異種用途区画とは|壁・床・防火設備の基準を解説【緩和事例も紹介】
異種用途区画とは|壁・床・防火設備の基準を解説【緩和事例も紹介】

異種用途区画とは|壁・床・防火設備の基準を解説【緩和事例も紹介】

  • 異種用途区画ってなに?
  • 異種用途区画が必要なのは、どんな建築物?
  • 区画となる壁、床、建具に必要な防火性能が知りたい。

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築基準法における『異種用途いしゅようと区画』についてわかりやすく解説。

ひとつの建築物に複数の用途がある施設(複合施設)を設計する方に役立つ情報です。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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  1. 異種用途区画とは
  2. 異種用途区画が必要な建物用途
    1. 異種用途区画が免除されるケース
  3. 異種用途区画の壁・床に必要な構造とは
  4. 異種用途区画の開口部に設ける防火設備とは
  5. 異種用途区画の緩和について
  6. 異種用途区画にスパンドレルの設置は不要
  7. 異種用途区画を設計するときに欠かせない書籍
    1. 防火避難規定の解説
    2. 基本建築関係法令集 法令編
    3. 基本建築関係法令集 告示編
  8. 異種用途区画について建築基準法を読む
    1. 異種用途区画は2018年9月に法改正
  9. まとめ

異種用途区画とは

異種用途区画とは、「建築基準法27条1項~3項に該当する部分」と「その他の部分」の間を防火上有効に遮る区画です。

防火区画の一種で建築基準法施行令112条18項に定められています。

防火区画の種別

  1. 面積区画
  2. 高層区画
  3. 竪穴区画
  4. 異種用途区画

ちなみに「異種用途区画」というのは通称で、建築基準法の本文にはでてきません。

 

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異種用途区画が必要な建物用途

異種用途区画が必要となるのは、法27条1項・2項・3項のいずれかに該当する建物です。

✓ 異種用途区画が必要となる用途・規模

  1. 建築基準法【別表第一】の表にあてはまる用途・規模
  2. 劇場・映画館・演芸場の用途で、主階が1階にないもの
  3. 【別表第二】(と)項四号に規定する危険物の貯蔵場または処理場の用途に供するもの

2つの用途をもつ建物(複合用途建築物)に、必ずしも「異種用途区画」が必要というわけではありません。

”1.建築基準法【別表第一】の表にあてはまる用途・規模”は、以下のとおり。

(い) (ろ) (は) (に) 用途 (い)欄の用途に供する階 (い)欄の用途に供する部分((一)項の場合にあつては客席、(二)項及び(四)項の場合にあつては二階、(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計 (い)欄の用途に供する部分の床面積の合計 (一) 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもの 3階以上の階 200㎡(屋外観覧席にあつては、1000㎡)以上 (二) 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもの 3階以上の階 300㎡以上 (三) 学校、体育館その他これらに類するもの 3階以上の階 2000㎡以上 (四) 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもの 3階以上の階 500㎡以上 (五) 倉庫その他これに類するもの 200㎡以上 1500㎡以上 (六) 自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもの 3階以上の階

「上表に書かれた用途・規模に当てはまる建築物の部分」と「それ以外の部分」との間を防火上有効な壁・床・開口部で区画するわけですね。

たとえば、”3階建て共同住宅”の一部に”店舗”がある場合、「3階建共同住宅」が上記の表に当てはまるので、「店舗」とのあいだに異種用途区画が必要となります。

異種用途区画が免除されるケース

ひとつの建物内に異なる用途が複数ある場合でも、以下の要件にあてはまれば区画が免除されます。(出典:建築物の防火避難規定の解説)

  • 管理者が同一であること。
  • 利用者が一体施設として利用するものであること。
  • 利用時間がほぼ同一であること。
  • 自動車車庫、倉庫等以外の用途であること。

ただし、緩和条件のひとつ「利用時間が同一であること」という基準は、設計図面で判断できません。

確認申請を提出する際は、確認検査機関と前もって協議しておきましょう。

 

異種用途区画の壁・床に必要な構造とは

異種用途区画を構成する壁・床は「1時間準耐火基準に適合する準耐火構造(1時間準耐火構造)」が求められます。ただし、耐火建築物を計画する場合は、異種用途区画も耐火構造とする必要があります。

1時間準耐火基準:火災がおきてから1時間、壁・柱・床などが倒壊したり、他の建築物に延焼したりしない性能。

”1時間準耐火基準に適合する準耐火構造”は、告示仕様か大臣認定仕様のいずれかを選択することになります。

  • 告示仕様:建築基準法の国土交通省告示第195号に適合するもの
  • 大臣認定仕様:耐火被覆の仕様ごとに、大臣の認定を受けているもの

1時間準耐火構造について詳しく知りたい方は、準耐火建築物(イ-1)とは?3分でわかる設計の基準という記事をご確認ください。

 

