C-GIS(ガス絶縁開閉装置)
C-GIS(ガス絶縁開閉装置)C-GISは、金属製のキュービクル(外箱)の内部に密閉されたガスタンクを設け、その中に遮断器、断路器、接地開閉器、母線、計器用変成器といった受変電に必要な主要機器を一括して収納した密閉形のスイッチギアである。タンクの内部には空気の代わりに高い絶縁性能を持つガスが充填されており、特別高圧の電路を制御および保護する設備として広く採用されている。
従来の気中絶縁方式の受変電設備では、空気の絶縁耐力に依存していたため、高電圧の機器同士や充電部と接地された金属箱との間に物理的に広い絶縁距離(クリアランス)を確保する必要があった。これに対して、絶縁性能の優れたガスを封入するC-GISを採用することで、充電部間の距離を大幅に短縮できる。これにより、設備全体の設置面積を従来の気中絶縁方式の数分の一から10分の1程度にまで縮小することが可能となっている。
建築物の設計において、電気室などの設備スペースは直接的な収益を生まない非有効面積となる。特別高圧を受電する大規模なオフィスビルや商業施設、都市部の工場など、敷地面積に制約がある施設においてC-GISを導入することは、レンタブル比(収益面積の割合)を向上させ、建築計画上のスペースの制約を緩和する有効な手法として機能する。
六フッ化硫黄(SF6)ガスの特性と環境対応C-GISの絶縁およびアーク消弧媒体として標準的に充填されているのが、六フッ化硫黄(SF6)ガスである。無色、無臭、無毒であり、化学的に安定した不燃性の気体であるため、火災や爆発のリスクを持たない。大気圧下においても空気の約3倍の絶縁耐力を持ち、電流を遮断する際に発生するアーク放電を吹き消す消弧能力は空気の100倍程度に達する。
SF6ガスは電気設備の小型化と安全性向上に大きく寄与する一方で、二酸化炭素の20,000倍以上という高い地球温暖化係数(GWP)を持つ温室効果ガスでもある。そのため、大気中への放出は法令によって厳しく制限されている。
設備の保守点検や廃棄などで内部のガスを抜き取る際には、専用のガス回収装置を使用して全量を回収し、無害化処理や再利用を行う手順が義務付けられている。近年では環境負荷低減の観点から、SF6ガスを使用せず、乾燥空気や窒素ガスを絶縁媒体とし、真空バルブ(VCB)で電流を遮断する代替方式のC-GISも開発され、導入が進んでいる。
ガス圧の監視とインターロック機構C-GISが設計通りの絶縁性能と遮断性能を発揮するためには、タンク内に充填されたガスが規定の圧力を維持していることが必須条件となる。一般的な特別高圧用C-GISにおけるSF6ガスの定格圧力は0.05MPaから0.15MPa程度の比較的低い圧力で運用されるが、長期間の使用によってシール部などから微小なガス漏れが発生する可能性がある。
ガス圧が規定値を下回った状態で負荷電流や事故電流の遮断操作を行うと、アークを消弧できずにタンク内部で短絡事故を引き起こし、機器の破損や広範囲の停電といった重大な波及事故につながる。これを防ぐため、タンクには密度計や圧力スイッチが取り付けられ、常時監視が行われている。
圧力が一定値(例えば0.03MPa)まで低下した段階で「ガス圧低下」の警報を発報して管理者にガスの補充や点検を促す。さらに圧力が低下して遮断性能を維持できない限界値に達した場合は、制御回路を強制的にロックし、遮断器や断路器の操作を物理的および電気的に受け付けなくするロックアウト機構が組み込まれており、圧力低下時の致命的な操作を防いでいる。
接地開閉器の役割と安全確保C-GISの内部機器は完全に金属タンクで覆われているため、外部から目視で電路が物理的に切り離されているかを確認することができない。パネル面の電圧表示器による無電圧の確認だけでは、ケーブルの残留電荷や表示器の故障、あるいは予期せぬ電源の逆流(バックフェード)による感電リスクを排除できない。
保守点検作業時の確実な安全を確保するため、電路と大地を接続する接地開閉器(アーススイッチ)が盤内に標準装備されている。作業員は、主回路の遮断器と断路器を開放した後、この接地開閉器を投入して電路を完全に接地状態(同電位)にしてから点検作業を開始する。主回路が充電された状態で誤って接地開閉器を投入してしまう活線接地による操作ミスが発生した場合、電路は大地と短絡状態となる。
C-GISに内蔵される接地開閉器は、このような事態を想定して短絡投入耐量を持つように設計されている。誤投入によって発生した大電流を安全に大地へ逃がしつつ、その間に上位の保護継電器が事故を検出して一次側の遮断器をトリップさせる。これにより、作業員の負傷や機器の破壊を防ぐ安全機構として機能している。盤面の操作機構には、断路器が開いていなければ接地開閉器を投入できない機械的なインターロックが施されており、誤操作を物理的な手順として防止している。
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