝わってきました。その後、夜遅くにご両親で学校に来られ、お母さんも「私もこの書き方には不満です」とお怒りでした。
私は頭が真っ白になりました。“Kくんの成長を書いたつもりだったのに…”
でも、改めて読み返すと、私の文章は、最初に「ケンカ」という言葉が来てしまっています。どれだけ後ろに前向きな内容を書いても、最初に目にした言葉の印象が、どうしても強く残ってしまったのでしょう。
たった一文でわだかまりが残ってしまう
もちろん私は、そのような意図で書いたわけではありません。
1学期からの成長を伝えたかったこと、3学期のKくんの変化を誇らしく思っていることを丁寧に説明し、謝罪しました。
何とか納得していただけましたが、成長を伝えようと書いた一文が、保護者の方にとっては「否定された」と感じさせてしまったことが非常にショックでした。
所見は文章なので、読み手の受け取り方がすべてになってしまいます。
特に通知表は、家庭に持ち帰られ、場合によっては何年も残るものです。
たった一文でも誤解を招けば、不信感やわだかまりが残ってしまいます。
それ以来、所見欄は“マイナス語を先に置かない”
この出来事以降、私は所見を書くときに、細心の注意を払うようになりました。
例えば、同じことを伝えるなら、このように書き換えられたと思います。
「気持ちの切り替えが上手になり、前向きに友達と関わろうとする姿が増えました。」「自分の気持ちを整えて、落ち着いて過ごせる時間が増えてきました。」
誤解を招きやすい“マイナスの言葉”は、できるだけ前面に出さないこと。年間の記録として、子どもの未来を応援する文章でありたいと思ったのです。
保護者の方にとって、通知表はわが子の1年間が詰まった、大切な一枚。だからこそ、「誤解を招く表現」になっていないか。
ライターとして仕事をする今も、この失敗は自分の糧として思い出します。
ライター:みずいろ文具
関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。
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