異種用途区画の開口部に設ける防火設備とは

異種用途区画となる壁に開口部を設ける場合、建具を「特定防火設備(遮煙性能付き)」とする必要があります。

特定防火設備とは、通常の火災による火熱に対して、1時間火を通さない性能を持つ防火設備。

たとえば、厚さ1.5mm以上の鋼製ドアや防火ダンパーが代表的ですね。

特定防火設備を設計するときは、告示仕様か大臣認定仕様のいずれかを選択します。

  • 告示仕様:建設省告示第1369号(遮炎性能)と告示第2564号(遮煙性能)に適合すること
  • 大臣認定仕様:特定防火設備として大臣認定(CAS)を取得しているもの

 

異種用途区画の緩和について

異種用途区画は、建築基準法施行令112条18項ただし書き(告示250号)の基準を満たすことで緩和されます。

緩和の条件は大きく分けて4つ。

  1. 緩和が適用される用途
  2. 異種用途区画となる床は免除不可
  3. 異種用途区画に隣接する部分の用途
  4. 自動火災報知設備の設置

詳しくは、異種用途区画の緩和基準を解説|2020年4月建築基準法改正をご確認ください。

 

異種用途区画にスパンドレルの設置は不要

異種用途区画にスパンドレル(令112条16項)は不要です。

スパンドレル:防火区画となる壁・床と接する外壁を90㎝以上準耐火構造にすることによって、「区画部分」から「その他の部分」への延焼を防止する規定。

建築基準法施行令112条16項において、面積区画や竪穴区画にはスパンドレルが必要とされていものの、異種用途区画は含まれていません。

ちなみに「スパンドレル」という用語は通称であり、建築基準法の本文には書かれていません。

詳しくは、スパンドレルとは|防火区画に接する外壁の構造【外部延焼防止帯】にまとめています。

 

異種用途区画を設計するときに欠かせない書籍

異種用途区画の検討を行うときに欠かせない書籍は以下の3冊。

  • 建築物の防火避難規定の解説
  • 基本建築関係法令集 法令編 令和7年版
  • 基本建築関係法令集 告示編 令和7年版
防火避難規定の解説

異種用途区画が不要となる場合の要件など、建築基準法の本文には書かれていない取り扱いが多く掲載されています。

防火区画が必要な建築物を設計する場合は必須と断言できます。

建築物の防火避難規定の解説 2025ぎょうせいAmazon楽天Yahoo!ショッピング 基本建築関係法令集 法令編

この記事で解説した内容を建築基準法の本文と照らし合わせることで、法律知識が身に付きます。

建築基準法の本質を理解しなければ、設計をするときに応用が効きません。

基本建築関係法令集 法令編 令和7年版井上書院Amazon楽天Yahoo!ショッピング 基本建築関係法令集 告示編

1時間準耐火構造の告示195号は”法令編”には載っておらず、”告示編”にしか掲載されていません。

基本建築関係法令集 告示編 令和7年版井上書院Amazon楽天Yahoo!ショッピング

 

異種用途区画について建築基準法を読む

異種用途区画は建築基準法施行令112条に定められています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2026 図解建築申請法規マニュアルや建築申請memo2026といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(防火区画) 第百十二条

中略

18 建築物の一部が法第二十七条第一項各号、第二項各号又は第三項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを一時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合においては、この限りでない。

異種用途区画は2018年9月に法改正

建築基準法改正前は、法24条における「小規模な特殊建築物」と「その他の用途」との間にも異種用途区画が必要でした。

しかし、2018年9月の法改正によって、以下に記載する「小規模な特殊建築物」に対しては異種用途区画が不要となっています。

  • 学校、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、マーケット、公衆浴場
  • 自動車車庫で50㎡を超えるもの
  • 百貨店、共同住宅、寄宿舎、病院、倉庫で、階数2かつ200㎡を超えるもの
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まとめ

  • 異種用途区画とは「建築基準法27条1項~3項に該当する部分」と「その他の部分」の間を防火上有効に遮る区画。
  • 異種用途区画が必要となる用途・規模
    • 建築基準法【別表第一】の表にあてはまる用途・規模
    • 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が1階にないもの
    • 別表第二(と)項第四号に規定する危険物の貯蔵場または処理場の用途
  • 異種用途区画を構成する壁・床:1時間準耐火基準に適合する準耐火構造
    • 耐火建築物の場合は、異種用途区画となる床・壁にも耐火構造が必要。
  • 異種用途区画となる開口部:特定防火設備(遮煙性能付き)
  • 異種用途区画は、建築基準法施行令112条18項ただし書き(告示250号)の基準を満たすことで免除される。
  • 異種用途区画にスパンドレル(令112条16項)は不要。

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