進化の果てにある連星の姿 超大型望遠鏡VLTが捉えた“りゅうこつ座”の「AFGL 4106」
こちらは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)で観測した連星「AFGL 4106」です。
りゅうこつ座の方向、約1万光年先にあります。
【▲ ESO(ヨーロッパ南天天文台)の「VLT(超大型望遠鏡)」で観測した連星「AFGL 4106」(Credit: ESO/G. Tomassini et al.)】画像の中央で黒い点として並んでいるのは、年老いた大質量星のペアです。実際には強烈な光を放っているのですが、星自身の光が強すぎて観測装置の検出器が飽和してしまうため、この画像では黒く表現されています。
連星の周囲に花びらのように広がっている星雲は、星から放出された大量のガスと塵(ダスト)でできています。
伴星が“星の晩年”に与える影響
宇宙で誕生する星の多くは連星として生まれますが、それらが互いの最期にどのような影響を及ぼすのかは、天文学における大きなテーマの一つです。
AFGL 4106を構成する2つの星は、どちらも星の進化の最終段階に達しています。その片方はすでに自らを構成する物質を宇宙空間へと大量に放出し、画像に見られるような星雲を形成しています。
コート・ダジュール大学のGabriel Tomassiniさんたち研究チームがこの星雲の形状を詳しく調べた結果、完全な球形ではなく非対称に歪んでいることがわかりました。これは、年老いた星から放出されるガスに対して、伴星が物理的に大きな影響を与えていることを示しています。
極めて明るい星と暗い星雲の両方を同時に観測するのは至難の業ですが、これほど大きな明暗差にも対応できるVLTの分光偏光観測装置「SPHERE」を用いることで、鮮明な画像の取得が実現しました。こうした観測を重ねることで、伴星の存在が星の最期にどのような変化をもたらすのか、今後のさらなる解明が期待されています。
冒頭の画像はESOから2026年2月23日付で公開されています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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