ダニエル電池(仕組み・各極の反応式・素焼き版・起電力など)
ダニエル電池(仕組み・各極の反応式・素焼き版・起電力など)

ダニエル電池(仕組み・各極の反応式・素焼き版・起電力など)

ダニエル電池(仕組み・各極の反応式・素焼き版・起電力など) 2023 6/23 2017年8月5日2023年6月23日 目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『ダニエル電池(仕組み・各極の反応式・素焼き版・起電力など)』について解説しています。

ダニエル電池とは

  • 亜鉛Zn板を浸した硫酸亜鉛ZnSO4水溶液と、銅Cu板を浸した硫酸銅(Ⅱ)CuSO4水溶液を、素焼き板(セロハンでも可)で仕切った電池をダニエル電池という。
  • ダニエル電池は、イギリス人であるダニエルが1836年に考案した電池が原形になっており、ボルタ電池の欠点を改善することによってつくられた、世界初の実用的な電池である。ダニエル電池の起電力は約1.1Vである。

参考:ボルタ電池(仕組み・各極の反応・分極の理由など)

ダニエル電池の電池式

  • 上述の通り、ダニエル電池とは、亜鉛Zn板(負極)を浸した硫酸亜鉛ZnSO4水溶液と、銅Cu板を浸した硫酸銅(Ⅱ)CuSO4水溶液を、素焼き板で仕切った電池である。
  • これを踏まえて、ダニエル電池の電池式は次のように表すことができる。

\[ \mathrm{(-)Zn|H_{2}SO_{4}aq|Cu(+)} \]

ダニエル電池の仕組み

  • ダニエル電池の仕組みについて、電池の仕組み(イオン化傾向との関わり・正極と負極・電子と電流の向き)で紹介した3STEPを使って解説する。

●STEP1イオン化傾向の大きい金属板が溶ける。●STEP2STEP1で発生した電子eーがもう片方の金属板の方へ流れる。●STEP3流れてきたeーが(溶液中の)イオン化傾向の小さい陽イオンとくっつく。

STEPイオン化傾向の大きい金属板が溶ける。

まずは、イオン化傾向の大きい金属板が溶ける。ダニエル電池に使われている金属板はCuとZnであり、これらのうちイオン化傾向がより高いのはZnである。したがって、Zn板が溶け出す。また、ZnがZn2+という陽イオンになったので、電子eーが発生していることも確認しておこう。

STEPSTEP1で発生した電子eーがもう片方の金属板の方へ流れる。

STEP1で発生したeーがCu板側に伝わる。このとき、eーが通過することで(電流が発生して)豆電球が点灯していることに注目しよう。

STEP流れてきたeーが(溶液中の)イオン化傾向の小さい陽イオンとくっつく。

Cu板に流れてきたeーがCuSO4中に存在しているCu2+とくっつく。(=単体のCuが析出)

各極の反応

  • ダニエル電池の負極・正極での反応をそれぞれまとめる。
負極
  • ダニエル電池の負極では、Zn板が溶け出してZn2+とeーが発生する。

\[ \mathrm{Zn→Zn^{2+}+2e^{-}} \]

正極
  • ダニエル電池の正極では、CuSO4中に存在しているCu2+がeーを受け取ることでCuが発生する。

\[ \mathrm{Cu^{2+}+2e^{-}→Cu} \]

ボルタ電池との違い

  • ダニエル電池とボルタ電池の違いについて解説する。
  • ボルタ電池とダニエル電池では、Zn板からCu板に向かって流れたeーを受け取る陽イオンが異なる。

●ボルタ電池正極でeーを受け取るのはH+●ダニエル電池正極でeーを受け取るのはCu2+

ボルタ電池ダニエル電池ボルタ電池では、H+がeーを受け取ってH2になる。ボルタ電池が分極を起こすのは、このH2がCu板の表面に溜まることで、次のH+がeーを受け取りづらくなってしまうためである。ダニエル電池では、Zn板からeーが流れてくると、Cu2+がこれを受け取って単体のCuとなる。生成する物質(Cu)が電極と一緒なので、くっついたところでなにも変化が起きていないのと同じ。よって、分極が起こる心配はなく、継続的に電気を得ることができる。

素焼き版の役割

  • ダニエル電池において、素焼き板は2つの重要な役割を担っている。

●素焼き板の役割①2つの溶液を混ぜない●素焼き板の役割②電荷のバランスを保つ

素焼き板の役割①
  • 素焼き板の1つ目の役割は「2つの溶液(ZnSO4とCuSO4)が混ざるのを防ぐ」というもの。
  • 素焼き板はZnSO4とCuSO4を隔てる役割を果たしている。
素焼き板の役割②
  • 素焼き板の2つ目の役割は「イオンを透過させることで、電荷のバランスを調整する」というもの。
  • ダニエル電池を使い続けていると、負極では次第にZn2+が、正極ではSO42ーが増加していく。(正極でSO42ーが増えるのは、CUSO4から電離したCu2+がCuになることで、相方のSO42ーが余ってしまうため)
  • このとき、陽イオンが増えた負極はプラス側に、陰イオンが増えた正極はマイナス側に電荷が偏っている。この「電荷の偏り」を調整するのが素焼き板である。
  • 素焼き板はイオンを通す性質をもつので、Zn2+が素焼き板を通って正極側に、SO42ーが負極側に移動する。これによって、電気的なバランスが整えられる。

より大きな起電力を得るために

  • ダニエル電池において、より大きな起電力を得るためには2つの重要なポイントがある。

●起電力UPのポイント①ZnSO4の濃度を薄くしておく●起電力UPのポイント②CuSO4の濃度を濃くしておく

起電力UPのポイント①
  • 1つ目のポイントは「ZnSO4の濃度を低くしておく」ということである。
  • はじめから溶液中にZn2+がたくさんあると、(溶けて生成するZn2+の居場所がないため)Zn板が溶解しづらくなってしまう。
  • したがって、より大きい起電力を得るためには「スタート時のZnSO4の濃度を低くしておきZn板をスムーズに溶解させる」ことが重要になる。
起電力UPのポイント②
  • 2つ目のポイントは「CuSO4の濃度を高くしておく」ということである。
  • 正極では、Cu2+がeーを受け取り単体のCuとなる。したがって、スタート時に溶液中のCu2+が少ないと、はやい段階でCu2+を使い切ってしまう。
  • Cu2+濃度が高ければ高いほど、たくさんのeーを受け取ることができる。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター 数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。 2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営 公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆 電気化学 ダニエル電池 ボルタ電池 仕組み 化学基礎 反応 理論化学 素焼き版 起電力 気に入ったらシェアしてね!

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