黒松(クロマツ)の育て方
黒松(クロマツ)の育て方投稿日:2019/08/25 更新日:2020/06/25
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剛健で暑さや寒さに強い黒松は、初心者でも育てやすく、盆栽の代名詞と言える樹種の1つです。
その萌芽力の強さから、芽摘みや芽切り、葉すかしなど「抑制」をかけながらの培養が基本で、短く締まった枝葉を作る方法が発明されています。
松の手入れで重要な短葉法は、樹が充分に元気であることが前提ですから、培養環境の整備や水やり、肥料などしっかり管理し適期の手入れに備えられるようにしましょう。
C o n t e n t s
- 黒松の培養の基本(管理場所、灌水、施肥)
- 黒松の苗木の入手法
- 黒松の病害虫と対策
- 黒松の適期作業
- 関連ページ
1. 黒松の培養の基本
黒松の管理場所黒松は照葉樹でとても陽を好む樹種で、短く締まった葉を作るためにも日照は欠かせません。年間を通じて朝から夕方まで日当たりと風通しのよい場所に置いてください。
暑さや寒さに強い樹なので、厳寒期でも乾燥した強風を避ける程度で、特別な保護は必要ありません。
ただしミニサイズの樹や樹勢の弱っているもの、強い針金かけや太い枝を剪定したものなどは、軒下やムロに入れるなどの対策が必要です。
黒松の灌水多少乾き気味がよく、鉢内部まで乾いてから水やりするのがいいですが、あまり神経質にならなくても大丈夫です。
もともと水を好む樹種ですし、樹形作り段階の養成木では、多肥多水で肥培しながら2番芽を出させる方が早く良くできます。
基本1日朝夕の2回。夏場は乾きも早いので1日2~3回を目安に灌水してください。水はけのいい用土に植え付けて、灌水したらすぐに水が抜けるような環境がベストです。
黒松や赤松は葉水の効果も高く、葉水を与えると皮の荒れがよく出るようです。毎日与える必要はないので、気がついたときに実行してください。
ただし松類の場合は夕方に葉水を与えると葉が長くなる原因になりますから、日中にやるのがいいでしょう。
黒松の施肥樹勢の落ち着いた完成木はやや控えめですが、仕立て段階なら多肥多水培養をしたほうが良くできます。
春肥は4月から始め、梅雨を除く成長期の間は継続的に月1回のペースで肥料の交換をしてください。
植替えをしたものは2週間~20日程過ぎてから少量から施肥を開始。肥料は油かす単用で充分ですが、秋はリン酸やカリウムの配合を増やすのがいいでしょう。
2. 黒松の苗木の入手法
基本的な幹模様が出来ていて、芽摘みもなされている半完成木は盆栽園にありますが、実生3~4年の手頃な素材なら園芸店でも見かけます。
ただし園芸店にあるものは基本的な芽摘みや芽切りがされていないので小枝も少なく、単調な螺旋模様が付けられているようなものが多いので、盆栽として作るにはそれなりの仕立て直しが必要です。
実生苗を買う場合はある程度太さがある元気なものを選び、その樹の個性をよく観察して基本の樹形作りから始めてください。
山取りは勧めませんが、種を拾って実生するのもいいものです。葉性のいいとされる三河黒松の種は通販や即売でも見かけますから探してみてください。
あまり挿木や取木の発根はよくありませんが、芽切りした新梢を挿しておくと1~2割は発根します。数多くさせばいい素材となるので是非「新梢挿し」にも挑戦してみてください。
3. 黒松の病害虫と対策
培養環境さえ気を付ければ害虫や病気に罹るようなことはないのですが、新梢にはアブラムシやカイガラムシ、マツカレハ(マツケムシ)、マツノシンクイムシ等が付くことがあります。
また、気温と湿度が高くなってくると「葉ふるい病」や「すす葉枯れ病」などが発生することがあります。
葉ふるい病は葉に淡褐色の病斑が出て最後には落葉する病気で、すす葉枯れ病は葉の中央~先端にかけて灰褐色になり枯れてしまいます。
松に発生する病気は樹勢が弱っていたり、長雨にあたって根が傷んだものなどに発生しやすいので、日頃から樹勢を落とさないような培養を心がけることが1番。予防にはやキノンドー銅水和剤やマンネブダイセン水和剤などの殺菌剤を定期散布してください。
4.黒松の適期作業
黒松の作業カレンダー
