55歳で役職定年「老後の生活にも余裕がある」はずが…→10年後、60代男性を待ち受けていた“想定外の誤算”【お金のプロは見た】
55歳で役職定年「老後の生活にも余裕がある」はずが…→10年後、60代男性を待ち受けていた“想定外の誤算”【お金のプロは見た】- 2026.3.14
最近定年を迎えた知人男性Aさん(仮名)から聞いた話です。
「10年以上前に届いたねんきん定期便を見たとき、思っていたよりも多かったから、老後の生活にも余裕がありそうだと思い、特に対策を取らなかった。ところが、定年直前に届いたねんきん定期便を改めて確認すると、以前よりも金額が減っていた」
Aさんはその結果に驚き、慌てて原因を調べ始めたと言います。
ねんきん定期便の金額が変わった理由
Aさんによくよく話を聞いてみると、55歳のときに役職定年で管理職から外れており、その影響で年収が3割ほど下がったそうです。
Aさんが50代で受け取ったねんきん定期便に記載されていた金額は、その時点の加入状況を前提にした見込額でした。つまり、当時の年収が定年まで続く前提で計算された数字だったというわけです。
役職定年による収入の減少は、その後の厚生年金の上積み額に影響します。50歳以上のねんきん定期便の見込額は、直近の加入状況を前提に計算されるため、給与が下がると将来の見込額が以前より低く表示されることがあります。Aさんのケースでも、役職定年後の給与低下が定年直前の見込額に反映されたと考えられるでしょう。
このように、ねんきん定期便の金額はあくまでその時点の条件をもとにした試算に過ぎません。転職や昇給、役職定年などで収入が変われば、見込額も変動します。
想定外の年金額が定年後の計画を変えた
Aさんは定年を迎えたら退職し、悠々自適に過ごす計画を立てていました。しかし、受け取れる年金額が想定より少なかったため、やむをえず再雇用で働く道を選んだそうです。
とはいえ、再雇用での生活について聞いてみると、意外にも前向きな様子でした。現役時代からさらに年収は下がったものの、仕事にやりがいを感じていると言います。同年代で定年退職した知り合いのなかには、やることがなくて暇そうに過ごしている人もいるそうで「結果的に働いていてよかった」と納得しているようでした。
ねんきん定期便は定期的に確認しておこう
今回のAさんの体験は、決して珍しいケースではありません。ねんきん定期便の見込額を一度見ただけで安心してしまい、その後の変化に気づかないまま定年を迎える方は少なくないでしょう。
大切なのは、ねんきん定期便が届くたびに内容を確認する習慣を持つことです。「ねんきんネット」を使えば、いつでも最新の見込額をチェックできます。とくに50代以降は収入の変動が起こりやすい時期なので、早めに現実の数字を把握しておくと安心です。
老後の計画を立てる際は、過去の見込額ではなく最新の情報をもとに判断してください。
参考:年金Q&A(日本年金機構)
ライター:中野こうき名古屋市出身。岐阜大学大学院自然科学技術研究科を卒業したあと、2021年にWebライターとして独立。理系ならではの「根拠を大切にする姿勢」と、FP1級取得を通じて培ったお金の知識を組み合わせ、金融・FP分野を中心に100本以上の記事を執筆してきた。「難しいお金の話を、身近に感じてもらえる記事に」をモットーに活動中。