ロード用 油圧ディスクブレーキ パッドの調整とレバー引き代の調整方法
morou2今回は油圧ディスクブレーキの調整方法です。対象はブレーキパッド(及びキャリパー)とSTIレバーです。まずはパッド位置と当たり具合の調整方法から紹介します。
Contents- ■油圧ディスクブレーキのパッド位置調整方法
- シマノのローターは歪みやすい
- パッドの位置調整の方法
- キャリパーの固定を緩める
- センタリングツールをローターに装着
- ブレーキをかけてキャリパーを固定
- 調整完了です
- ■油圧STIレバーのストローク調整
- レバーの位置調整
- フリーストロークの調整
■油圧ディスクブレーキのパッド位置調整方法
まずディスクブレーキのパッドの位置調整ですが、油圧の場合はパッドが減っても基本的に微調整は不要です。ロードの場合はSTIレバーの内部にリザーバータンクというオイルタンクがあり、そこからパッドが減った分だけのオイルが補給されることでパッドとローターのクリアランス(隙間)は常に一定に保たれます。非常に良く出来た仕組みです。
その代わりにパッドとローターのクリアランスは1mmもありませんので、初期のセッティングは非常に繊細です。
シマノのローターは歪みやすいちなみにシマノのローターは熱で歪みやすいと言われています。理由は『アルミ(放熱性が高いが柔らかい)』を『ステンレス(耐久性が高い)』で挟んだ3層サンドイッチ構造だからです(3層クラッド鋼板と呼ばれます)。
いわゆるバイメタルなので、走行中のブレーキングにより高温が発生すると熱膨張率の違いで歪みが生じます。その代わりに冷却性能は高いので、放っておくとそのうち元に戻ります。
このローターの特性については、以下の記事で詳しく書いています。2022年に『RT-CL900』などの新型ローターが出ましたが、基本的な構造は変わっていません。
【ディスクロード】走行中のディスクブレーキの音鳴り・擦れの原因についてパッドの位置調整の方法油圧ディスクの場合、リムブレーキの様なクリアランスそのものを調整する仕組みはありません。またパッドも位置が決まっており調整は出来ませんので、位置調整はキャリパー本体の位置を微調整することで行います。
油圧ディスクブレーキの場合はパッドとローターのクリアランスは左右均等に調整するのが基本です。機械式ディスクブレーキの場合は、動作がVブレーキのように『片方のパッドが動く』仕組みとなりますので、片方はローターに接触寸前、もう片方は隙間を空けておくというセッティングになります。
それでは油圧ディスクブレーキのパッド位置調整方法です。作業の概要は以下の3ステップ。これを詳しく解説します。
- キャリパーの固定を緩める
- ブレーキレバーを握る(これでセンターを出しますが、コツがある)
- キャリパーを固定する
キャリパー本体の位置調整を行いますので、まずはネジを緩めます。位置の調整だけなので少し動く程度に緩めればOKです。対象のネジはフラットマウント部を固定する2本のネジです。
次に道具が登場です。無くても調整は出来ますが、あると作業が確実&時短になります。その道具とは『ディスクローターセンタリングツール』。
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この独特な形状のツールを最初に見た時にはどのように使うのか想像すら出来なかったのですが、Amazonのレビューを見てみるとえらい絶賛されているではありませんか。苦労するのが趣味の人以外は、とりあえずポチっておきましょう。私は今でも使っています。楽なので。
実物は下記の画像です。画像でビニールがかかっている部分をキャリパーに突っ込んでクリアランスを均等にする道具なのですが、キャリパーに突っ込む部分が手の油脂で汚れているとパッドやローターに油分が付着しかねないので、このようにビニールで保護されています。扱う時も要注意です。
このうすーい金属部分をキャリパーに差し込みます。この商品は持ち手がついているので、類似商品と比べると非常に扱いやすいと思います。キャリパーに突っ込む部分を直接触れませんからね。持ち手は必須。
センタリングツールをローターに装着このセンタリングツールをキャリパーに差し込むのですが、まずはローターにかぶせます。
そのままローターを回転させ、キャリパーの中に入れます。リムブレーキの時にも、このようなクリアランス調整用のアイテムがありましたね。
ブレーキをかけてキャリパーを固定このキャリパーがフリーな状態のままブレーキレバーを握り、ブレーキをかけた状態にします。すると自動的に左右のクリアランスが均等に調整されるわけですね。そしてそのまま先ほど緩めたキャリパー固定用のネジを『必要トルクの8割ほどで』締めます。2本のネジは一気に締めずに、交互に少しづつ締めましょう。
なぜ一気に固定しないのかと言うと、一気に締めるとキャリパーが『本締めした時のトルク』でズレてしまう場合があるからです。リムブレーキのキャリパーでも同様の経験をした方がいると思います。
油圧ディスクブレーキの場合は特に調整幅がシビアなので、ここは丁寧に締めましょう。丁寧に作業すればそうそうズレることはありません。8割ほど締めて仮固定出来たら、本固定を行います。