3月 4月 5月 6月 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 植替え 芽切り・葉すかし 強剪定 芽摘み 針金かけ 施肥 7月 8月 9月 10月 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 芽切り・葉すかし 植替え(完成木) 芽かき 剪定 針金かけ 施肥 11月 12月 1月 2月 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 古葉取り 剪定 強剪定 針金かけ 施肥 冬期保護 消毒 植替え(3月中旬~4月中旬)ミドリがほころんで来た頃が植替えのタイミング
植替え時期は3月中頃から4月にかけてが適期で、硬く閉じていた冬芽がほころび出すタイミングがベスト。
関東を中心とすれば春の彼岸頃が絶好期で、黒松の新芽はソメイヨシノの開花とほぼ同時期のため、桜前線の進みに合わせて植替えするといいと言われます。
松類は適期さえ守ればしっかり根処理しても平気ですが、成長が遅いだけに根の伸びも弱く、元ある状態まで回復するのに最短でも1年以上かかってしまうので、一度植替えたら数年はそのまま保ち込みます。
ただし前年から吸排水の悪かったものや、入手したもので土の状態の悪いものなどは一度根の状態を確認するためにも植替えが必要になってきます。
養成木の植替え樹勢の強い養成木では、底土と周囲の土をほぐし全体を1/2くらいまで整理します。
松類は雑木と違って根の張りも遅いので、切り戻しで弱った根が元の状態に回復するだけでも1年はかかります。
2年目から樹勢が付いてくるので、3~4年目にまた植替えるを繰り返すことが樹勢を長く維持するポイント。
ゴロ土には荒目の矢作川砂や軽石などを敷き、赤玉主体に川砂を多めに配合した水はけのいい用土を使ってください。特に多肥多水管理をする若木の場合は、灌水してもサッと水が抜けるくらいの用土が好ましいです。
完成木の植替え菌根菌は宿主植物の生育を助け、病原菌から守る働きをしている
樹勢の落ち着いた完成木では、植替えの間隔も4~5年に1度くらいでよくなります。
菌根菌が共生している場合は、菌根によって供給される水や栄養分(主にチッ素やリン酸)のお陰で水や肥料もさほど必要としなくなる上、芽の伸びも弱いのでほとんど手入れ入らず。
菌根菌が病原菌の侵入も防いでいるので病気にかかりにくくなり、軽い芽摘みや切り戻し、秋の古葉取りくらいで充分形や樹勢を維持できるようになります。
ですが長く植替えないでいると根詰まりで樹が弱ってしまうので、5年も6年も植替えないのも考えもの。古木ほど樹勢が落ち始めてからでは遅いので、根詰まり具合を見て植替えしてください。
完成木の植替えでは、全体の1/3くらいを限界として底土からほぐし、周囲の古土も落としてください。あまり切り込むと新根や枝が強く伸びて若返り、せっかくの古木感を失ってしまいます。 また、植替えの際に採取した菌は、植え付けの時に新しい用土に混ぜておくと効果があると言われています。
黒松や赤松は年中根動きがあり、秋の植替えも可能。8月下旬~9月中旬頃までの植替えなら年内に根が充分動き出しているので、冬の保護もさほど難しくなく、春からの成長も緩やかなので完成木の植え替えは秋の方が適していると言えます。
芽摘み(4月中旬~5月)クロマツの新芽は産毛のような鱗片で覆われたつくしの様な形で、そのままにしていると枝分れのないまま枝が徒長し、葉も長く伸びてしまいます。
クロマツの芽摘みは、新芽の葉がまだ開きださない「ミドリ」の状態のうちに適当な長さで摘み取る作業で、将来の樹高を抑えたり、枝数を増やしたり、樹冠を構成する枝をバランス良く整える効果があります。
クロマツのミドリは枝の強さによって伸び方に差があり、強い枝では1箇所から複数の芽を出してきますから、まずは強い芽を元から摘み取り、向きの良い芽を2つ残すようにしてください。
芽摘みは摘む長さや芽数を調整することによって、各枝の力を平均的にすることができます。
残したミドリが長いようなら半分~1/3くらいを目安に摘み、弱い枝から伸びるミドリはそのまま伸ばすか長めに摘むなどして、全体的にバランスの取れた枝を育てるようにしましょう。
芽切り、葉すかし(6月中旬~7月上旬)新梢を古枝との付け根の部分で切ることを芽切りといって、葉すかしとセットで行う
芽切りはほぼ完成に近いクロマツやアカマツの葉を短く作り上げるための方法で、短葉(仕立て)法の1つとして知られています。