本固定でどうしてもズレてしまう場合は、最後は目視で調整します。仮固定が完了した段階でセンタリングツールを外します。そして手でキャリパーをつかみ、わずかに左にずらしておきます。ネジは時計回りに回すと固定されますから、本固定のトルクをかけるとどうしても右にズレがちなので、予めその分をズラしておくという事です。
ただ、通常はセンタリングツールを使っていればそれだけで均等に調整が終わります。
調整完了です通常は目視で調整せずとも、これで調整が完了します。センタリングツールだけを使って調整したのが下記の状態です。
拡大するとこうです。コンマ数ミリの隙間しかありませんが、ほぼ左右均等になっています。ホイールを回転させてもパッドとローターの擦れは全くありません。
これでパッドの位置調整は完了です。長期間、調整をしていないとパッドが偏摩耗したり片方だけ減りが早くなったりします。そのような状態を発見したら、基本的にはパッドの交換をお勧めします。安いものならペアで1000円程度ですし、命に関わるパーツです。リムブレーキの時のように目視で簡単に確認が出来ませんので、ストックしておきましょう。
一番安いのはレジンのフィン無しタイプですね。通常はこのタイプで全く問題ありません。フィン有りやメタルパッドは、通常よりもハードな使い方をする人向けの製品です。
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雨ブルべなどを走る場合に、強力なストッピングパワーで楽したい場合はメタルがお勧め。
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パッドの選び方は、こちらの記事を参考にされてください。
【ディスクロード】シマノ ロード用ディスクブレーキパッド(パット)はレジンとメタルどちらを選ぶか■油圧STIレバーのストローク調整
次はSTIレバーのストローク調整です。
以前は油圧ブレーキレバー(シマノ)のストローク調整は出来ないモデルも多かったのですが、最近のモデルは調整が可能になっています。調整可能な部分はレバーの位置(握り幅)とフリーストロークの2つです。フリーストローク調整機構は、上位グレードのみなので注意しましょう。
レバーの位置調整まずはレバーの位置調整からです。シマノのマニュアルには『握り幅』とありますが、レバーの初期位置の調整が出来ます。手の小さい人、指の短い人はレバーを手前に来るように調整してしっかり指が届くようにしておきましょう。
基本的にはSTIレバーにある『位置調整ネジ』を2mmのアーレンキーなどで回します。位置調整ネジの場所、ネジをどちらに回すとどう動くのか、というのは型番によって全部異なっています。ここでは全てを書ききれませんので、シマノのマニュアルサイト(Manuals & Technical Documents)でSTIレバーの型番を検索し、調整方法を確認して下さい。
例えばDuraAceの油圧+Di2(ST-R9170)の場合はこの位置にあります。レバーを近づけたい場合は、反時計回りにネジを回します。ちなみに油圧+機械式変速のST-R9120、アルテグラのST-R8070、ST-R8020、ST-R8025(ショートリーチ)も同じです。
私は下ハンの時に少し指が届かない感じがあったので、ちょっとだけ手前に引き寄せました。
アーレンキーが届きづらいですが、ネジをナメないように確実に回しましょう。
フリーストロークの調整次はフリーストロークの調整です。いわゆる『空引き量』です。どれ位レバーを引くとブレーキがかかるのか、という動きの量の調整です。シマノのサイトにもちゃんと機能の紹介があります。⇒シマノ『Free Stroke』
これも型番によって調整ネジの場所が異なりますので、先ほどのマニュアルサイトから型番で検索してみて下さい。レバー位置の調整と同じ場所に記載されていますから、先ほどマニュアルを確認している人は検索不要です。
Di2系のST-R9170、8070はここにあります。ほとんど同じ場所ですね。使用する工具は先ほどと同じく2mmのアーレンキーです。
機械式変速のST-R9120、R8020、R8025はこの位置です。
105クラス以下のグレードは、このフリーストローク調整機構はありません。
またフリーストロークの量を変更すると、レバーの位置も動きます。先ほどの位置調整でせっかく位置を決めたのに、再度調整する必要が出ます。そのため両方調整する必要がある場合は、まずフリーストローク調整から実施した方が良いでしょう。
カバーをめくると、位置調整ネジへのアクセスもやり易くなります。
ただフリーストローク調整は基本的に不要であり、レバー位置の調整だけで大丈夫な場合が多いはずです。私は左レバーだけが動きの量が大きかったので、狭くなるように調整しました。リアの方がオイルラインが長いのでエア抜きが難しい傾向があるのでしょうか。
今回は油圧ディスクブレーキのパッドの位置調整、レバーの調整方法の紹介でした。参考にされて、ちょっとした調整なら自分で出来るようになると良いですね。特にブレーキの調整は個人差がありますので、好みのフィールに調整してみましょう。
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