7月頃になるとミドリがすっかり伸びて葉が開いてきますから、その新梢をハサミで元から切り取ってください。
芽の強さは春に芽摘みをしておいても差がありますから、芽数の多い大きい盆栽ではまず下枝などに付く弱い芽から先に芽切りし、5日~1週間ほど経ってから強い芽を芽切りして、平均した芽を揃えるようにしましょう。
枝数の少ないミニ盆栽では、より短い葉にするために切込む時期をやや遅らせて(7月中旬~下旬頃)、一度に全ての芽切りをする方法が一般的です。
また、芽切りと同時に行う葉すかしも欠かせません。芽切り後、切り残した2年枝の古葉が3~4本くらいになるように葉量を調整しておいてください。
葉すかしをすることで枝先がごちゃごちゃにならず、残した古葉の間に2番芽を持たせることができます。
2番芽は半月もすれば形成されますが、伸びる力が弱いので葉も短くなり、秋頃には枝がちょうどよく締まった樹姿を観賞することができます。
マツは普通、年に1回しか芽を出しませんが、芽切りをした樹は年に2回芽を出させることになり負担もかかります。
芽切りができるのは樹勢が充分にある樹であることが絶対条件ですから、その年に植替えした樹や、弱っている樹はもちろん、完成木でも樹勢次第では芽切りを見送るようにしましょう。
芽切りを毎年行うと幹太りはほとんど期待できませんから、ある程度樹ができた段階の樹に対して行うようにしてください。
芽かき(8月下旬~9月)芽切り葉すかし後伸び出したばかりの2番芽。この場合は3つ伸びているので、もう少し固まってきたら2つに減らす
芽かきは芽切り後に吹く複数の2番芽の芽数を調整する作業です。
芽切り後1ヶ月もすると、葉すかしで残した葉元や切り口付近から2番芽が出来てくるので、その中で位置のいい芽を残して芽かきをします。
複数の芽をつけたままにしているとその部分が太くなってしまうため、ある程度2番芽が出揃った段階で、2芽2芽になるように不要な芽を元から掻き取ってください。
剪定(10月中旬~12月上旬、2月下旬~3月中旬) 不要枝の剪定は秋、太枝の剪定は芽出し前が適期広義では生育期に行う芽摘みや芽切りも剪定技術の1つですが、樹形を整えるための剪定は厳寒期(1月~2月上旬)を除いた休眠期間中に行います。
休眠期間中は樹液の流動も少なくなるため、剪定後の痛みが少なく済むというメリットがあります。10月中旬から3月中旬頃までは松類も休眠状態となりますが、厳寒期に強い剪定や針金かけをすると、枝枯れを起こしやすいため注意してください。
10月中旬~11月頃は、葉もすっかり固まり生育も休止している時期ですから、不要枝の間引き剪定や軽い整枝ができます。特別な保護室がない限りは、太枝の剪定や強い矯正は避けてください。
新芽が動き出す前の2月下旬から3月中旬頃は剪定整枝の最適期で、太枝の剪定や改作のための強い曲げ付けなど、多少の損傷でも回復が早く、傷口の肉巻きも良好です。
針金かけ(10月中旬~12月上旬、3月~4月上旬) 軽い整枝は厳寒期前、思い切った整枝は3月~4月上旬が適期黒松を始めとする松柏類の針金かけは、厳寒期を除く休眠期から生育活動が始まる直前までが最適期。剪定と同様に、枝向きの軽い矯正は厳寒期前に。改作のような強い曲げ付けは芽出し前が回復も早くなります。
針金かけや太枝の剪定を成長期に行うと樹液が止まらず枯れ込むことがあるので、必ず適期を守ってください。
黒松は古枝でも曲付けできますが、1度で曲げずに数年掛けて曲げる気持ちで行ってください。
太枝や幹を曲げる場合は、アルミ線よりも銅線のほうが大胆な曲付けができます。多少割れが入っても水吸いが生きていれば平気なので、向きを定めしっかり針金を効かせることが大事です。
古葉取り(11月中旬~12月)古葉取りは前年からついている古い葉を取ることで葉の量を調節する作業。
内容的には、芽切り後の葉すかしと同じで、前年葉や前々年葉を透かして枝内部の日当たりと風通しを改善し、葉の間で越冬する害虫を付きにくくするなどの目的があります。
古葉取りで葉量が減ることにより樹勢も抑えられるので、翌年の新芽の伸びを抑制する効果もありますが、あまりやり過ぎると反って樹勢を落とす原因になるので、目的や仕立て段階で調整してください。
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